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ロウケツ染め③『蝋伏と脱蝋』

7月から制作している「ろうけつ染め」が完成したので、その方法を記しておきます。

まず、「ろうけつ(蝋結) 染め」とは、溶かした蝋(ろう)を「筆」や「チャンチン」と呼ばれる道具を使って模様を描き、その部分に染料が入らないことを利用した技法をいいます。「ロウ染め」や「バティック」ともいい、塗布した蝋に割れを入れることで独特の亀裂模様を作り出すことでも知られています。


【「ろうけつ」の染め方 】


ひと口に「ろうけつ染め」といっても、さまざまな技法があります。今回は「蝋伏(ろうぶせ)」という基本的な技法で、布に筆で蝋を塗ることで染料が入るのを防いで図柄を表現する方法を紹介します。たとえば、白地に蝋を塗り、黄色で染めれば、蝋を塗ったところだけが白く残ります。次に、その上(黄色い分)に蝋を塗り、赤い染料をかければ、黄と赤の掛け合わせでオレンジ色の地となり、白と黄の柄が浮かび上がります。こうして色を重ねて多色を表現するのが「蝋伏(ろうぶせ)」の技法と原理です。

まずは図案を考え、さらにカラープランニングをしてからコピー機などを使って実寸に拡大し、これを布の下に敷いてトレースします。写真中の右上にあるのがカラープランニングです。


次に「蝋伏(ろうぶせ)」の作業です。まずはカラープランニングを見ながら白くなる部分に筆で蝋を塗っていきます。全てを塗り終わったら、もう一度同じ箇所に蝋を塗ります。一度目より二度目が重要で、はみ出したり、塗り残したりしないように充分に注意してください。


今回使用する色は「白」を含め、「黄」「オレンジ」「赤」「茶」の五色で、この順に色を重ねていきます。「白」を蝋で伏せた後、最初に黄色で全体を染め、次に黄色になる部分だけを蝋で伏せていきます。※以下、それぞれの色ごとに同じ作業を繰り返していきます。

オレンジに染め、オレンジになる部分を蝋で伏せます。

赤に染め、赤になる部分を蝋で伏せます。この作品の場合、赤いバックなので、背景となる部分の全てを蝋で伏せていきます。


最後に、茶色になる部分を黒の染料で染めます。下の色を透けて茶色に見えることを利用して薄めの黒の染料を用います。これが最後の色なので黒に蝋伏せの必要はなく、これで染色と蝋伏せの作業は終了です。


いよいよ「脱蝋(だつろう)」の作業です。「脱蝋」は文字どおり“蝋を取り除く作業”のことで、大きな鍋に沸かした熱湯のなかに布を入れて、これまで塗ってきた蝋を溶かして布から剥がします。一回目におおよその蝋を抜き、さらに別の鍋で二度目の脱蝋をし、完全に蝋を布から落とします。

↓二度目の脱蝋

脱蝋後、丁寧に水で洗い、余分な染料を取り除きます。

乾燥して完成です。

ようやくタペストリーになりました。

「ろうけつ染め」は、「蝋纈(ろうけち)」とも呼ばれ、その歴史は2~3世紀にさかのぼることができます。日本でも正倉院の宝物に見られるほど古く、絞り染めの「纐纈(こうけち)」、板締め絞り染めの「夾纈(きょうけち)」と並んで“天平の三纈(さんけち)”と呼ばれるそうです。このことがイメージあって、仏教美術に登場する宝相華(ほうそうげ)の図案を作品にしましたが、もっとおおらかなデザインのほうが、この染色技法にはあっているような気がしました。次は、そんな図案に挑戦してみようと思います。


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2 Comments

    • hitotsuya

      こんにちは。返信が遅くなって申し訳ございません。
      蝋はバケツなどにすくい取って冷ましてからゴミとして廃棄します。
      下水などに流すと、大変なことになるので注意してください。

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