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草木染め絹と綿の違い。

「絹(シルク)」と「綿(コットン)」といえば、誰もが知っている天然繊維ですが、絹は動物繊維、綿は植物繊維で、その性質が大きく異なります。なので、草木染で染色する場合、同じ植物染料を使っても、作業工程はもちろんのこと、その仕上がりの色も大きく違ってきます。

今日は実際に同じ植物染料を使って
同時に「絹」と「綿」を染めてみます。

染めるのは、同じような薄手のスカーフ(下の写真)です。左が「綿(コットン)」、そして右が「絹(シルク)」です。

↑左が「綿(コットン)」、そして右が「絹(シルク)」

↑コットンのスカーフ。アップの写真です。

↑シルクのスカーフ。アップの写真です。


①まずは大きな鍋に湯を沸かして精錬します。

精錬(せいれん)とは、布や糸の繊維を染める前にゴミや汚れ、特に糊(のり)や油分を取り除く作業をいいます。その方法は、熱い湯の中につけておくのが一般的なようですが、僕は熱湯に中性洗剤を入れて洗うようにしてから、よくすすいでいます。この作業をしっかりしておかないと、色斑(いろむら)の原因になります。

②染色です。今回は栴檀草
(センダングサ)の染料を使います。

今回は「絹」と「綿」の染め上がりの違いを見るために、すぐに染色をしますが、本来ならこの段階で「絹」と「綿」とでは下処理に大きな違いがあります。そのことについては後に記します。

②媒染をします。今回は銅を使います。

媒染(ばいせん)とは、 以前のブログ『草木染の原理 』の原理でも書いたように、繊維に色を定着させたり、発色させたりするものです。主に金属イオンを使用します。ここで、色の違いが決定的になります。

③これを洗浄して乾燥させれば染色の完了です。


上記の左が「綿(コットン)」、そして右が「絹(シルク)」です。まったく同じ染料で同時に染めたにもかかわらず、こんなにも色が違います。この差は、繊維にタンパク質が含まれるか否かによって起こります。絹はタンパク質の塊といっても過言ではない繊維で、難しいことは僕にも分かりませんが、タンパク質の電気的吸引力によって染料が繊維に吸着するからだとか。 簡単にいえば「植物から抽出された成分は、タンパク質と引っ付きやすい」ということなんです。なので「絹」のほうが染まりがいいです。染料によっては「綿」より「絹」のほうが簡単に濃く染めることができ、堅牢度もあります。

ちなみに、上の写真の右にある毛糸も、同じ染料で染めたものです。やはり、ルール100%(タンパク質)なので、シルクと同じような色に染め上がりました。

僕は染色を始めたころ、この違いをすごく意外に感じました。というのも、一般的(日常生活上)には「綿」より「絹」のほうが扱いにくいというのが常識だったからです。

では「綿」を「絹」と同じように染めるには、どうすればよいかといいますと、インターネット上には、①と②の工程の間に「豆汁(ごじる)処理」と、よく書かれています。これは大豆のタンパク質を「綿」に吸着させるとうもので、ひと晩水に浸した大豆に水を加え、ミキサーにかけてから布でこし、さらに水で薄めて布を浸してタンパク質を吸着させ、さらに乾燥させるという作業です。しかし、時間も手間もかかるうえに、タンパク質を均一に吸着させるのは至難の業で、ムラなく染めるのは不可能に近いことです。ちなみに、現在では綿にも植物染料を染めることができる専用の助剤があります。