メニュー 閉じる

日本茜(にほんあかね)を栽培する

日本の歴史のなかで最も古い染料の一つに数えられるのが「茜(日本茜)」です。アカネ科のつる性多年生植物で本州から九州にかけて分布し、山野でよく見かけることができたそうです。赤褐色の根、つまり“赤い根”であることから「あかね」と名づけられたのでしょう。これを煮出して赤黄色の染料にし、糸や布を染めました。ちなみに、『魏志倭人伝』にも供物の麻布として登場し、『万葉集』にも数種の歌が詠まれています。

かつてはどこでも見られた日本茜が、外来種の旺盛か? 環境変化のせいか? めっきり姿を消したそうです。草木染の染料店でも、「インド茜」や「西洋茜」はありますが、「日本茜」を目にすることはありません。それもそのはず、インドや西洋の茜は根が太く、栽培が容易であるうえに、色も鮮明に染めることができます。それに対して、日本茜は根が細いので染め物にするには相当量が必要になるうえ、前述のように、自生地が激減しているので、これだけで染めるのは不可能に近い状態になっています。

ちなみに、西洋茜は黄色味が強く、インド茜は西洋茜に比べると黄色味が少なく、日本茜は“夕焼け空の色”だそうです。「茜」の漢字を分解すると 「艹(くさかんむり)」に「西」になります。つまり“西の空=夕焼け”を意味しているんだと思います。ところが、日本茜で夕焼けの赤を染めるには、西洋茜やインド茜のように簡単にはいきません。

私が勝手に想像するに、インドや西洋のものより、淡い色のはずの日本茜。それこそが、まさに“日本の美意識”です。そんな赤を染めてみたくて、インターネットで日本茜の苗を購入しました。

日本茜(にほんあかね)

このところの異常気象とヒートアイランド現象のダブルパンチで、恐ろしいほどの暑さになる都会の夏––。山辺の木陰に育つ日本茜が、酷暑の畑に耐えれるかが不安ではありますが【ひとつ屋染織農園】のなかでも木陰を探して、この日本茜を栽培しようと思います。さて、どうなるか? お楽しみにッ!!

2件のコメント

  1. ピンバック:日本茜(にほんあかね) – ひとつ屋

  2. ピンバック:日本茜の収穫 ―― Harvested Japanese madder – ひとつ屋

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です