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赤麻(あかそ)染め――染料の作り方

先日、岐阜県で採取してきた赤麻(あかそ)から染料を作り、きれいな赤い染料をとることができました。今日は、その染料の作り方を紹介します。

まずは赤麻(あかそ)についてです。

赤麻は「赤苧」とも書く、イラクサ科の多年草で山地に多く自生し、高さ60~80cmで葉の縁にはノコギリのようなギザギザがあります。その名のとおり、茎に赤みがあり、淡紅色の穂をつける植物です。

制作風景
制作風景

ちなみに、昔は乾燥させた赤麻の茎を木槌などでたたいて繊維をとり、それを撚(よ)り合わせて糸を作って、さらに布に織ったそうです。それが「麻」のような布なので、「赤麻」と書くようになったそうですが、その葉は紫蘇によく似ており、「赤い蘇」の意味ではないかと思っています。漢字での表記は別として、もともと「そ」には何らかの意味があって(例えば、「ギザギザ」みたいな意)、「紫の“そ”」や「赤い“そ”」から、そう呼ぶようになったのではないかと思うんです。
※ただし、あくまでも僕の個人的な説です。

それでも、染料をとるために赤麻を煮ると、ほんと「紫蘇ジュース」と同じ香りがするんです。僕の仮説も、まんざら間違いではないかもしれませんよ。

余談はこのくらいにして、「赤麻での染料の作り方」は次のとおりです。

(1)まず、水洗いしてゴミを取り除いた赤麻を2~3cmほどの長さに切ります。そのとき、ステンレス製の刃物は使えません。草木で染めた多くのものは、最終的に金属イオンで発色と定着をさせます。これを媒染(ばいせん)と呼ぶのですが、それまでは金属に触れさすことができないからです。

(2)湯が沸騰したら火を弱め、40分ほど煮て染料を抽出します。僕の場合、あまり難しく考えず、自分が好きな色が出れば煮るのをやめます。ただ、できるだけ濃く、それでいて透明度の高い染料を作ることを目標としています。というのも、濃い染料にしておけば、後で薄めることができます。

制作風景
制作風景

(3)煮るのが終わると、ストレーナーで大まかに葉や茎を取り除き、熱いうちに細かい目の濾布(こしぬの)を使って染料のみを濾しとります。煮出した直後は、茶色だった染料が空気に触れ、次第に赤く変化していきます。

(4)さらに、このまま2~3日放置しておくと空気との酸化作用によって赤みを増します。

制作風景
制作風景

赤麻の染料は、水だけを使って抽出することができる、比較的簡単な染材です。近くに赤麻のある方は、ぜひ!! やってみてください。

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