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北の大地が育んだ“アイヌの蒼”

秋晴れの続いた先日のこと、染料農園の一角に籾殻(もみがら)をまいて、土にすき込む作業を行いました。近郊の農家からいただいた籾殻。ですが、都会育ちの “シティーボーイの僕 (笑)” には、土にすき込む農作業は重労働です。

北の大地が育んだ“アイヌの蒼”
北の大地が育んだ“アイヌの蒼”

この場所は、日当たりが悪く、水はけもよくないので、だれもが何も植えずに放置されていたのですが、籾殻や腐葉土を入れて土壌を改良してやれば、山野草で日陰を好む染料植物には最適な場所なんです。

そこで、すき込んだ後に早速!! 植えたのが「ウォード(細葉大青/ほそばたいせい」という植物です(※本来、大青の「青」の文字は「靑」です。

北の大地が育んだ“アイヌの蒼”

この植物は文字どおり、「青」を染めることのできる染料植物で、蓼藍(たであい)や琉球藍、インド藍と同様にインジゴ成分を含みますが、種類は全く違うアブラナ科の2年草です。18世紀に中国から渡来したとされていますが、一説には古くから北海道には「蝦夷大青(えぞたいせい)」が自生しており、アイヌの人々はこれで民族衣装を染めたといいます(時代によっては交易で中国から藍を手に入れていたともいわれています)。また、同様に欧州ではアジアから藍が輸入されるようになるまで、藍染めには「ヨーロッパ大青」という種類の大青が用いられていたようです。

ちなみに、アイヌの民族衣装を想像したとき、僕が思い浮かべたのが、この衣装の “紺色” でした。同じ藍を染めるにも、地域によって育てる(使う)植物がこんなにも違うことに改めて驚かされます。でも、だから色にも微妙な違いが生まれるんですね。僕は、いつもそこに風土性というか、人間くささというか、化学染料にない魅力を感じます。

北の大地が育んだ蒼――。素敵ですね。北の大地じゃないですが、頑張って育てて“アイヌの蒼”を再現してみようと思います。

国立民族学博物館に展示されていたアイヌの民族衣装

国立民族学博物館に展示されていたアイヌの民族衣装

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