先日のブログ『葛糸づくり』で紹介した糸について、今回は“葛から繊維を取り出す方法”を紹介します。
まず「葛糸」について簡単に説明します。葛糸とは、河川敷などでよく見られるマメ科の葛(クズ)と呼ばれる植物から得られる繊維です。現在において、葛は“ 厄介な雑草” とされ、刈っても刈っても繁茂し、ときに他の植物を駆逐してしまうこともあるので “グリーンモンスター” として嫌われる側面もあります。しかし、古来この植物は食用や飲用(茶や酒)、さらには「葛根湯」などの薬とされ、根からとれる「葛粉」は有名で、人々の暮らしにはなくてはならない植物でした。
そんな葛の蔓から作られるのが「葛糸」で、すでに新石器時代には織物として利用されていたようです。その作り方は意外に簡単で、夏に採取した葛の蔓を煮て発酵させたのち、水(川)に晒して繊維を取り出します。では早速、その工程を紹介しましょう!
葛糸の作り方
葛から繊維を取り出す方法
▼ 河川敷や堤防などで繁茂する葛。これを糸にしていきます。
▼ 葛の葉と蔓の様子。
▼ まずは、葛の蔓を採取します。今年伸びたまっすぐなものがよいようです。蔓からは葉を落としておきます。
▼ 蔓を1.5mくらいに切りそろえ、丸めて縛り、20~30分ほど炊きます。
▼ 炊きあがった蔓を草(ススキがよいらしい)の上に広げます。
▼ さらに、上から草を乗せて蔓を挟みます。
▼ これをブルーシートで包み、日向に3~4日放置して蔓を発酵させます。
今日は、ここまでです。次回『葛糸の作り方 Vol.2』では、発酵させた葛の蔓を川へもっていき、丁寧に洗いながら薄い繊維を取り出していきます。お楽しみに!
※ 今回紹介しているのは、ひとつ屋での方法です。伝統工芸品としての方法とは異なりますので、あらかじめご了承ください。