ずいぶん昔に、葛糸を作ったことがあります。
ところが、都会に暮らしていると、なかなか葛が手に入りません。たとえ手に入ったとしても、取り出した繊維を洗うための川の流れがありません――😥
それでも、まるで絹のような光沢を放つ葛糸のことが忘れられず、いつかは、ひとつ屋でも手掛けてみたいと思っていました。
ここ三重県伊賀市へ来て6年がすぎ、毎年、夏になると生い茂る葛を見ては、「きれいな糸が作れるのになぁ~🤩」と思っていました。
切っても切っても、すぐに伸びる葛は、村でもなかなか厄介な存在です。とはいえ、誰かの土地に生えているものを、勝手に採るわけにはいきません。
北米では、東アジアから持ち込まれた葛が広く繁殖し、在来植物を覆って生育を妨げる侵略的外来種として問題になっています。アメリカ南部では、 “the vine that ate the South” (南部を食べ尽くしたつる植物)という異名でも知られています。
そんなある日、村の有志による葛刈りが行われました。そのときに刈った葛を少し分けてもらい、久しぶりに “葛糸づくり” をしてみることにしました。
▼ 伊賀で刈り取った葛から取り出した繊維
お~ッ! 何とか、それらしいものができました。
まだ繊維を取り出した段階なので、次は、これを少しずつ績んで、長い糸へつないでいきます。さらに、その糸を織って葛布にすることができれば、これまで厄介者として刈られていた葛から、新しいものを生み出せるかもしれません。
身近に生えている植物を素材として生かし、糸から布へ育てていく。これは、ひとつ屋が目指す “持続可能な物づくり” や、自然布(山布)の研究にもつながる取り組みです。
静岡県掛川市で作られている掛川の葛布は、静岡県の伝統工芸品(郷土工芸品)に指定されています。葛の採取から製品加工までを手仕事で行い、軽さ、丈夫さ、美しい光沢を備えているそうです。
さすがに、すぐにその域へ到達することはできません。それでも、ひとつ屋が目指す素朴な糸や布、暮らしに使える製品へと育てていける可能性はありそうです。
次は、もう少したくさんの葛を使い、まとまった量の糸づくりに挑戦しようと思います。
葛から繊維を取り出す工程は、続く『葛糸の作り方 Vol.1』で紹介しています。
ぜひ! 楽しみにしていてください。