刈っても刈っても、また生えてくるカラムシ。
畑の脇、家のまわり、山際の空き地などに、気がつけばあちこち生えています。厄介な雑草として扱われることも多い植物ですが、カラムシは昔から繊維植物として利用されてきました。
▼ 刈っても刈っても生えてくる野生のカラムシ。厄介な雑草でありながら、昔から繊維植物として利用されてきました。

ひとつ屋では、この野に生えるカラムシを使って、新しい糸づくりに挑戦しています。
目指しているのは、昔ながらの「上布(じょうふ)」をそのまま再現することではありません。繊維を細く裂いて一本一本つなぐ“績(う)む”方法ではなく、カラムシの繊維を“紡ぐ”ことができないかと考えています。
今回の実験では、まず野生のカラムシを収穫し、一部は茎から皮を剥いで、一晩水に浸けました。水によって表皮やガム質がどう変化するのか、繊維がほぐれやすくなるのかを確かめるためです。
▼ 剥いだカラムシの皮を、一晩水に浸けているところ。水によって表皮やガム質がどう変化するかを試しています。

また別の日には、皮を剥がず、茎のまま水に浸ける方法も試しました。
茎ごと水に浸けることで、翌日に皮が剥ぎやすくなると聞いたことがあるからです。
▼ こちらは茎のまま水に浸ける実験。翌日に皮が剥ぎやすくなるかを確かめます。

やってみると、すぐに気づくことがあります。
ひとつ屋が目指しているのは、繊維を績むことではなく、紡ぐこと。そう考えると、長すぎる繊維よりも、15〜30cmほどの扱いやすい繊維束のほうがよいのではないかと感じました。
水に浸けた皮は、その後、干して保存します。半乾きのまま束ねると、カビや腐敗の原因になるため、まずは風を通しながらしっかり乾かします。
▼ 前日に剥いたカラムシの皮を干しているところ。まずはしっかり乾燥させ、後日の糸づくり実験に備えます。

完全に白く、きれいな繊維を取り出すことだけが目的ではありません。少し野性味が残っていても、糸になり、布になり、草木染と相性がよければ、それは“ひとつ屋らしい素材”になるはずです。
カラムシは、ただの厄介な雑草ではありません。
刈っても刈っても生えてくるということは、見方を変えれば、毎年手に入る強い植物資源でもあります。
野に生えるカラムシを、糸へ。そして、いつか布へ。
ひとつ屋の新しい挑戦が始まりました。