この夏は、ただただ作品を作っていました。そして、ようやく少しばかり自分の納得のいくものを作ることができました。それがこのTシャツです。タイトルは『夏休み』。子供のころの遠い記憶をたどりながら作りました。
▼前面(左の写真)。背面(右の写真)
ひと夏かかって作りました。「ひと夏かかって、これッ!?」って思われるかもしれませんが、やっと自分が納得できる作品を作ることができました。藍や草木の「天然染料」での多色染め、そして「絞り染め」に「型染め」の技法をあわせて、たったこの一枚を作るのに何枚のTシャツをムダにしたか分かりません――。
そして、もっとも苦労したのが、この太陽の柄です。いったんTシャツ全体をタマネギで黄色に染め、下絵を描いてから絞り染めを施し、さらに藍で染めたものです。夏のギラギラとした太陽を表現したくて、本当に苦労しましたが、タマネギの黄色といい、藍の青さといい、やっと少し納得いくものになりました。
このTシャツは子供用のサイズです。なので「夏休み」をイメージしたデザインにしました。子供のころの無邪気で、キラキラとした夏休みをTシャツのなかに表現してみたかったのです。
手間をかけただけあって、自分のなかでは“納得できる一枚”です。日本の伝統的な染色技法、しかも“工芸”というより、“民芸”に近い技法で、この雰囲気のTシャツができたことに、とりあえず満足しています。
天然染料での多色染め、そして「型染め」と「絞り染め」の併用。さらに、それを生かしたデザイン――。この夏、ただただ自分らしい作品を求め、試行錯誤を重ねた結果です。【草木染工房 ひとつ屋 】では、この路線を探求していこうと思っています。
▼染色データ
・Tシャツ/綿100%(綿糸縫製)
・染料/藍
・技法/絞り染め、型抜染
・柄(デザイン)/子供用のサイズなので
「夏休み」をイメージしてデザインしました。
あの「無邪気で、キラキラとした夏休み」を
Tシャツになかに表現してみました。