この数年、「器が人を作る」という言葉を実感することが多々ありました。
ちなみに「器が人を作る」というのは、その人の現状の力量よりも高度や難しい立場(ポジション)に置かれることで、その状況に対応しようとして、知らず知らずのうちに、人は置かれた環境に似合う思考や風貌、ひいては人格になっていくという意味です。
随分と昔に、そんな話を聞いたことがありますが、その言葉の意味を実感することができませんでした。
ましてや、すっかり停滞し、低迷する今の日本では、あらゆる場面で “即戦力”や“成果”が求められる世知辛い雰囲気となり、なかなか人の成長を待ってはいられません。
年功序列が否定され、成果主義が合理的で正義であるように思われた時代。実際、私自身もそう思っていました。今ようやく“アラ還”と呼ばれるようになって、その間違いに気付かされます。
これが正義なら、未熟で経験のない若者には、もはや対応しようがありません。
でも、人は必ず成長し、そして老化していきます。今、再び「器が人を作る」というような、一見すると“曖昧で非効率的な方法のなかにある合理性”を、ひとつ屋では考え直していきたいと思っています。