大阪で暮らしていたころ、空を見上げることはほとんどありませんでした。高い建物に囲まれ、日々の忙しさに追われて、気がつけば足もとばかりを見て過ごしていたように思います。
ここ伊賀に移り住んでからは、よく空を見上げるようになりました。畑へ向かう道でも、作業を終えて家へ戻る途中でも、ふと顔を上げると、その日の空がひそやかな表情で迎えてくれます。

先日も夕暮れどき、外へ出た瞬間に、美しいグラデーションのなかに細い三日月が浮かんでいました。晩秋から初冬へ向かう光は、藍から橙、そして群青へと静かに移り変わっていきます。三日月を見あげながら、そろそろ冬支度を急がないといけませんね――そんなことを思った夕空でした。