カテゴリー: ブログ

ひとつ屋の日々の仕事や判断、その背景にある考えを、いくつかのカテゴリーに分けて記録しています。畑で植物を育て、染め、織り、道具を整え、作り続ける。その過程で起きた迷いや選択を、現場の視点から綴っています。完成品だけでなく、そこに至るまでの時間や思考も含めて残す記録です。

  • アケビの実と都会っ子

    アケビの実と都会っ子

    伊賀(三重県)で暮らし始めて丸7年。いまだに“里山の暮らし”には数多くの発見があります。

    アケビの実と都会っ子

    たとえば、このアケビ。高い枝の上で口を開いたその姿を見つけたとき、思わず「おぉ~ッ!」と声が出ました。都会で育った私にとってアケビは絵本の中の果実のような存在で、まさか自分の暮らすエリアで見られるとは思っていませんでした。

    アケビは秋の里山を象徴する実――。果肉はほんのりと甘く、その皮は炒め物にもできるらしく、昔の人たちの知恵を感じます。

    都会暮らしで“くだもの”といえば、スーパーの棚でカラフルに並んでいるものとしてのイメージしかありませんでした。今は空を見上げると、柿や栗、アケビなど季節の果実がたわわになっています。そんな当たり前のはずの自然の営みが、なんだかとても尊く感じられます。

    手の届かない枝で熟していたアケビだったので、食べることができなかったのですが、来年はいろんな食べ方にチャレンジしようと思います。


    アケビ


    アケビ(木通)は、つる性の落葉低木で、日本の山野に自生します。果実は秋に熟し、楕円形の紫色の皮が縦に裂けて半透明の果肉と黒い種子を現します。甘みのある果肉は、秋の味覚のひとつとして昔から親しまれています。

    Wikipedia「アケビ」:https://ja.wikipedia.org/wiki/アケビ

  • 時計型薪ストーブ

    時計型薪ストーブ

    今年の冬も、どうやら慌ただしくなりそうです。工房だけでなく、納屋などでも作業をしなければなりません。そんなわけで、寒さに備えて薪ストーブを用意しました。

    これは、いわゆる「時計型薪ストーブ」と呼ばれるもので、その名の由来は昔の振り子時計に似た丸い形にあります。日本独自のデザインで、かつてはどの農家にもあったほど、広く愛されてきたアイテムです。

    欧米の重厚な鋳物ストーブとは違い、実用的ながらも素朴なつくり――。天板の上では鍋やヤカンを温めることができ、また羽釜が載せられ、お米を炊くこともできます。そのうえ、燃料も選びません! 薪はもちろん、木くずや廃材など、燃やせる木であれば何でもOKです。

    そして何より安価なのが嬉しい! ホームセンターで数千円ほど。軽くて持ち運びも簡単なので、庭先でも、キャンプでも、災害時でも使える頼もしい道具です。

    この冬は、これを納屋の作業場に設置します。寒さが厳しくなると、あの広い空間での作業が老体にはこたえます(笑)。
    けれど、このストーブがあれば、きっと作業も少しははかどるはず。
    これから煙突を立てて薪を集め、冬に備えるのですが、そんな仕事もまた、田舎暮らしの楽しみのひとつです。

  • 屋根裏利用計画

    屋根裏利用計画

    下の写真は、納屋の屋根裏です。
    以前の住人が古い農具や廃材をしまい込んでいたらしく、まるでタイムカプセルのような空間でした。
    昨日のブログ『三寸大工』で書いた「棚」の材料も、ここから引っ張り出したものです。

    あの棚のほかにも、何やかんやと作ってきたので、これでもずいぶん片づいたほう――。
    それでも、まだまだ“過去の名残”があちこちに残っています。

    では、なぜ前の住人が大きな廃材までをわざわざ屋根裏に引き上げていたかというと、おそらく納屋の天井裏がいちばん湿気の少ない場所だったからでしょう。
    実際、ここに置かれた木はどれもよく乾いていて、古いわりに状態が良好です。
    昔の人の知恵には、つくづく感心します。

    つまり、田舎の古民家暮らしで厄介なのが“湿気”なんです。
    夏場など、小旅行で家を閉めておくと、たった数日で家中がカビ臭くなるほど。
    そんな環境では、せっかく収穫した植物染料の保管にも苦労します。
    密封容器に乾燥剤を入れて保管しているものの、これがなかなかの出費—(涙)。

    そこで目を付けたのが、この屋根裏。ここなら湿気を逃れられるはず! と夏に思いついたのですが、しかし、その季節は灼熱地獄。さすがに作業は無理なので、冬を待って整理し、ここを「染料のストックと乾燥のための場」に改装する計画を立てました。

    もちろん、三寸大工のDIYで。
    これもまた、ひとつ屋の小さな進化です。どうぞ楽しみにしていてください。

  • 三寸大工

    三寸大工

    以前のブログ『引き続き「思いを実践する場」にするために』で、作業場がヒッチャカメッチャカだということを書きました。そんな作業場の廊下の突き当たりに、ずっと「ここに棚があればいいのになぁ」と思っていた場所があります。いかにも中途半端なスペースで、頭の片隅では何度も構想を練ってきたのに、面倒くささが勝って、手をつけられずにいました。

    それでも作業場が散らかるたびに、「やっぱり棚が欲しい!」と思い続け、ついに重い腰を上げました。とはいえ、材料を買うほどの予算はありません(泣)。倉庫の隅に転がっていた廃材を引っ張り出し、のこぎりと電動ドライバーを手にして作業開始!

    ところが、棚板に使えそうな板が足りません。仕方なく、一段目は隙間を開けたスノコ式。二段目は藪から切り出した竹を並べてみました。それでも足らず、三段目も隙間だらけ。それでも不思議なもので、組み上がるにつれてウキウキしてきます。

    完成した棚は、寸法も角度も決して正確ではないけれど、廊下の隅にぴったり収まりました。手作りならではの温もりがあり、費用は0円! まさに“三寸大工”の仕事ですが、それでも十分。いや、十分すぎるくらいです。

    私にとって、手を動かしてつくる時間は楽しいもの。完成した瞬間の「ぴたり」は、愛着さえ感じます。

  • 秋晴れのもとで――ひとつ屋の秋仕事

    秋晴れのもとで――ひとつ屋の秋仕事

    清々しい秋晴れの日。澄んだ空気と柔らかな陽ざしのもと、草木染工房 ひとつ屋では、秋の手仕事が進んでいます。藍のタネを干し、亜麻を乾かし、緑綿や茶実ガラを選り分ける――どれも冬支度としての作業です。“農のある暮らし” のなかで受け継がれてきた「自然とともに働く時間」。そんな秋の日常を、今日は少しだけ紹介します。


    天高く馬肥ゆる秋――。今日は清々しい秋晴れです。乾いた空気、やわらかな日差し。収穫物を干すには、まさに“絶好の日より”。空の青さがまぶしく、庭の作業もついはかどります。

    秋のひとつ屋では、草木染や織りに使う素材の手入れが続きます。

    今年収穫した藍のタネを天日に干しています。これは、来年の藍を育てるための大切なタネ。小さな粒ひとつひとつに、次の季節の命が詰まっています。

    こちらは亜麻(あま)です。茎を乾燥させて糸にし、リネンとして織ります。太陽の光をたっぷり浴びた亜麻は、やがて軽やかな布となって日常に戻ってきます。

    左のざるには緑綿、右には茶綿の実ガラ。緑綿はガラ紡で糸にして布を織り、茶実ガラは天然染料として使います。
    どちらも自然の恵みを無駄にせず、次のカタチへとつなげます。


    こちらは沈殿藍(泥藍)を乾燥させて「藍錠(らんじょう)」にしているところ。発酵と時間がつくり出す藍色。ひとつ屋の染めの原点です。

    ただ、この季節になるとカメムシも元気いっぱい。憎き存在ではありますが(笑)、彼らも同じ時間を生きる仲間です。


    秋の陽ざしのもとで作業をしていると、自然と一体になったような心地になります。すべてが次の季節へとつながっていく――そんな実感を覚える一日でした。