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農薬と化学肥料に関する考え方

■ 自然と人の営みを重ねるカタチ

私たちは、草木染や自然布(古代布)づくりに用いる素材を育てるため【ひとつ屋染織農園】を運営しています。このような目的作物を育てていることから「無農薬ですか?」「自然農法ですか?」と尋ねられることがありますが、ひとつ屋では特定の農法にこだわってはいません。自然との距離を丁寧に測りながら、長く続けられる形を大切にしています。

日本の里山は、人が草を刈り、雑木を払い、森に光や風を通すことを繰り返すことで維持されてきました。自然のままではなく、人の手が入ることで多様な環境が整えられてきたのです。何世代にもわたって耕されてきた畑も同じで、自然と人の作業が重なり合ってこそ、健やかな環境が保たれてきたのだと考えています。また、私たちの目的は染料や糸・布を“創るための農業”であり、素材を安定して生み出すには、作物の状態や気候を見きわめながら、必要なものを必要な量だけ使う方法が適していると判断しています。

■ 現代の技術を“必要なときに必要な分だけ”

農薬や化学肥料には、どうしても否定的な印象がありますが、現在広く使われているものは昔とは性質が異なり、少量で働き、土壌に長く残らず、環境への負担も小さく設計されています。ひとつ屋では、こうした技術の安全性と有効性を理解したうえで、適切な場面で最小限に用いています。使うことが目的なのではなく、環境と生産者への負荷を軽減するための手段であると考えています。

自然だけでも、人の労力だけでも農業は成り立ちません。自然の力を借りながら、人の仕事と技術が補い合うことで、畑は歴史を積み重ねていきます。私たちは、この“里山的なバランス”を農園のあり方の中心に据えました。素材づくりの農業は年単位で積み重ねる営みであり、環境にも生産者にも無理のない方法を模索することこそが、“持続可能な産業”への第一歩だと考えています。