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ひとつ屋染織農園

染織にかかわる植物を栽培するための【ひとつ屋染織農園】を始めたのは、2014年の春のこと。当初は都会の共同家庭菜園の片隅を借りて始めた決して「農園」とは呼べない小さな小さなスペースでした。同年の秋には面積が少し増え、翌年の春には様々な染料植物を栽培するようになりました。

ひとつ屋染織農園

そして2018年の夏からは、伊賀市(三重県)に農地と古民家を購入し、本格的に染織植物を栽培を始めようとしたところ、その年末から広がり始めたコロナウイルスによる行動制限のために活動は中断。それが再開できたのは、2020年の秋になってからのことでした。

さらに数年がたった現在、 ひとつ屋では、少しずつではありますが、栽培する染織植物の種類や量を増やし、それら製品の販売を目指しています。

ひとつ屋染織農園


ひとつ屋染織農園


後継者不足と高齢化で一度は打ち捨てられた耕作地。生い茂ったススキや笹竹を刈り、その根を取り除く作業は “再生” というより “開墾” に近い重労働です。こうして再生した畑に、私たちは藍や綿のタネをまき、桑の苗木を植えて染織にかかわる植物ばかりを栽培する【ひとつ屋染織農園】を運営しています

▼ 放棄耕作地の再生。一面を覆いつくす笹竹を刈るところから作業は始まりました。
ひとつ屋の物づくり

▼ 再生した耕作地で最初に栽培を始めたのが綿(和綿)です。
ひとつ屋の物づくり

▼ 最初の年は合計で2キロほどの綿を収穫しました。
ひとつ屋の物づくり


ひとつ屋では収穫した綿を「綿繰り」し、ふとん店で「綿打ち(製綿)」をしてもらってから明治時代の紡績機「ガラ紡(復元機)」で糸にします。さらに、これを「草木染」し、「手織り」や「縫製」の作業を経て、ようやく製品になります。

▼ 明治時代の紡績機「ガラ紡(復元機)」は、手紡ぎと同じ機構なので、とても柔らかな糸を紡ぐことができます。詳しくは『ひとつ屋に「ガラ紡」がやってきました!』をご覧ください。
ひとつ屋の物づくり

▼ もちろん、収穫した綿を手紡ぎして製品を作ることもあります。これは日本の伝統的な糸車です。
糸車(紡車)の修理


ひとつ屋シルク


これまで試験的に続けてきた養蚕も、2023年度からは本格的にスタートすることになりました。放棄耕作地を再生し、桑を栽培するところから始めた国産シルクづくり――。ひとつ屋では、近代以前の製法で素朴な絹製品を作ることを目指しています。

 

 

▼ 【ひとつ屋染織農園】に植えたばかりの桑。詳しくは『ひとつ屋シルク』をご覧ください。
ひとつ屋の物づくり

▼ 桑の生長を待って始めたのが養蚕です。詳しくは『ひとつ屋シルク「蚕が繭を作るまで」編』をご覧ください。
ひとつ屋シルク「蚕が繭を作るまで」編

▼ ひとつ屋で収穫した繭。
ひとつ屋シルク「蚕が繭を作るまで」編

▼ ひとつ屋では、いくつかの方法で繭を糸にしていきます。これは「座繰り」です。
ひとつ屋の物づくり

▼ これは「紡ぎ」です。詳しくは『ひとつ屋シルク「繭が糸になるまで(紡ぎ)」編』をご覧ください。
ひとつ屋シルク「繭が糸になるまで(紡ぎ)」編

▼ こうしてできた糸でショールなどに織って製品となります。詳しくは『自分たちのシルクが真っ当な製品になるのか』をご覧ください。
自分たちのシルクが真っ当な製品になるのか


その他


このほかにも【ひとつ屋染織農園】では、藍や日本茜、苅安や小鮒草など、さまざまな染料植物(草木染のための植物)の栽培をはじめ、苧麻や葛、桑、楮を用いた “古代布” の再生にも取り組んでいます。

▼ 日本茜(ニホンアカネ)の収穫。
ひとつ屋の物づくり

▼ 里山で集め、栽培している苧麻。詳しくは【ひとつ屋 古代布研究所】をご覧ください。


ひとつ屋の思い


上記のように、ひとつ屋では染織農園や里山から採れる植物を使って染め物をしたり、織り物をしたりしています。人々が長い時間をかけて培った伝統的な技で加工し、材料も、道具も、エネルギーも、そのすべてが最終的には自然に返る製品づくりを目指しています。そして、こうしてできたものを “日常的なアイテム” として展開したいと考えています。

今後、ひとつ屋では製作工程を報告したり、広く新たな情報を集めたり、またワークショップを開催したりする予定です。

なにとぞ、ひとつ屋をよろしくお願い申し上げます。