タグ: 天然染料

  • 日本の自然から生まれた色を大切にしたい。

    日本の自然から生まれた色を大切にしたい。

    草木染を中心にした“ものづくりスペースのブログ”のはずなのですが、草木染のことについて書く時間がありません。作業風景や作品のことを書こうとは思っているんですが、作品を撮影しようにも場所がなかったり、作業中は手が放せなかったりで、その機を得ることができません。でも実際には結構と染めています!

    最近は随分と思うように染めることができるようになりました。染めムラもなく、その風合いにも納得できるようになりました。

    ちなみに、下の写真は、最も左の茶色が紅葉葉楓(もみじばふう)で染めたもので、その右隣が「藍(あい)」、その次が「桜」、次の二つが「背高粟立草(せいだかあわだちそう)」、さらに「柿渋(かきしぶ)」、最後の二枚が「栗」です。

    こうして並べてみると、自分でいうのもなんですが、本当に美しい色合いです。日本に育った植物から生まれた色は、まさに!! “日本の色”といった感じで、どこか懐かしさを感じさせてくれます。

    次の作業は、これを使った作品づくりです。さぁ、また少し頑張ります!

  • 草木染め絹と綿の違い。

    草木染め絹と綿の違い。

    「絹(シルク)」と「綿(コットン)」といえば、誰もが知っている天然繊維ですが、絹は動物繊維、綿は植物繊維で、その性質が大きく異なります。なので、草木染で染色する場合、同じ植物染料を使っても、作業工程はもちろんのこと、その仕上がりの色も大きく違ってきます。

    今日は実際に同じ植物染料を使って同時に「絹」と「綿」を染めてみます。

    染めるのは、同じような薄手のスカーフ(下の写真)です。左が「綿(コットン)」、そして右が「絹(シルク)」です。


    草木染


    ▼ 左が「綿(コットン)」、右が「絹(シルク)」です。

    ▼ コットンのスカーフ。アップの写真です。

    ▼ シルクのスカーフ。アップの写真です。


    染織の工程


    ① まずは大きな鍋に湯を沸かして精錬します。

    精錬(せいれん)とは、布や糸の繊維を染める前にゴミや汚れ、特に糊(のり)や油分を取り除く作業をいいます。その方法は、熱い湯の中につけておくのが一般的なようですが、僕は熱湯に中性洗剤を入れて洗うようにしてから、よくすすいでいます。この作業をしっかりしておかないと、色斑(いろむら)の原因になります。

    ② 染色です。今回は栴檀草(センダングサ)の染料を使います。

    今回は「絹」と「綿」の染め上がりの違いを見るために、すぐに染色をしますが、本来ならこの段階で「絹」と「綿」とでは下処理に大きな違いがあります。そのことについては後に記します。

    ③ 媒染をします。今回は銅を使います。

    媒染(ばいせん)とは、 以前のブログ『草木染の原理 』の原理でも書いたように、繊維に色を定着させたり、発色させたりするものです。主に金属イオンを使用します。ここで、色の違いが決定的になります。

    ④ これを洗浄して乾燥させれば染色の完了です。


    総括


    上記の左が「綿(コットン)」、そして右が「絹(シルク)」です。まったく同じ染料で同時に染めたにもかかわらず、こんなにも色が違います。この差は、繊維にタンパク質が含まれるか否かによって起こります。絹はタンパク質の塊といっても過言ではない繊維で、難しいことは僕にも分かりませんが、タンパク質の電気的吸引力によって染料が繊維に吸着するからだとか。 簡単にいえば「植物から抽出された成分は、タンパク質と引っ付きやすい」ということなんです。なので「絹」のほうが染まりがいいです。染料によっては「綿」より「絹」のほうが簡単に濃く染めることができ、堅牢度もあります。

    ちなみに、上の写真の右にある毛糸も、同じ染料で染めたものです。やはり、ウール100%(タンパク質)なので、シルクと同じような色に染め上がりました。

    僕は染色を始めたころ、この違いをすごく意外に感じました。というのも、一般的(日常生活上)には「綿」より「絹」のほうが扱いにくいというのが常識だったからです。

    では「綿」を「絹」と同じように染めるには、どうすればよいかといいますと、インターネット上には、①と②の工程の間に「豆汁(ごじる)処理」と、よく書かれています。これは大豆のタンパク質を「綿」に吸着させるとうもので、ひと晩水に浸した大豆に水を加え、ミキサーにかけてから布でこし、さらに水で薄めて布を浸してタンパク質を吸着させ、さらに乾燥させるという作業です。しかし、時間も手間もかかるうえに、タンパク質を均一に吸着させるのは至難の業で、ムラなく染めるのは不可能に近いことです。ちなみに、現在では綿にも植物染料を染めることができる専用の助剤があります。

     

  • 柿渋の作り方

    柿渋の作り方

    染色に興味をもって、もう随分になります。しかし、自分で柿渋を作るのは初めてなので、うまくいくかは分かりませんが、とりあえず、その工程を紹介します。


    柿渋の作り方


    ①まずは「渋柿」を用意します。この柿は9月の中旬に採取したものです。地域や種類にもよるようですが、7月下旬から9月中旬に採取した“青い渋柿”を用意します。甘柿ではダメです。かならず、「渋柿」を使ってください。

    柿渋の作り方

    ②これを水洗いし、枝やヘタを取り除いてから包丁で小さく切り分け、フードプロセッサーで粉砕します。このとき、注意するのが包丁もフードプロセッサーもステンレスかセラミック製のものを使い、決して鉄製のものは使わないでください。さらに、使用後は入念に洗ってください。ちなみに、この作業を昔は臼(うす)と杵(きね)で柿をつぶしたようです。

    ▼ 適当な大きさに切り分けた渋柿。
    柿渋の作り方

    ▼ 切り分けた柿をフードプロセッサーで粉砕します。
    柿渋の作り方

    ▼ 粉砕されにくい場合は、少量の水を加えます。
    柿渋の作り方

    ③少量の水で粉砕した渋柿を適当な容器(これも鉄はダメです)に移し、ひたひたより少し多いくらいまで水をいれます。ひたひただと、柿が水を吸ってしまって上部が乾燥してしまいます。逆に入れすぎると柿渋が薄くなってしまいそうなので、あくまでも“ひたひたより少し多いくらいの水”にして発酵させます。

    柿渋の作り方

    ④三日ほどすると、水が黄色みを帯び、お酒のような匂いがします。さらに、もうすこし(3~4日ほど)発酵させててから、ザルのようなもので濾(こ)します。

    柿渋の作り方

    ⑤ しぼりカスに、1回目より少量の水(半分程度)の水を加え、さらに発酵させて1番液に加えて本格発酵させていきます。最低でも2年も発酵させます。気の遠くなるような話ですが、気長にいきましょ!!

    柿渋の作り方

    今日現在は、2番液を発酵せている状態です。これから2年にわたり、この柿渋の変化をブログにUpしていきます。失敗するか? 成功するか? 楽しみにしていてください!!

  • 赤麻(あかそ)染め――染料の作り方

    赤麻(あかそ)染め――染料の作り方

    先日、岐阜県で採取してきた「赤麻(あかそ)」から染料を作り、きれいな赤い染料をとることができました。今日は、その染料の作り方を紹介します。


    まずは「赤麻」についてです。赤麻は「赤苧」とも書く、イラクサ科の多年草で、山地に多く自生し、高さ60~80cmで、葉の縁にはノコギリのようなギザギザがあります。その名のとおり、茎に赤みがあり、淡紅色の穂をつける植物です。

    制作風景

    制作風景

    ちなみに、昔は乾燥させた赤麻の茎を木槌などでたたいて繊維をとり、それを撚(よ)り合わせて糸を作り、さらに布に織ったそうです。それが「麻」のような布なので、「赤麻」と書くようになったそうですが、その葉は紫蘇によく似ており、「赤い蘇」の意味ではないかと思っています。漢字での表記は別として、もともと「そ」には何らかの意味があって(例えば「ギザギザ」みたいな意)、「紫の“そ”」や「赤い“そ”」から、そう呼ぶようになったのではないかと思うんです。
    ※ただし、あくまでも僕の個人的な説です。


    それでも、染料をとるために赤麻を煮ると、ほんとに「紫蘇ジュース」と同じ香りがするんです。僕の仮説も、まんざら間違いではないかもしれませんよ。

    余談はこのくらいにして「赤麻での染料の作り方」は次のとおりです。


    染料づくり


    (1)まず、水洗いしてゴミを取り除いた赤麻を、2~3cmほどの長さに切ります。そのとき、ステンレス製の刃物は使えません。草木で染めた多くのものは、最終的に金属イオンで発色と定着をさせます。これを媒染(ばいせん)と呼ぶのですが、それまでは金属に触れさせることができないからです。

    制作風景

    (2)湯が沸騰したら火を弱め、40分ほど煮て染料を抽出します。僕の場合、あまり難しく考えず、自分が好きな色が出れば煮るのをやめます。ただ、できるだけ濃く、それでいて透明度の高い染料を作ることを目標としています。というのも、濃い染料にしておけば、後で薄めることができるからです。

    制作風景

    (3)煮るのが終わると、ストレーナーで大まかに葉や茎を取り除き、熱いうちに細かい目の濾布(こしぬの)を使って、染料のみを濾しとります。煮出した直後は茶色だった染料が、空気に触れ、次第に赤く変化していきます。

    制作風景

    (4)さらに、このまま2~3日放置しておくと、空気との酸化作用によって赤みを増します。

    制作風景

    赤麻の染料は、水だけを使って抽出することができる、比較的簡単な染材です。近くに赤麻のある方は、ぜひ!やってみてください!!