投稿者: hitotsuya

  • Tシャツ「波に千鳥」

    Tシャツ「波に千鳥」

    藍に絞染(しぼりぞめ)と型抜染(かたばっせん)の技法で、こんなTシャツを染めました。タイトルは『波に千鳥(なみにちどり)』です。


    正面です。

    裾と袖に模様に、絞り染めで波と
    その上を飛ぶ千鳥を型抜染で描きました。

    型抜染で表現した「千鳥」です。

    背面です。

    夏の終わり、人影の少なくなった砂浜に打ち寄せる波と戯れる千鳥…。波しぶきの雰囲気を絞り染めで、飛ぶ千鳥のすばやさを型染の線で表現してみました。藍色と白だけのシンプルなデザインです。


    【染色データ】
    ・Tシャツ/綿100%(綿糸縫製)
    ・染料/藍
    ・技法/絞り染め、型抜染
    ・柄(デザイン)/Tシャツなのですが
    あえて“夏の終わりの風景”をデザインしました。
    夏の思い出を振り返る、静かな浜辺の風景です。

  • 藍(生葉)の保存方法

    藍(生葉)の保存方法

    草木染の代表する染料といえば「藍」ですが、あの紺色を出すには“熟練の技”が必要なんです。

    一方、藍そのものを育てるのは非常に簡単で、庭やベランダ、プランターでも育てることができます。インターネットにも詳しい育て方が掲載されていますが、非常に強い植物なので “雑草だ!!” と思えば、それほど神経質にならなくても、水さえやっていればグングン生長していきます。

    ただ、あの深い藍色を作り出すには「建て染め」と呼ばれる方法を用いならず、熟練の技が必要となります。まず、収穫した藍を天日で乾燥させ、一定の水を加えて発酵させます。こうしてできた「すくも」に、さらに水を加えて熟成発酵させ、バクテリアの活動を促すために栄養素を投入したり、PHを調べたり…と難しい作業を要します。染料になるまでには、実に100日以上が必要。「藍は生き物です」などと言いますが、まさに!! “世話”をしてやらなければならない染料なんだそうです。

    これに比べると比較的簡単に染められるのが、生の藍葉を使った「生葉染め」といわれる方法です。しかし!! 生の藍を使うので、作業は生葉が取れる時季に限られてしまいます。

    乾燥させて保存すると「建て染め」しかできなくなり、冷凍保存にもむいていないようです。どうやら、そのカギは藍に含まれる「インジカン」という成分にあるようです。乾燥させたり、冷凍したりすると、これが壊れるようです。

    インジカンが何のことか? さっぱり僕にも分かりませんが、ともかく!! これを壊さずに保存できれば、いつでも「生葉染め」が楽しめるようです。で、インジカンを壊さずに保存できる状態にするには、急速に乾燥させるのがよいらしく、身近にあるものでは電子レンジを使って一気に乾かしてしまう方法があるようです。早速、収穫したばかりの藍で試してみました。


    生葉藍の保存方法


    ▼ プランターで育てた藍(タデアイ)

    ▼ 葉を摘み取って耐熱皿に乗せ、電子レンジへ

    ▼ 1分ほど加熱すると、こんな状態になります。

    こうなったら蒸気を飛ばすように混ぜ、次からは30秒~40秒ほどの加熱を繰り返して次第に乾燥させていきます。藍も皿も非常に厚くなっているので、くれぐれもヤケドには注意してください。

    ▼ 加熱を繰り返し、カラカラの状態になれば完了です。

    カラカラの状態になる前は、加熱時間を短くし、目を離さないてでください。カラカラ状態で加熱を続けると発火することがあります。くれぐれも目を離さず、注意して行ってください。これを密封容器に入れて冷蔵庫で保存します。

    こうして乾燥させた藍を使えば、いつでも「生葉染め」が楽しめる!! というわけなんですが、まだ染めるほうの実験はしていないので、どんな染め上がりになるかは不明です。また、保存期間も不明なのですが、一説によると数年、それ以上だそうです。機会があれば、こうして乾燥させた藍を使っての染めを紹介します。

  • 染めムラ

    染めムラ

    来る日も来る日も草木染をやっていますが、最近になって、さらに草木染が楽しくて仕方ありません。というのも、ここ数ヶ月で、少しばかり、いや!! 僕にとっては飛躍的に技術を進歩させることができたからです。

    その一つが「染めムラ」の解消です。天然染料での染色は染めムラとの戦いといっても過言ではないのですが、ようやく最近になってムラを克服することができました。

    早くから染めムラには悩まされていたので、いろんな本を読みあさりましたが、どの本を読んでも「ムラなく染めるには、大きな鍋に染料を沸かし、布を泳がせるように染める」というように書いてあります。つまりは、たっぷりの染料で、まるで“しゃぶしゃぶ肉”のようにすればよいのですが、何度やっても思うようにはいきませんでした。

    染めムラ

    恥ずかしながら、こんな状態でした。
    染めムラ

    手染めなので「多少のムラは手作り感のある“アジ”」なのですが、それはムラなく染めることのできた人のセリフで、できない僕には “いいわけ!!” 以外の何ものでもないと思うので、この染めムラを解消するために、思いつくかぎりの様々な方法を試しました。たっぷりの染料で煮初めするのはもちろんのこと、熱い染料のなかに手を入れて細かく攪拌したり、温度を下げてて長く浸してみたり…、でも、なかなか思うように染めることができませんでした。が、ついに!! 成功したんです。

    ついに!! まったくムラがありません。

    染めムラ

    化学染料とは違って草木染では布を染める前に、いくつかの処理をしておかなくてなりません。特に、意外にも植物繊維である綿(コットン)や麻は染まりにくく、さらに多くの処理が必要なのですが、その基本中の基本!! である精練(コットンの油分や汚れ、糊の成分を除去すること)を時間をかけて丁寧の行ってみました。実際の染めの作業よりも、何倍もの時間をかけて前処理を行うと、このとおり!! 雲泥の差で美しく染まりました。

    ほんとッ!! “急がば回れ”ですねぇ。今まで、染めることだけに夢中になっていて、やっていたつもりの前処理がおろそかになっていたんです。しっかり前処理をしていれば、染料(染液)も時間も大幅に少なくてすみました。

    なにせ独学ばかりなので、まだまだ勉強と実験を繰り返さなければならないことがたくさんありそうです。頑張ります!!

  • 赤麻(あかそ)染め――染料の作り方

    赤麻(あかそ)染め――染料の作り方

    先日、岐阜県で採取してきた「赤麻(あかそ)」から染料を作り、きれいな赤い染料をとることができました。今日は、その染料の作り方を紹介します。


    まずは「赤麻」についてです。赤麻は「赤苧」とも書く、イラクサ科の多年草で、山地に多く自生し、高さ60~80cmで、葉の縁にはノコギリのようなギザギザがあります。その名のとおり、茎に赤みがあり、淡紅色の穂をつける植物です。

    制作風景

    制作風景

    ちなみに、昔は乾燥させた赤麻の茎を木槌などでたたいて繊維をとり、それを撚(よ)り合わせて糸を作り、さらに布に織ったそうです。それが「麻」のような布なので、「赤麻」と書くようになったそうですが、その葉は紫蘇によく似ており、「赤い蘇」の意味ではないかと思っています。漢字での表記は別として、もともと「そ」には何らかの意味があって(例えば「ギザギザ」みたいな意)、「紫の“そ”」や「赤い“そ”」から、そう呼ぶようになったのではないかと思うんです。
    ※ただし、あくまでも僕の個人的な説です。


    それでも、染料をとるために赤麻を煮ると、ほんとに「紫蘇ジュース」と同じ香りがするんです。僕の仮説も、まんざら間違いではないかもしれませんよ。

    余談はこのくらいにして「赤麻での染料の作り方」は次のとおりです。


    染料づくり


    (1)まず、水洗いしてゴミを取り除いた赤麻を、2~3cmほどの長さに切ります。そのとき、ステンレス製の刃物は使えません。草木で染めた多くのものは、最終的に金属イオンで発色と定着をさせます。これを媒染(ばいせん)と呼ぶのですが、それまでは金属に触れさせることができないからです。

    制作風景

    (2)湯が沸騰したら火を弱め、40分ほど煮て染料を抽出します。僕の場合、あまり難しく考えず、自分が好きな色が出れば煮るのをやめます。ただ、できるだけ濃く、それでいて透明度の高い染料を作ることを目標としています。というのも、濃い染料にしておけば、後で薄めることができるからです。

    制作風景

    (3)煮るのが終わると、ストレーナーで大まかに葉や茎を取り除き、熱いうちに細かい目の濾布(こしぬの)を使って、染料のみを濾しとります。煮出した直後は茶色だった染料が、空気に触れ、次第に赤く変化していきます。

    制作風景

    (4)さらに、このまま2~3日放置しておくと、空気との酸化作用によって赤みを増します。

    制作風景

    赤麻の染料は、水だけを使って抽出することができる、比較的簡単な染材です。近くに赤麻のある方は、ぜひ!やってみてください!!

  • Tシャツ『夏休み』

    Tシャツ『夏休み』

    この夏は、ただただ作品を作っていました。そして、ようやく少しばかり自分の納得のいくものを作ることができました。それがこのTシャツです。タイトルは『夏休み』。子供のころの遠い記憶をたどりながら作りました。

    前面(左の写真)。背面(右の写真)

    Tシャツ『夏休み』

    ひと夏かかって作りました。「ひと夏かかって、これッ!?」って思われるかもしれませんが、やっと自分が納得できる作品を作ることができました。藍や草木の「天然染料」での多色染め、そして「絞り染め」に「型染め」の技法をあわせて、たったこの一枚を作るのに何枚のTシャツをムダにしたか分かりません――。

    そして、もっとも苦労したのが、この太陽の柄です。いったんTシャツ全体をタマネギで黄色に染め、下絵を描いてから絞り染めを施し、さらに藍で染めたものです。夏のギラギラとした太陽を表現したくて、本当に苦労しましたが、タマネギの黄色といい、藍の青さといい、やっと少し納得いくものになりました。

    Tシャツ『夏休み』

    Tシャツ『夏休み』

    このTシャツは子供用のサイズです。なので「夏休み」をイメージしたデザインにしました。子供のころの無邪気で、キラキラとした夏休みをTシャツのなかに表現してみたかったのです。

    手間をかけただけあって、自分のなかでは“納得できる一枚”です。日本の伝統的な染色技法、しかも“工芸”というより、“民芸”に近い技法で、この雰囲気のTシャツができたことに、とりあえず満足しています。

    天然染料での多色染め、そして「型染め」と「絞り染め」の併用。さらに、それを生かしたデザイン――。この夏、ただただ自分らしい作品を求め、試行錯誤を重ねた結果です。【草木染工房 ひとつ屋 】では、この路線を探求していこうと思っています。


    ▼染色データ
    ・Tシャツ/綿100%(綿糸縫製)
    ・染料/藍
    ・技法/絞り染め、型抜染
    ・柄(デザイン)/子供用のサイズなので
    「夏休み」をイメージしてデザインしました。
    あの「無邪気で、キラキラとした夏休み」を
    Tシャツになかに表現してみました。