カテゴリー: ブログ

ひとつ屋の日々の仕事や判断、その背景にある考えを、いくつかのカテゴリーに分けて記録しています。畑で植物を育て、染め、織り、道具を整え、作り続ける。その過程で起きた迷いや選択を、現場の視点から綴っています。完成品だけでなく、そこに至るまでの時間や思考も含めて残す記録です。

  • 女神がくれた色

    女神がくれた色

    「Gaia(ガイア)」とは、ギリシャ神話に登場する“大地の女神”のこと。これが「地球」を意味するようになり、さらには「地球全体を一つの生命体」とする考え方『ガイア理論』へと発展したそうです。

    今日もまた、ちょっと難しい話ですが、すごく素敵だと思いませんか!? 「この星にあるすべてのものがつながっていて、一つの生命体をなしている」だなんて—。

    先日のブログ『草木染の原理』で「草木染では植物のほかにも、鉱物や水が大切なんです」というようなことを書きましたが、その全てが“地球からの贈り物”。しかも、同じ植物を使っても、採る季節や場所が異なれば、染め上がりの色も異なります。そればかりか、使用する水の性質、そして鉱物の微妙な違いによっても異なった色になり、二度と同じ色を作ることができません。

    女神がくれた色

    それは“女神の気分しだい”というべきもので、まさに“女神がくれた色”なんです。やはり、なんだか素敵だとは思いませんか!?  僕は、そんな色を大切にしながら、物づくりをやっていきたいです。

    最近になって「可能なかぎり!! ガイヤにこだわった!! 小さな小さな!! オリジナルのブランドを作りたい!!」と思いに変わってきました。

  • 草木染の原理

    草木染の原理

    春夏秋冬、劇的に美しく変化する自然の風景――。咲き乱れる花々、萌える緑、そして紅葉…、遠い昔から人は、そうした色をとどめようと様々な工夫をしてきました。その一つが「草木染」です。子供のころに、朝顔の花で色水を作って絵を描いたりしませんでしたか?

    あれも、そうした思いの一つで、れっきとした草木染の一種なんです。本格的には、酢(さん)を使って花の色を抽出し、繊維に染め付ける染色方法で「花びら染め」などと呼ばれ、たくさんの人に親しまれています。その歴史は古く、『万葉集』にも

    住吉(すみのえ)の 浅沢小野の
    かきつはた 衣に摺り付け 着む日 知らずも

    の和歌が残され、この時代に「花びら染め」が行われていたことを知ることができます。

    ちなみに、その意味は「住吉の浅沢小野に咲く杜若(かきつばた)。あの杜若の花を私の衣に摺(す)り染めにして着る日はいつのことなのだろうか」で、ここでの「かきつばた」は恋人を比喩したものだそうです。

    話を本題に戻して—。

    ところが、そのままの花の色を染めたり、植物を煮出した液に繊維を浸しただけでは色は薄く、すぐに色落ちしてしまいます。そこで、長い経験と知恵から生み出されたのが、金属イオンを用いて発色と定着をさせる方法です。草木染では、藍や柿渋などの一部を除けば、ほとんどがこの方法がとられています。簡単にいえば「化学変化」を起こさせて布を染めるもので、これによって随分と長く色を留めることができるようになりました。

    この金属イオンと植物から得た染料を結合させる方法を「媒染(ばいせん)」と呼び、銅やアルミ、鉄、チタンなどの金属のほかに、灰汁(アルカリ)や酢(酸)なども使われます。

    そのため、植物そのものの色と染め上がりの色は大きく違うことが多々あり、受講生さんからも「◎◎が、こんな色になるの?」と、よく驚かれます。むしろ、植物そのものの色を布に移すほうが難しく、例えば、タマネギの皮で綿、絹、羊毛を染め、アルミ、鉄、銅、チタンで媒染すると、下の写真の一覧のようになります。

    草木染の原理

    ちょっと話が難しくなりましたが、これが草木染の原理で、その色は植物の成分と金属イオンが結びついて生み出されたものだったのです。

    ※追記/厳密には「柿渋染め」でも媒染剤を使い、色の変化を表現することはあります。

  • 柿渋の作り方

    柿渋の作り方

    染色に興味をもって、もう随分になります。しかし、自分で柿渋を作るのは初めてなので、うまくいくかは分かりませんが、とりあえず、その工程を紹介します。


    柿渋の作り方


    ①まずは「渋柿」を用意します。この柿は9月の中旬に採取したものです。地域や種類にもよるようですが、7月下旬から9月中旬に採取した“青い渋柿”を用意します。甘柿ではダメです。かならず、「渋柿」を使ってください。

    柿渋の作り方

    ②これを水洗いし、枝やヘタを取り除いてから包丁で小さく切り分け、フードプロセッサーで粉砕します。このとき、注意するのが包丁もフードプロセッサーもステンレスかセラミック製のものを使い、決して鉄製のものは使わないでください。さらに、使用後は入念に洗ってください。ちなみに、この作業を昔は臼(うす)と杵(きね)で柿をつぶしたようです。

    ▼ 適当な大きさに切り分けた渋柿。
    柿渋の作り方

    ▼ 切り分けた柿をフードプロセッサーで粉砕します。
    柿渋の作り方

    ▼ 粉砕されにくい場合は、少量の水を加えます。
    柿渋の作り方

    ③少量の水で粉砕した渋柿を適当な容器(これも鉄はダメです)に移し、ひたひたより少し多いくらいまで水をいれます。ひたひただと、柿が水を吸ってしまって上部が乾燥してしまいます。逆に入れすぎると柿渋が薄くなってしまいそうなので、あくまでも“ひたひたより少し多いくらいの水”にして発酵させます。

    柿渋の作り方

    ④三日ほどすると、水が黄色みを帯び、お酒のような匂いがします。さらに、もうすこし(3~4日ほど)発酵させててから、ザルのようなもので濾(こ)します。

    柿渋の作り方

    ⑤ しぼりカスに、1回目より少量の水(半分程度)の水を加え、さらに発酵させて1番液に加えて本格発酵させていきます。最低でも2年も発酵させます。気の遠くなるような話ですが、気長にいきましょ!!

    柿渋の作り方

    今日現在は、2番液を発酵せている状態です。これから2年にわたり、この柿渋の変化をブログにUpしていきます。失敗するか? 成功するか? 楽しみにしていてください!!

  • 藍(生葉)の保存方法

    藍(生葉)の保存方法

    草木染の代表する染料といえば「藍」ですが、あの紺色を出すには“熟練の技”が必要なんです。

    一方、藍そのものを育てるのは非常に簡単で、庭やベランダ、プランターでも育てることができます。インターネットにも詳しい育て方が掲載されていますが、非常に強い植物なので “雑草だ!!” と思えば、それほど神経質にならなくても、水さえやっていればグングン生長していきます。

    ただ、あの深い藍色を作り出すには「建て染め」と呼ばれる方法を用いならず、熟練の技が必要となります。まず、収穫した藍を天日で乾燥させ、一定の水を加えて発酵させます。こうしてできた「すくも」に、さらに水を加えて熟成発酵させ、バクテリアの活動を促すために栄養素を投入したり、PHを調べたり…と難しい作業を要します。染料になるまでには、実に100日以上が必要。「藍は生き物です」などと言いますが、まさに!! “世話”をしてやらなければならない染料なんだそうです。

    これに比べると比較的簡単に染められるのが、生の藍葉を使った「生葉染め」といわれる方法です。しかし!! 生の藍を使うので、作業は生葉が取れる時季に限られてしまいます。

    乾燥させて保存すると「建て染め」しかできなくなり、冷凍保存にもむいていないようです。どうやら、そのカギは藍に含まれる「インジカン」という成分にあるようです。乾燥させたり、冷凍したりすると、これが壊れるようです。

    インジカンが何のことか? さっぱり僕にも分かりませんが、ともかく!! これを壊さずに保存できれば、いつでも「生葉染め」が楽しめるようです。で、インジカンを壊さずに保存できる状態にするには、急速に乾燥させるのがよいらしく、身近にあるものでは電子レンジを使って一気に乾かしてしまう方法があるようです。早速、収穫したばかりの藍で試してみました。


    生葉藍の保存方法


    ▼ プランターで育てた藍(タデアイ)

    ▼ 葉を摘み取って耐熱皿に乗せ、電子レンジへ

    ▼ 1分ほど加熱すると、こんな状態になります。

    こうなったら蒸気を飛ばすように混ぜ、次からは30秒~40秒ほどの加熱を繰り返して次第に乾燥させていきます。藍も皿も非常に厚くなっているので、くれぐれもヤケドには注意してください。

    ▼ 加熱を繰り返し、カラカラの状態になれば完了です。

    カラカラの状態になる前は、加熱時間を短くし、目を離さないてでください。カラカラ状態で加熱を続けると発火することがあります。くれぐれも目を離さず、注意して行ってください。これを密封容器に入れて冷蔵庫で保存します。

    こうして乾燥させた藍を使えば、いつでも「生葉染め」が楽しめる!! というわけなんですが、まだ染めるほうの実験はしていないので、どんな染め上がりになるかは不明です。また、保存期間も不明なのですが、一説によると数年、それ以上だそうです。機会があれば、こうして乾燥させた藍を使っての染めを紹介します。

  • 染めムラ

    染めムラ

    来る日も来る日も草木染をやっていますが、最近になって、さらに草木染が楽しくて仕方ありません。というのも、ここ数ヶ月で、少しばかり、いや!! 僕にとっては飛躍的に技術を進歩させることができたからです。

    その一つが「染めムラ」の解消です。天然染料での染色は染めムラとの戦いといっても過言ではないのですが、ようやく最近になってムラを克服することができました。

    早くから染めムラには悩まされていたので、いろんな本を読みあさりましたが、どの本を読んでも「ムラなく染めるには、大きな鍋に染料を沸かし、布を泳がせるように染める」というように書いてあります。つまりは、たっぷりの染料で、まるで“しゃぶしゃぶ肉”のようにすればよいのですが、何度やっても思うようにはいきませんでした。

    染めムラ

    恥ずかしながら、こんな状態でした。
    染めムラ

    手染めなので「多少のムラは手作り感のある“アジ”」なのですが、それはムラなく染めることのできた人のセリフで、できない僕には “いいわけ!!” 以外の何ものでもないと思うので、この染めムラを解消するために、思いつくかぎりの様々な方法を試しました。たっぷりの染料で煮初めするのはもちろんのこと、熱い染料のなかに手を入れて細かく攪拌したり、温度を下げてて長く浸してみたり…、でも、なかなか思うように染めることができませんでした。が、ついに!! 成功したんです。

    ついに!! まったくムラがありません。

    染めムラ

    化学染料とは違って草木染では布を染める前に、いくつかの処理をしておかなくてなりません。特に、意外にも植物繊維である綿(コットン)や麻は染まりにくく、さらに多くの処理が必要なのですが、その基本中の基本!! である精練(コットンの油分や汚れ、糊の成分を除去すること)を時間をかけて丁寧の行ってみました。実際の染めの作業よりも、何倍もの時間をかけて前処理を行うと、このとおり!! 雲泥の差で美しく染まりました。

    ほんとッ!! “急がば回れ”ですねぇ。今まで、染めることだけに夢中になっていて、やっていたつもりの前処理がおろそかになっていたんです。しっかり前処理をしていれば、染料(染液)も時間も大幅に少なくてすみました。

    なにせ独学ばかりなので、まだまだ勉強と実験を繰り返さなければならないことがたくさんありそうです。頑張ります!!