カテゴリー: 染太郎日記

ひとつ屋の主催「壱つ屋染太郎」が、畑や工房、暮らしの中で感じたことを、そのまま書き留めています。結論や答えよりも、その時々の気持ちや揺れを大切にした、徒然なる日々の記録です。嬉しいことも、悲しいことも、しんどいことも、日々の中でふと浮かんだ疑問も—。そうした個人的な思いを綴ってきたのが「染太郎日記」です。

  • 美しいものには“毒”がある!?

    美しいものには“毒”がある!?

    近ごろの気候がおかしいのか!?  それとも僕が歳をとったから、そう感じるのか—!? ともかく、今年の夏は暑いです。大阪では、もう二週間近くも35度を超える猛暑日が続いているうえに、夕立もなく、公園の木々には立ち枯れたものさえあります。

    いつもの年なら染料となる植物を採取するころなのですが、この暑さと植物の元気のなさに、その気になれずいます。ところがドッコイ!! さすが雑草ですね。しっかりと生きているものがいます!

    美しいものには“毒”がある!?
    これは「ヨウシュヤマゴボウ」。その名のとおりの外来種で、大きくなると2メートルにもなり、ゴボウの名のとおり、頑丈な根を張るので駆除が大変です。そのうえ、毒まである嫌われ者ーー。でも、別名を「インクベリー」といい、実で美しい紫を染めることができりそうです。しかし、その実は暑さのせいか、今のところ小さな状態です。

    美しいものには“毒”がある!?

    涼風が吹くころには、紫の実がたくさんなるでしょう。本当に別名のごとく、色も形もブルーベリーのような、いかにも美味しそうな実がなるのですが、毒があるので、決して口にしてはいけません!! でも、驚くほど美しい色に染めることができるそうです。まさに 美しいものには“トゲ”ならぬ“毒”があります。秋、実を採取して染めることができたら報告します。

  • 大阪の自然

    大阪の自然

    自宅から染色学校へは約1時間。といっても、車でも電車でもなく、自転車です。週に一度の通学なのですが、少しでも運動になれば !と思い、この酷暑のなか、汗を拭き拭き、ペダルをこいでいます。

    つい先日のこと、その通学の途中に、ふと見上げると遠くに生駒(いこま)の山々が美しく見えています。この学校に通いはじめて、もう2年目に入ったというに、最近その光景に気付きました。

    大阪の自然

    子供のころは大阪市内からでも3階ほどの建物に上がれば、東に生駒山や金剛山(こんごうさん)の山並みが見えたものですが、今は数多くのビルに遮られ、ほとんど見ることができません。

    考えてみれば、南北に細長い大阪のこと、思いのほか山と海との間に距離はありません。実際、海岸部から自転車で1時間足らずで、こんなにも山は近くになります。

    大阪の自然
    確か、戦国時代に日本にやってきた宣教師の日記にも、生駒の山から光り輝く大阪城(当時の大阪城は金箔瓦)が見えたということが書かれてあるとか。きっと見えたんでしょうね。どこからでも山々が、そして大阪城が—。

    “喧騒の街”というイメージが付きまとう大阪ですが、意外も山も海も近くにあり、かつてはそれらと密接に繋がった文化を育んできました。ところが、今では西部(海辺)に暮らす僕らすら、この街で海を意識したことなんてありません。なので、いつも思うんです。大阪に生まれ育った者らしい作品を作ろうと思えば、歴史や文化はもちろんのこと、もう少し“大阪の自然”についても勉強しなけば! と。

  • 帰化植物

    帰化植物

    猛暑が続いていた先日のこと、夕涼みをしようと思って大和川(やまとがわ)の河川敷を散歩しました。で、よく見ると、あるあるッ!! 生い茂った夏草のなかに“染料となる植物”が。栴檀草(センダングサ)に山牛蒡(ヤマゴボウ)、それに背高泡立草(セイタカアワダチソウ)などなど。

    漢字で書くと実感が薄れますが、実はどれもが「帰化植物(外来種)」です。明治時代以前の日本には存在しなかった植物ばかり。が、そのなかに芒(ススキ)に似た「刈安(カリヤス)」があるじゃないですかッ!!

    帰化植物

    「刈安」は文字どおり“刈りやすい草”の意味で、どこにでも自生し、よく群生する植物のため、奈良時代には庶民の衣服を染めるための染料して活用されたことが記録にも残されているそうです。

    そんな「刈安」が川原を覆いつくすほどある!

    な~んて、喜んだのも束の間、工房に帰って改めて調べてみると、これがッ!! 「刈安」ではなく、「西蕃蜀黍(セイバンモロコシ )」という、似ても似つかない帰化植物でした。

    ダメですねぇ。生来の都会ッ子は—。

    考えてみれば、子供のころから身近に野草や山菜と呼ばれる植物が一切ありませんでした。あったとしても、その名も不明な帰化植物ばかり。この歳になって、また勉強が必要そうです。

    でもッ!! 考え方を変えてみれば、現在、身近にある帰化植物(園芸植物を含め)のほとんどが、化学染料が主流になった明治以後に日本にやってきたものばかり。ってことは、その多くが草木染に試されたことのない植物ってことなのです。現に、この「西蕃蜀黍」を調べてみても、草木染に関する情報がありません。これはッ!! やってみる価値がありそうです。

  • 時の流れは早いもの

    時の流れは早いもの

    先日、氏神様の夏祭りがありました。この祭りを飾るのが「だいがく」と呼ばれる高さ約20mほどの柱に70個もの提灯を付けた櫓。

    今では、すっかり大都会の一部になったこの辺りですが、明治時代のころまでは農村だったらしく、この「だいがく」は、たわわに実った作物を提灯で表し、豊作と雨を祈願したものだそうです。


    僕が生まれて間もなくの1972年には大阪府の有形文化財に指定されています。ちょうどそのころ、僕は父に肩車されて、この「だいがく」を見ていました。その後は親とではなく、近所の友達と行くようになり、高校生になれば彼女と一緒、そして妻、さらに息子を肩車していくようになりました。時代とともに一緒に見る人が変わり、今年は息子も「お祭りは友達と一緒に行くからなッ!」と、もう僕とは行ってくれなくなりました(涙)。

    今年はかつてのように妻と二人きり。さみしくもあり、うれしくもあり――。そんな気分の僕に妻が「しばらくは、この状態やでぇ。奥さんのこと、大事にしときやッ!!」と。確かに孫と一緒に来るには、まだまだ時間がありそうなので、今はこの時を楽しもうと思います。それにしても 時の流れは早いものです。

  • 大暑の候

    大暑の候

    書中お見舞い申し上げます。

    大暑の候
    昨日7月23日は二十四節気の一つ「大暑」。一年で最も暑いころです。まさに、暦どおりの夏本番ッ!! 陽炎に揺らめく風景に、遠く過ぎ去ったキラキラとした夏を思い出します。

    しかし、もう決して若くないので、年々、暑さにも弱くなっているような気がします。

    な~んて嘆きごとはさておいて、皆さんッ!! 熱中症や夏バテなどにならないよう、くれぐれもご自愛いただきながらも、若きあの日に負けないような夏を楽しみましょう!!