カテゴリー: 道具と器械の話

このカテゴリーでは、ひとつ屋で使っている道具や器械について書いています。既製品、古い器械、自作の道具など、現場で実際に使いながら考え、直し、工夫してきた記録です。効率や新しさだけでなく、「なぜそれを使うのか」「どう使い続けるのか」という視点を大切にしています。

  • ひとつ屋の木製自動織機

    ひとつ屋の木製自動織機

    ひとつ屋スタッフのビジャ君と、彼の母国ネパールに行き、各地の織物工房を巡ったのは2025年の8月のこと。そのノスタルジックな器械に魅了され、ひとつ屋のためのの木製自動織機(力織機)の製作を依頼してから半年近くが過ぎました――。
    ※ 詳しくは以前のブログ『力織機を求めて』をご覧ください。


    ▼ ネパール(バクタプル)の織物工房
    木製自動織機が届きました!

    そして今日、ついにネパールから木製自動織機(力織機)が、ひとつ屋の古民家工房(三重県伊賀市)に届きました!

    言葉にすると、たった一行ですが、実物を前にすると、木箱の重みと時間の厚みで、しばらく動けなくなります。正直、感無量――。この歳になって、そう感じられることに感謝しかありません。


    トラックの荷台から降ろされる木箱を見た瞬間、「本当に来たんだなぁ~」と実感しました。きれいに梱包された木箱は、どれもシンプルで、不要な装飾は一切ありません。ただ、遠い国から長い時間をかけてここまで運ばれてきたことだけが、静かに伝わってきます。

    木製自動織機が届きました!

    工房の中に並べてみると、その量と存在感に、あらためて圧倒されました。木箱の一つ一つに、中身の重さだけでなく、背景の仕事や人の手、積み重なった工程が詰まっているように感じます。単なる“機械の搬入”とは、どうしても思えません。


    総重量で約500kg――。いったん庭先に仮置きして休憩。それを眺めながら、少し現実に戻ります。ここから先は、設置、組立、調整、理解、試運転—、やらなければならないことが山ほどあります。正直、decision overload気味の頭には、なかなか刺激が強い光景です――😅

    木製自動織機が届きました!

    なんのコネクションも、頼れる先もないまま、ただただ“イチかバチか”で行ったネパール。このブログの冒頭で「そう感じられることに感謝しかありません」と書いたのは、お決まりのセリフを言いたいのではありません。そもそも “雲を掴むような話” だった自動織機(力織機)導入の件、日本とネパールの両国で、さまざまな立場の人に助けていただきながら、ここにまで辿り着けたことに心から感謝しているからです。

    木製自動織機が届きました!


    今、これが目の前にあるのは、“奇跡”としか例えようがありません!

    この織機は、生産効率を向上させるためだけの目的で手配したものではありません。そこを熱く語れば、また話が長くなるので😅、今日は細かいことは書きません。いくつもの木箱が、遠い遠い異国から無事に届いた――ただそれだけで、もう充分です。織機も、自分も、ここまで来た!という事実を、まずはそのまま受け取ろうと思います。感無量です。本当に!


    最近、とにかく忙しいので、落ち着いて織機を組み立てられるのは1カ月ほど先になりそうですが、失敗したくないので、はやる気持ちを抑えつつ、それ以外の準備を進めておくことにします。
    ほんとッ! 楽しみにしていてください!!

  • もはや夢でも構想でもありません!

    もはや夢でも構想でもありません!

    今夏、ひとつ屋スタッフのビジャ君と、彼の母国ネパールに行って発注してきた木製自動織機(力織機)が、ついに完成しました!いよいよ日本へ向けて出航します。いよいよ、これを使って製品づくりを始めます!もはや夢でも構想でもありません。これまで絶え間なく考えてきたことを土台に、産業革命時代の思想を引き継いだ器械で、新たな物づくりを始めます。正直いってビビっています――😨 そして、それ以上にドキドキ&ワクワクが止まりません!

    動画は、Instagram or Facebook で、ご覧ください。


    This summer, I traveled to Nepal — the home country of our Hitotsuya staff member, Bija — and personally ordered a wooden power loom. That loom has now finally been completed! It is about to be shipped to Japan. And at Hitotsuya, we are about to begin product-making using this very machine. This is no longer a dream or a conceptual idea. Based on everything we have been thinking through relentlessly until now, we are starting a new form of making — using a machine that carries forward the spirit of the Industrial Revolution. To be honest, I’m nervous 😨 But even more than that, I can’t stop feeling excited and thrilled!

  • なければ作る!

    なければ作る!

    ひとつ屋では今年からリネン麻づくりを本格的に手がけていこうと考えています。そうなると、どうしても最初に必要になるのが「亜麻ブレーク(フラックスブレーク)」という道具です。これは乾燥させた亜麻の茎を叩いて砕き、繊維と木質部を分けるためのもので、ヨーロッパでは古くから使われてきました。

    そこで、この道具をネットで検索してみましたが、そもそも日本には亜麻繊維の文化がないため、その情報は皆無といった状態。そこでAIのSHIGEOに頼んで海外のサイトまで調べてもらい、ようやく写真や構造の説明にはたどり着くことができました。ただし、それも日本からの購入はかないません—😭
    リネンをやる気だけは充分あるというのに、そのスタート地点からつまずいてしました。


    ▼ ヨーロッパに伝わる亜麻ブレーク(フラックスブレーク)


    というわけで、ここで発揮されるのが“ひとつ屋スピリット✨”です! そう! 「ないなら作れ!」です!
    構造はとても単純で、亜麻を5枚の木の板で挟み、その茎を砕く仕組み。AIが探してくれた資料や写真を見ながら、早速! 年末できたばかりの木工作業場で作り始めました—🪚


    ▼材料費は約1,000円。すべて近所のホームセンターで購入

    角度や間隔には少し悩みましたが、この道具に精密さは求めていません。重要なのは、力がきちんと伝わるかどうか、それだけです。


    ▼自作した亜麻ブレーク(フラックスブレーク)


    ▼この間に亜麻の茎を挟んで砕く

    見た目も、きちんと道具になっています。当初は“試作”のつもりだったのですが、できてみれば「完璧! これでOK!」の実用品になりました。拍子抜けするほど普通に使えました。


    そう!“なければ作る!” ――それが、ひとつ屋スピリットです👍

  • これが私の最後の夢だ!――開拓2日目

    これが私の最後の夢だ!――開拓2日目

    今夏、新たに貸していただけることになった圃場――。
    今後、これまでメインに使っていた圃場を「A号地」、そして新しい圃場を「B号地」と呼ぶことにします。とはいえ、長らく放置されていたB号地は、人の背丈の倍ほどにもなる笹竹に覆われ、どこから手を付けていいのか分からない状態です。正直、ここを畑に戻すには、かなりの重労働を覚悟していました。

    そこで、まず! なんとか笹竹を楽に刈れる道具はないものかとネットを検索していると、刈払機(草刈機)に装着する「シュレッダーブレード」なるものを発見しました。背の高い草を縦方向にも刈れるうえ、刈った草をその場で粉砕できるという代物です。半信半疑で購入し、届いたブレードを見ると「フランス製」というシールが貼られていました。「へぇ~、こんなものがフランス製とは意外やな」と思い、さっそく使ってみることにしました。


    ▼ 刈払機(草刈機)に装着した「シュレッダーブレード」

    実際に使ってみてビックリ!😲
    横方向に払って倒す従来の刈払機と同じようにも使えるのですが、ブレードを上下に動かすと、笹竹を刈りながらその場で粉砕してくれる優れものなんです。刈ったあとの処理をしなくていいので、作業が止まらない――! 重労働になるはずだった作業が、意外なほど順調に進んでいきます。

    鬱蒼とした笹竹に覆われていたB号地の1枚目の圃場(約85㎡)は、1日で刈り終わることができました。これまでにも何度も同じような放棄耕作地を再生してきましたが、今回はまさに“拍子抜け”の状態です。「必死で刈った」つもりだったのに、「あれ、もう終わった!?」という感覚。さすが、おフランス製のブレード。舶来品は違いますぇ~🤣
    ※ 以前のブログ『放棄耕作地を畑に戻す』もご覧ください。


    ▼ 笹竹に覆われていた1枚目の圃場。作業途中

    調子に乗って、2枚目の圃場もその日のうちに刈ってしまいました。ようやく「畑になる大地」が見えてきます。まだまだ先は長いのですが、草刈りだけでも楽だと、やっぱりホッとします。


    ▼ 半日でここまで。しかも刈られた笹竹は粉砕され、片付ける必要がありません。これはもはや“産業革命”です!

    畑仕事は、気合や根性だけでは続きません。体力は正直ですし、無理はしたくありません。だからこそ、道具の進化には素直に頼ろうと思っています。今回のシュレッダーブレードは、その象徴でした。

    圃場を整え、植物を育て、それを染織品や物づくりにつなげていくという「“最後の夢”に向かう“最初の扉”」を開いてくれたのが、老体の体力を温存してくれる一枚のブレードだった――それがあまりに現実的で、思わず笑えてしまいます🤣


    関連ブログ

    ① これが私の最後の夢だ!――開拓1日目

  • 刷り込み刷毛がどっさり!

    刷り込み刷毛がどっさり!

    染めの仕事に欠かせない道具のひとつ「刷り込み刷毛(すりこみばけ)」

    このたび、某オークションで思わず“箱いっぱい”落札してしまいました(笑)。
    届いた箱を開けてみると、大小さまざまな刷毛がどっさり。新品とはいかないまでも、まだまだ現役で活躍してくれそうなものばかりです。

    どっさりの刷り込み刷毛!

    これだけあれば、しばらくは安心。いや、それ以上に!「これだけあるんだから、頑張っていっぱい作品を作らなくちゃ!」という気持ちの方が強くなります。

    道具との出合いもまた、創作の原動力。次はどんな布を染めようか、どんな色を生み出そうか—。
    新しい刷毛たちを眺めながら、わくわくが止まりません。