カテゴリー: 制作風景

このカテゴリーでは、ひとつ屋で手作りしているアイテムの製作風景を紹介しています。実際の現場での手順や試行錯誤、完成に至るまでの過程を、そのまま記録しています。中には、思うようにいかず商品にならなかったものもありますが(笑)、そうした失敗も含めて、物づくりのリアルな一面として残しています。

  • デザイン進化論!?

    デザイン進化論!?

    子供のころから二条城が大好きで、この歳になるまで幾度となく訪れています。そのたびに何かしらの発見があるのですが、先日は唐門でこんな装飾金具を発見しました。

    デザイン進化論!?


    その図案から、こんなデザインができました。
    デザイン進化論!?


    なんで? 二条城の装飾金物から、このデザインになったの――? その経緯は下図のとおりです。思いのほか時間がかかってしまいました。

    デザイン進化論!?

    デザイン進化論!?

    デザイン進化論!?

    デザイン進化論!?

    デザイン進化論!?

    デザイン進化論!?

    「これをこうして、こうなって—」と、CADでいじくっているうちにたどり着いたデザインです。もちろん、染色用の型紙(染型)にしようと思っています。こんな感じの型は単純ながら、いろんな場面で使うことができる、便利なデザインなんですよ。「水」や「花」「花火」をイメージさせたり、「雪」を表現したりするのにも使えそうです。結構、気に入っています。早速、染色の型紙を作って作品にしようと思っています。

  • 『波に千鳥』の“波”の部分

    『波に千鳥』の“波”の部分

    今日は先日のブログ『Tシャツ「波に千鳥」』で紹介した “波” の部分についてです。

    Tシャツ「波に千鳥」
    『波に千鳥』の“波”の部分


    絞り染めの方法


    ▼ 今日、紹介するのは、この部分です。
    『波に千鳥』の“波”の部分

    このTシャツの “波” の部分は、いわゆる「絞り染め」です。ちなみに、絞り染めとは、その名のとおり「糸で布を強く絞り、染料が入らない箇所を作って模様を描く方法」なのですが、絞り方や使う道具によって、さまざまな呼び名があります。これは、最も単純な絞り方で「平縫い引締め絞り」という方法です。

    というわけで、その工程を紹介します。

    まずは、下の写真のように布に下絵を描きます。今回は、日本の伝統的な文様である「青海波(せいがいは)」をイメージしてみました。なんて書くと、すごく立派な感じがしますが、実は「どんな柄にしようかなぁ?」と考えていたときに目に飛び込んできたのがCDで、その円弧を利用して描いただけの曲線の重なりです。でも、僕の好きな雰囲気ではあります。

    『波に千鳥』の“波”の部分

    この線に沿って、ひと針ひと針—、できるだけ均一に「括り糸(絞り染め専用の糸)」で縫っていきます。後で強く引き締めるので、ふつうの縫い糸では切れてしまうので “括り糸” を使います。また、このときに引締めながら縫うと、下絵が見えなくなってしまうので、糸がもったいなくても、写真のようにラインごとに縫って、糸を余らせておきます。

    『波に千鳥』の“波”の部分

    すべてが縫い終わると、これを一本ずつ強く引き締め、下の写真のようにします。括り糸でも強く引っ張りすぎると切れてしまいます。でも弱いと、はっきりした柄になりません。微妙な引っ張り加減が必要です。

    『波に千鳥』の“波”の部分

    そして、次は絞った箇所の奥にまで染料が入るように、さらには均一になることを注意しながら浸し染めをします。染料の中で絞った所を揉んだり、開いたりしながら、染料をヒダの中まで透させるのですが、入り過ぎたり、ムラになったりしないように—と、とても気を遣う作業です。

    『波に千鳥』の“波”の部分

    そして、最後が糸を抜く作業です。ここが最もドキドキする作業です! 一本一本の糸を引っ張りながら結び目を切って解いていきます。そのとき決して布に傷をつけてはなりません。糸を引っ張りすぎると、結び目が布を抜けて大きな穴になってしまいますし、引っ張らないと、結び目が布から離れません。ほんとッ! ここが最も神経を使う作業なんです。実は、ここで布に傷をつけたしまったことが何度もあります。

    『波に千鳥』の“波”の部分

    型染めの凛(りん)とした雰囲気も好きですが、僕は絞り染めの素朴な雰囲気が大好きです。具象的な柄を表現するには向いていない技法なのかもしれませんが、この雰囲気を生かした作品も作っていきたいと思っています。

  • 100%オリジナルTシャツ

    100%オリジナルTシャツ

    また一つ、大きな壁を越えることができました。

    ついに!! 100%オリジナルTシャツが完成しました。といっても、まだまだ試作の段階で、納得できていない部分がいっぱいあります。それでも、かなりテンションが上がっています。

    100%オリジナルTシャツ

    というのも、本当の意味で “自由にTシャツのデザインができる” ようになったからです。これまでは市販のTシャツを買って染めていたのですが、それでは使えるTシャツの幅はせまく、サイズや色数は増やせたとしても、スタイル(フォルム)が限られていました。メンズ、レディースはもちろんのこと、細身のもの、ゆったりしたもの、丈の長いもの、短いもの—というような変化をつけることができませんでした。特に、上の写真のような「ラグラン袖のTシャツ」は“絶対に無理ッ!!”という状態でした。

    インターネットで「Tシャツ」と検索するば、星の数ほどの検索結果が表示されますが、草木染に使うものは “ただのTシャツではダメ” なんです。素材は、もちろん「天然素材100%」で、しかも!! 縫製の糸までが綿か絹100%でなければいけません。そうでなければ、糸だけが染め残ってしまうんです。さらに、型染をする場合には、特殊な織り方(編み方)をした生地になってきます。

    この条件をクリアする「後染め用Tシャツ」というものもあるにはあるのですが、やはりスタイルはなく、おまけに高価。染めるときに熱い染料に浸したりするので、縫製済みのTシャツでは首周りが伸びてしまうという難点もあります。いろんなメーカーの「綿(コットン)100% & 綿糸縫製Tシャツ」で染色の実験をしたり、さらには自分の思うようにリメイクしたりもしましたが、時間ばかりがかかり、納得いくものにはなりませんでした。

    そんな僕を見ていた洋裁教室の先生が「最初から自分で縫いなさい。手馴れれば、Tシャツくらい1時間で縫えます」。そして「教えてあげます!!」とおっしゃってくださり、手取り足取り――僕だけの“特別授業”が始まり、ついに!! 縫製上は “販売できるほどのTシャツ” を作れるまでにいたりました。

    染めから縫製まで「100%ひとつ屋オリジナルTシャツ」です!!

    まだまだデザインがイマイチですが、すっごく手ごたえがありました!! Tシャツは伸縮性のあるニット(メリアス)生地を使うので、ふつうの洋裁とは違った、独特の縫製技術が必要で、今回は「型紙作り」から「裁断」、さらに「縫製」と3時間もかかってしまいましたが、でも慣れれば1時間も夢ではありません。

    そして、その授業の帰り道に「ついに!! ここまできたか!!」と少し感動しました。縫製を本格的に勉強し始めて3年以上が過ぎました。最初はミシンに糸をかけることすらできなかったのに、今ではYシャツくらいなら縫えるようになりました。そして、今回のTシャツのことで夢が膨らむと同時に、表現の幅が広がったことで「さらに染色技術やデザイン性のレベルを上げなければ!!」と、今はドキドキ & ワクワクしています。

  • 柿渋の作り方

    柿渋の作り方

    染色に興味をもって、もう随分になります。しかし、自分で柿渋を作るのは初めてなので、うまくいくかは分かりませんが、とりあえず、その工程を紹介します。


    柿渋の作り方


    ①まずは「渋柿」を用意します。この柿は9月の中旬に採取したものです。地域や種類にもよるようですが、7月下旬から9月中旬に採取した“青い渋柿”を用意します。甘柿ではダメです。かならず、「渋柿」を使ってください。

    柿渋の作り方

    ②これを水洗いし、枝やヘタを取り除いてから包丁で小さく切り分け、フードプロセッサーで粉砕します。このとき、注意するのが包丁もフードプロセッサーもステンレスかセラミック製のものを使い、決して鉄製のものは使わないでください。さらに、使用後は入念に洗ってください。ちなみに、この作業を昔は臼(うす)と杵(きね)で柿をつぶしたようです。

    ▼ 適当な大きさに切り分けた渋柿。
    柿渋の作り方

    ▼ 切り分けた柿をフードプロセッサーで粉砕します。
    柿渋の作り方

    ▼ 粉砕されにくい場合は、少量の水を加えます。
    柿渋の作り方

    ③少量の水で粉砕した渋柿を適当な容器(これも鉄はダメです)に移し、ひたひたより少し多いくらいまで水をいれます。ひたひただと、柿が水を吸ってしまって上部が乾燥してしまいます。逆に入れすぎると柿渋が薄くなってしまいそうなので、あくまでも“ひたひたより少し多いくらいの水”にして発酵させます。

    柿渋の作り方

    ④三日ほどすると、水が黄色みを帯び、お酒のような匂いがします。さらに、もうすこし(3~4日ほど)発酵させててから、ザルのようなもので濾(こ)します。

    柿渋の作り方

    ⑤ しぼりカスに、1回目より少量の水(半分程度)の水を加え、さらに発酵させて1番液に加えて本格発酵させていきます。最低でも2年も発酵させます。気の遠くなるような話ですが、気長にいきましょ!!

    柿渋の作り方

    今日現在は、2番液を発酵せている状態です。これから2年にわたり、この柿渋の変化をブログにUpしていきます。失敗するか? 成功するか? 楽しみにしていてください!!

  • 染めムラ

    染めムラ

    来る日も来る日も草木染をやっていますが、最近になって、さらに草木染が楽しくて仕方ありません。というのも、ここ数ヶ月で、少しばかり、いや!! 僕にとっては飛躍的に技術を進歩させることができたからです。

    その一つが「染めムラ」の解消です。天然染料での染色は染めムラとの戦いといっても過言ではないのですが、ようやく最近になってムラを克服することができました。

    早くから染めムラには悩まされていたので、いろんな本を読みあさりましたが、どの本を読んでも「ムラなく染めるには、大きな鍋に染料を沸かし、布を泳がせるように染める」というように書いてあります。つまりは、たっぷりの染料で、まるで“しゃぶしゃぶ肉”のようにすればよいのですが、何度やっても思うようにはいきませんでした。

    染めムラ

    恥ずかしながら、こんな状態でした。
    染めムラ

    手染めなので「多少のムラは手作り感のある“アジ”」なのですが、それはムラなく染めることのできた人のセリフで、できない僕には “いいわけ!!” 以外の何ものでもないと思うので、この染めムラを解消するために、思いつくかぎりの様々な方法を試しました。たっぷりの染料で煮初めするのはもちろんのこと、熱い染料のなかに手を入れて細かく攪拌したり、温度を下げてて長く浸してみたり…、でも、なかなか思うように染めることができませんでした。が、ついに!! 成功したんです。

    ついに!! まったくムラがありません。

    染めムラ

    化学染料とは違って草木染では布を染める前に、いくつかの処理をしておかなくてなりません。特に、意外にも植物繊維である綿(コットン)や麻は染まりにくく、さらに多くの処理が必要なのですが、その基本中の基本!! である精練(コットンの油分や汚れ、糊の成分を除去すること)を時間をかけて丁寧の行ってみました。実際の染めの作業よりも、何倍もの時間をかけて前処理を行うと、このとおり!! 雲泥の差で美しく染まりました。

    ほんとッ!! “急がば回れ”ですねぇ。今まで、染めることだけに夢中になっていて、やっていたつもりの前処理がおろそかになっていたんです。しっかり前処理をしていれば、染料(染液)も時間も大幅に少なくてすみました。

    なにせ独学ばかりなので、まだまだ勉強と実験を繰り返さなければならないことがたくさんありそうです。頑張ります!!