タグ: 天然染料

  • インドアカネで染める。

    インドアカネで染める。

    できるだけ自分で育てたり、採取したりした染料植物を使って染めようと心がけていますが、それだけでは限界があるので、ときには染料店で購入したものを使うこともあります。その代表が茜(アカネ)です。


    「茜」は、日本にも自生するアカネ科の蔓性多年生植物で、本州をはじめ、四国や九州での路傍や林で見ることができます。根から赤い染料を抽出することができるので、つまり“赤根”なんです。紅花(ベニバナ)よりも古くから染料として用いられてきましたが、日本の茜は手に入りにくく、一般の染料店で売られているのは、西洋茜(セイヨウアカネ)やインド茜がほとんどです(上の写真は「インド茜」です)。

    染色方法は最も基本的な方法で、ただ煮出した液に布を浸し、その後に媒染します。その媒染も、明礬(みょうばん)で大丈夫なので、とても手軽に染めることができます。下の写真は染色中です。“濃染処理をした布”と“精練のみの布”です。


    写真は上から、“精練のみの布” “濃染処理をした布”。三番目が“回数を重ねて濃く染めた布”です。どれも、フリンジをつけてスカーフに仕立てる予定です。

    茜はとても美しい色に染まります。お盆も過ぎ、これからの季節には茜色が似合います。そんな色を、いつの日か、自分で採取した “日本茜” で染めてみたいです。


    2019年の夏
    インドアカネの販売開始!

    ※ インドアカネは、ひとつ屋の実店舗のほか、Amazon楽天Yahoo!creema などでも販売しています。

  • ◎△◇×のTシャツ

    ◎△◇×のTシャツ

    先日、雲柄のTシャツを作ろうとして、縫製の段階で失敗したのでボツにしたという内容のブログ(『あ゛~ッ!!』)を書きました。

    ここまでやったのに、とほほッーーです(涙)


    で、リベンジぃ~!!  とばかりに再び作り始めました。“青空に浮かぶ雲”をイメージしたTシャツなので、まずは失敗したものと同様に、そのベースを藍でムラ染めしておきます。

    ムラ染めそのものは、クチュクチュっと丸めた生地を、そのままの状態で藍の染液につけるだけで、それほど大変な作業ではありません。ってなわけで、今回も鼻歌まじりに作業を済ませて染め上がったものを広げてみると、不思議な柄が・・・。

    前回に失敗したムラ染めにしたものとは違って、すごく不思議な模様ができていました。雲というより、花びらを散りばめたような・・・。

    Tシャツ1着分の生地があります。当初の計画どおり、雲のTシャツを作るべきか、はたまた違ったデザインを考えるべきかーー。というわけで、ブログのタイトルが『◎△◇×のTシャツ』ということになりました。とにかく今度は失敗しないように縫います!

  • タマネギの皮での染め方

    タマネギの皮での染め方

    天然染料(草木染め)で最も有名な染料の一つが「タマネギの皮」です。食品の一部であるうえに、美しい色に染めることができるタマネギの皮は、媒染剤(色止め・発色)が料理でも使う「明礬(ミョウバン)」なので、気軽にキッチンでも染めることができます。インターネット上でも、その染め方が数多く掲載されていますが、今回は“ひとつ屋流ワンポイント”を加えながら“きれいに染める方法”を紹介します。


    【きれいに染める方法】


    今回、染めてみるのは、2本のストールです。
    (染めるものは天然繊維に限ります。)


    上がシルク(絹)で下がコットン(綿)です。ともに40×160センチほどの大きさで、両方を合わせた重さが、約200gほどです。※早速ッ!! ここでポイント!! ① 染めるものは、必ず重さを量っておきましょう。後々、いたるところで重さが必要になります。② 染めるものを精練(下記参照)をしておきましょう!!


    【精練の方法】

    精練とは、染めるものに含まれている汚れや油分、糊などを取り除く下処理のことをいいます。一見、きれいで真新しい布(生地)でも精練は必要です。この作業をしたものと、そうでないものでは染め上がりに随分と差がでます。方法は至って簡単ッ!! 布の重さの30倍ほどの水に洗濯用中性洗剤を適量(いつもの洗濯と同じ割合)を加え、沸騰する直前の温度で1時間ほど炊きます。後は、ふつうにすすいで脱水してください。※はいッ、ここでポイント!! 草木染では、すべての工程でステンレスかホーローの鍋を使ってください。また、その他の道具でも鉄やアルミ、その他の金属鍋は使わないでください。その理由は後述しています。


    【地入れ】

    精練を終えて一旦 乾かした布の場合、染料の浸透をよくするために「地入れ(じいれ)」と呼ばれる作業を行います。「地入れ」なんていうと、すごい作業のようですが、ただ単に染めるものを30分ほど水に浸けておくだけです。精練後、乾かさずに染める場合、この作業は不要です。


    【タマネギの皮で染料を作る】

    今回は8リットルの水で20グラムのタマネギの皮を使いました。たった20グラムかと思われるかもしれませんが、集めるとなると、結構な量のマネギを食べないといけません・・・。実際に見ると、これぐらいの量です。Tシャツ1枚を染めるにも同じくらいの量が必要になると思います。ただ、多すぎても美しい色にはなりません。ちなみに、今回は“黄金色を目指していて、皮の量が多すぎると、ベージュや茶色になってしまいます。


    20グラムのタマネギの皮に8リットルの水を加え、30分~1時間ほどかけて煮出して染液を作ります。※は~いッ、ここでもポイント!! タマネギの皮を煮出すとき、煮立たせないにように注意しましょう。どの本を見ても、そんなこと書いていないのですが、煮立たせると染液が濁ってしまって、それで染めると染め上がりも濁った色になるような気がしてなりません。なので、僕は煮立たせません。湯のなかでタマネギの皮があまり踊らない程度の温度で、じっくりと煮出します。染液の透明度や色の具合は、下の写真(【タマネギの皮で染める】)をご覧ください。

    ↓煮立たせず、じっくり色を抽出します。


    【タマネギの皮で染める】

    いよいよ染色です。まずは煮出したタマネギの皮を目の細かなザルやストレーナーで濾し取って染液(染めるための液)を作ります。これはタマネギの皮を8リットルの水で煮出しているので、ストール1本に対して40倍の染液を用いるということになります。今回は染液に布を浸して染める「浸染(しんせん)」という技法なので、この染液のなかで布をゆったりと泳がしながら染めます。なので、このくらいの量の染液が必要となります。といいつつ、これでも僕は少ないほうだと思います。ただ、これ以上少ないと、染めムラの原因になります。また、ひとつ屋では染料を60℃ほどに温めてから染めています。

    ↓シルク(絹)のストールを染めています。

    ↓コットン(綿)のストールを染めています。

    上の写真のような状態で、絶えず染液のなかで布を動かしながら10分ほどで染めます。※はいッ、ここでもポイント!! 布を動かす場合は、ただかき混ぜるのではなく、染液のなかで布を広げるようにします。そのとき、菜箸を使うと布に穴を開けてしまうことがあるので、しゃもじ(先の丸いターナー)のようなものを使ってください。


    【媒染をする】

    ある程度に染まったら(ちなみに、染色に「正解ッ!!」なんて色はありません。あくまで自分が好きな色具合になればOKです)染液から引き上げ、バケツなどに汲んでおいた水に入れて余分な染料を洗い流します。ゴシゴシは洗わず、水のなかで振り洗いする程度です。これを手で軽く絞り、媒染液に浸けます。黄金色に発色させるための媒染剤は「明礬(ミョウバン)」です。スーパーの漬物売場などで売っているものでOKです。これを8リットルのぬるま湯に20グラムを入れてよく溶かし、軽く絞った染めた布を浸します。このときも、染色のときと同様に、均等に媒染液が布に触れることを意識しながら、ときより広げるようにして動かして30分ほど浸けます。


    媒染液に浸すと、みるみるうちに色が変わっていきます。ご覧のとおり、茶色いタマネギの皮で染めたにも関わらず、黄色く発色します。これが草木染の特徴の一つです。植物染料と媒染剤の組み合わせで、同じ染材で染めても全く違った色になります。このように、植物の成分と金属イオンが結びついて発色するのが草木染の原理なので、その工程で鉄やアルミなどの金属製品を使うと思わぬ色に発足してしまうことがあるので、それらが使えないというわけです。


    【煮洗いをする】

    媒染液に30分ほど浸したあと、よく水洗いをしてから、余分な染料や媒染剤を取り除くため、8リットルの湯(40度前後)に少量の中性洗剤を加え、10分ほど加熱しながら煮洗いをします。


    【乾燥、仕上げ】

    煮洗いした布(生地)をよくすすいでから脱水し、シワにならないように広げて陰干しすれば完成です。とてもいい色になりました。上がシルク(絹)で下がコットン(綿)です。


    【追記】

    ご覧のとおり、シルク(絹)とコットン(綿)では色が違います。これは繊維にタンパク質が含まれるか否かによって違いが生じます。というのも、植物染料はタンパク質と結びつきやすいという性質があり、タンパク質でできているシルクやウール(羊毛)などの動物性繊維は染まりやすく、これを含まないコットンや麻などの植物性繊維は染まりにくいということが起こります。なので、植物性繊維には「絹化」と呼ばれる、繊維にタンパク質を付着せておく下処理をすることがあります。昔は呉汁(ごじる)や豆乳に浸したそうですが、今は専用の助剤があります。ちなみに、写真のコットン・スカーフも絹化の下処理をしているので、何もしないよりも濃く染まっています。また、精練や煮洗いの場合も中性洗剤ではなく、専用の助剤を用いることで堅牢度の高い作品にすることができます。

    今回、紹介したのは、あくまで家庭のキッチンでできる方法ですが、それでもとてもきれいに染めることができます。ぜひ!! チャレンジしてみてください。

  • 檜皮(檜の皮)での染め方

    檜皮(檜の皮)での染め方

    少し前に息子と二人、ハイキングがてらに草木染の染料となる植物を採りに行ってきました。そのなかの一つ「檜皮(ひわだ)」で薄いコットンを染めてみました。


    檜皮の染め方
    (檜の皮)


    ▼ これが山で見つけた檜皮、つまりは檜(ヒノキ)の皮です。

    写真で見ると「えッ!? 」って感じなんですが、まずはゴミを取り除き、よく水洗いしてから2cmほどに切ってから乾かしておいたのが下の写真です。

    何となく、それっぽくなりました! これを、もう一度よく水洗いして、ステンレスの鍋で炊いて染料を作ります。ちなみに、草木染の染料を煮出す場合は、必ずステンレスかホーローの鍋で煮出します。鉄やアルミの鍋は禁物です。

    コトコト、コトコトと炊き続けましたが、あまり濃い染料が取れなかったので、今回は重曹を加える「アルカリ抽出」という方法で染料を作りました。

    ▼ こうしてできたのが↓ これです。とても濃い染料になりました。

    では、布を染めていきます!! といいたいところですが、その前に、重曹を加えてアルカリになっている染液に酢を加えて中和し、さらに、染める布を精練してから絹化させておくことが必要があります。ちなみに「精練」とは、布の汚れを取り除くことなのですが、目に見える汚ればかりではなく、布の含まれる油分やタンパク質を取り除くことをいいます。昔は灰汁などで炊いたようですが、今は専用の洗剤を加えて1時間ほど炊きます。また「絹化」とは、文字どおり「絹」のようにすることなのですが、これも見た目の問題ではなく、綿(コットン)や麻などの植物性繊維にタンパク質を付着させることをいいます。これは染料や媒染剤(色止め)がタンパク質と結びつくことで、しっかりと繊維に定着するのを利用した下処理です。これも昔は呉汁(ごじる)や豆乳を使ったようですが、今では専用の溶剤があります。そもそもタンパク質でできている絹(シルク)やウール(羊毛)は、この作業をする必要がありません。

    ▼ 下処理した布を染料に入れます。

    この状態で、ムラにならないよう、常に染液になかで広げるようにしながら染めていきます。好みに色具合になったところで引き上げ、水で軽くすすいでから媒染液に浸します。このときの色具合ですが、布は濡れているときは濃く、乾くと薄く感じるので、想像している仕上がりの色より、少し濃い目に染めておきます。今回は明礬(みょうばん)と銅の2種で媒染します。

    ▼ まずは明礬による媒染。

    ▼ 次に銅による媒染。

    媒染とは、染料を布に定着させるためのもので、いわゆる“色止め”です。難しくいうと、植物に含まれるタンニンが金属イオンと結びついて布に定着する作用で、同じ植物を使って染めても、媒染剤となる金属の違いで全く違った色になります。


    媒染後、ソーピング(余分な染料を落とし、堅牢度を上げる)してから乾燥して仕上げます。上が明礬で、下が銅による媒染です。どちらも落ち着いた美しい色に染まりました。今回染めたのは、スラブの入った、とても薄いコットン生地で、春から初夏にかけてのスカーフでも作ろうと思っています。次の作業は、天然顔料を用いて柄を加え、さらにフリンジを作ってから、1年ほど熟成させます。草木染は熟成させると、ほんとッ!! いい色になります!

    次の報告を楽しみにしていてください!!

  • “アート”であるより“民芸”でありたい。

    “アート”であるより“民芸”でありたい。

    染め物をしていて以前から思うことがあります。それは「“アート”であるより“民芸”でありたい」ということです。

    絵ならキャンバスに描けばいいし、しゃれたデザインならパソコンを使えばいい、わざわざ手を使って“布に描く”なら、その意味を見失いたくないと思っています。そこで、僕にとって、布とは? と何度も考えてみた。すると、行き着くのは、いつも衣服や寝具など“生活に密着したもの”という答えになります。

    “アート”であるより“民芸”でありたい。

    その一方で、生活のなかで使い古された、いわゆる「古布」などを見るとアートに近い感覚を覚えます。暮らしのなかで生み出され、伝承されてきた技に憧れてしまいます。そんな美しさ近づきたいと、最近はコツコツを時間をかけた作業が多くなりました。

    “アート”であるより“民芸”でありたい。

    “アート”であるより“民芸”でありたい。

    これは「木目絞り」という、単純な絞りの柄を予定している風呂敷なのですが、1センチにも満たない幅で縫い絞り、木目のような柄を表現する技法で、根気のいる作業が続きます。まさに、民芸的な美しさがあるのですが、でき上がるまでには、かなりの集中力と時間を必要とするので、もう目も肩もガチガチです。それでもボチボチと作業をしているので、完成を楽しみにしていてください。