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檜皮(檜の皮)での染め方

少し前に息子と二人、ハイキングがてらに草木染の染料となる植物を採りに行ってきました。そのなかの一つ「檜皮(ひわだ)」で薄いコットンを染めてみました。


檜皮の染め方
(檜の皮)


▼ これが山で見つけた檜皮、つまりは檜(ヒノキ)の皮です。

写真で見ると「えッ!? 」って感じなんですが、まずはゴミを取り除き、よく水洗いしてから2cmほどに切ってから乾かしておいたのが下の写真です。

何となく、それっぽくなりました! これを、もう一度よく水洗いして、ステンレスの鍋で炊いて染料を作ります。ちなみに、草木染の染料を煮出す場合は、必ずステンレスかホーローの鍋で煮出します。鉄やアルミの鍋は禁物です。

コトコト、コトコトと炊き続けましたが、あまり濃い染料が取れなかったので、今回は重曹を加える「アルカリ抽出」という方法で染料を作りました。

▼ こうしてできたのが↓ これです。とても濃い染料になりました。

では、布を染めていきます!! といいたいところですが、その前に、重曹を加えてアルカリになっている染液に酢を加えて中和し、さらに、染める布を精練してから絹化させておくことが必要があります。ちなみに「精練」とは、布の汚れを取り除くことなのですが、目に見える汚ればかりではなく、布の含まれる油分やタンパク質を取り除くことをいいます。昔は灰汁などで炊いたようですが、今は専用の洗剤を加えて1時間ほど炊きます。また「絹化」とは、文字どおり「絹」のようにすることなのですが、これも見た目の問題ではなく、綿(コットン)や麻などの植物性繊維にタンパク質を付着させることをいいます。これは染料や媒染剤(色止め)がタンパク質と結びつくことで、しっかりと繊維に定着するのを利用した下処理です。これも昔は呉汁(ごじる)や豆乳を使ったようですが、今では専用の溶剤があります。そもそもタンパク質でできている絹(シルク)やウール(羊毛)は、この作業をする必要がありません。

▼ 下処理した布を染料に入れます。

この状態で、ムラにならないよう、常に染液になかで広げるようにしながら染めていきます。好みに色具合になったところで引き上げ、水で軽くすすいでから媒染液に浸します。このときの色具合ですが、布は濡れているときは濃く、乾くと薄く感じるので、想像している仕上がりの色より、少し濃い目に染めておきます。今回は明礬(みょうばん)と銅の2種で媒染します。

▼ まずは明礬による媒染。

▼ 次に銅による媒染。

媒染とは、染料を布に定着させるためのもので、いわゆる“色止め”です。難しくいうと、植物に含まれるタンニンが金属イオンと結びついて布に定着する作用で、同じ植物を使って染めても、媒染剤となる金属の違いで全く違った色になります。


媒染後、ソーピング(余分な染料を落とし、堅牢度を上げる)してから乾燥して仕上げます。上が明礬で、下が銅による媒染です。どちらも落ち着いた美しい色に染まりました。今回染めたのは、スラブの入った、とても薄いコットン生地で、春から初夏にかけてのスカーフでも作ろうと思っています。次の作業は、天然顔料を用いて柄を加え、さらにフリンジを作ってから、1年ほど熟成させます。草木染は熟成させると、ほんとッ!! いい色になります!

次の報告を楽しみにしていてください!!

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