カテゴリー: 染太郎日記

ひとつ屋の主催「壱つ屋染太郎」が、畑や工房、暮らしの中で感じたことを、そのまま書き留めています。結論や答えよりも、その時々の気持ちや揺れを大切にした、徒然なる日々の記録です。嬉しいことも、悲しいことも、しんどいことも、日々の中でふと浮かんだ疑問も—。そうした個人的な思いを綴ってきたのが「染太郎日記」です。

  • “物づくり大国――日本”だった時代

    “物づくり大国――日本”だった時代

    私が生まれ育ったのは大阪市の西南部で、いわゆる工業地帯です。多くの家が1階が工場、2階が住居というもので、私の家も、このスタイルでした。工場でクレーンを使うと家は大きく揺れ、地震に気づかないこともしばしば。あちこちから槌音が響き、溶接の光や火花が身近にありました。土曜日の昼下がりともなると、工場で働く職人たちが昼寝をしていたり、将棋をしていたり—と、何ともいえない雰囲気で、学校帰りの子供たちに「ちゃんと勉強してきたんかいッ!?」などと声をかけてくれました。町工場の社長たちは毎晩のように呑み、競って機械を買い、工場を広げては自慢していました。あれから随分と時は過ぎ、そんな工場はマンションになり、職人たちも、威勢のいい町工場の社長の姿も消えてしまいました。
    この運河にも大きな船が行き交っていましたが、かつての賑わいは失われ、“物づくり大国――日本” だった時代は、私の記憶とともに遠い過去のものになったことを痛感させられます。


  • 懲りないヤツ

    懲りないヤツ

    秋の初めから続いた3連続のイベント。先日、そのすべてが無事に終了したのですが、若くない身は疲労困憊で「来年はもう少しゆっくりことを運ばなければ—」と反省しています。ところが、その舌の根も乾かぬ内に4月に開催される着物(和装)のイベントに出展することにしました。我ながら“懲りないヤツだなぁ~”と思います。
    で、早速!出展する品の制作開始。今は茜でシルクを染めています。冬は染料の煮炊きで工房が温もり、作業が随分と楽です。草木の湯気に包まれながら、新しいアイテムづくりに挑戦しています!


    懲りないヤツ

  • 通学路

    通学路

    自宅から工房までの道は、かつては高校への通学路でした。自転車で25分ほどの道程ですが、通学から通勤と40年近く、今もこの道を通っています。ちなみに、高校生のころは17分で行けた道のりが、今ではどんなに頑張って自転車をこいでも25分はかかってしまいます――😬

    昭和から平成、そして令和へと、道すがらの風景は少しずつ変化し、今では日本一の高さを誇るビルを眺めながらの通勤になっています。ところが、この踏切の風景だけは当時のままで、今もマッチ箱のような小さなチンチン電車が通るのを見ると、ときにあのころのことを思い出します。

    私が通っていた高校は、専門的に物づくりが学べる特殊な教育内容で、国語や数学などの一般的な授業は半分で、残りの半分が物づくりのための授業です。しかし、それは工業科というものではなく、美術やデザイン、工芸という分野を各科に分かれてミッチリと勉強するという全国的にも珍しいものでした。一見すると楽し気な学校のようですが、できの悪い私は日々さまざまな課題や提出物に追われ、自らの技量やセンスの悪さを痛感させられることばかりでした。

    それでも、あの学校で学んだことが、今も“自分の物づくりの原点”にあります。あれから40年近くが過ぎ、歳を得て衰える発想力や体力が気になるようにもなりました。それでも、変わらなければならないこと、変わってはいけないことを見極めながら頑張ろうと思っています。

     

  • 師走ですよ!

    師走ですよ!

    バタバタというより、ドタバタと過ぎていった2022年も、あと1カ月となりました。みなさん! もう師走ですよ~。
    今年もまた「光陰矢の如し」と「“中年”老い易く学成り難し」を痛感するばかりでした。と、早々に締めくくりたいのですが、そういうわけにもいかず、今年最後のイベント「マルゼンボタンギャラリー」さんで開催される『クリスマス展(12月7日~12日)』に向けて、まだまだ頑張らなくてはなりません!

    師走ですよ!

  • チンチン電車「松虫」駅

    チンチン電車「松虫」駅

    ひとつ屋が最寄りの駅としているのは、大阪メトロ(地下鉄)谷町線の「阿倍野」駅なのですが、実はチンチン電車(阪堺電車)の「松虫」駅のほうが近く、最寄駅というならこちらになります。では、なぜ最寄駅としていないのかといいますと、この駅は大通りから少し住宅地に入ったところにあって、ちょっと分かりにくいからです。でも、その分、小さな小さな駅は風情があり、その周辺にもこじんまりとした商店が並び、まさに“昭和レトロ感満載!”って感じがあって大好きです。ただ、今は多くの店が営業していないのが残念でなりません。考えてみれば、こんなにも小さな駅にもかかわらず、店が立ち並び、ちょっとした商店街のようになっていたことを考えると、ここで働く人、ここに集う人—、かつての時代のほうが豊かだったことを感じさせられます。
    そして、ここが元気だった時代を見てみたかったです。

    チンチン電車(阪堺電車)の「松虫」駅