カテゴリー: 制作風景

このカテゴリーでは、ひとつ屋で手作りしているアイテムの製作風景を紹介しています。実際の現場での手順や試行錯誤、完成に至るまでの過程を、そのまま記録しています。中には、思うようにいかず商品にならなかったものもありますが(笑)、そうした失敗も含めて、物づくりのリアルな一面として残しています。

  • あべのハルカスと柿渋染め

    あべのハルカスと柿渋染め

    初夏の爽やかな風は、もちろん大好ですが、秋の陽射しも、いいですねぇ。歳をとったせいか、最近では、秋のほうが好きくらいです。

    今日は、そんな陽射しのもと、柿渋染めの天日干し。柿渋染めは、日光に当てるほど色が濃くなるからです。

    あべのハルカスと柿渋染め

    そんな伝統的な染色をしている ひとつ屋の物干し台からは、日本一の高さを誇る “あべのハルカス” が真正面に見えます。

    あべのハルカスと柿渋染め

  • 天然顔料(ベンガラ染め)によるロウケツ染め(後編)

    天然顔料(ベンガラ染め)によるロウケツ染め(後編)

    前回のブログ 『天然顔料によるロウケツ染め』の後編です

    話が前後しますが、まず “天然顔料” を簡単にいうと、色のついた “土” や “泥” のことです。地球上には、火山の活動や水の流れ、動植物の営みによって、さまざまな色の土や岩(鉱物)が生み出されます。これを粉砕したのが天然顔料で、日本画で使われる岩絵具(いわえのぐ)やベンガラも、そうしたものの一つです。

    ところが天然顔料は、それそのものでは何にも定着しません。例えば、神社の鳥居が赤いのは、古くは赤い土顔料(弁柄)を塗ったからなのですが、このときにも顔料だけでは直ぐに剥がれ落ちてしまうので、柿渋や油などに溶いて塗り重ねて定着させていました。

    しかし、布(衣服)に顔料を染めつけるのに、柿渋や油では着心地が悪くなってしまいます。そこで先人たちは、布に対する固着剤(バインダー)として、動植物から得たタンパク質を用いました。

    時代や場所によっては、このタンパク質を動物の血や乳などの体液から得たようですが、それでは入手が困難だろうし、保存性が悪いうえに、作業中の匂いも気になったでしょう。そこで、染色の分野では古くから大豆の絞り汁である呉汁(ごじる)を用いてきました。ちなみに、今回使っている土顔料には固着剤(バインダー)にアラビアガムに似たものが使われているそうです。

    かなりウンチクが長くなりましたが、このことを頭に置いて、作業の続きです。


    ▼ 前回までに「堰出し」と「ロウ伏せ」をし、地染めをしています。

    ▼ これを乾燥させてからロウを落とす「脱蝋(だつろう)」をします。※定着剤が効きが弱いので脱蝋は、できる限り短時間で行います。

    ▼ 「脱蝋」を無事に終え、乾燥させてから呉汁を塗り、再び乾燥させて蒸し器で蒸します。

    ▼ 天然染料だけとは思えないほど、いい感じに染まりました。

    今回の「天然顔料によるロウケツ染め」は実験的な試みで、随分と手間がかかりました。が、比較的に堅牢度も高く、今後さまざまなデザインに応用できそうです。さらに改良して、いろんな表現に挑戦していこうと思っています。

    どうぞ、今後をお楽しみにッ!!

  • 天然顔料(ベンガラ染め)によるロウケツ染め(前編)

    天然顔料(ベンガラ染め)によるロウケツ染め(前編)

    ずっと以前から悩んでいることがあります。それは、これからの作品づくりで “天然染料にこだわるか否か” という点です。最近になって、ついに答えが出ました。

    それは “臨機応変に対応する!” ということです。

    洗濯用の洗剤が進歩した現代では、やはり天然染料の堅牢度には限界があります。特に、植物染料は化学染料に比べて堅牢度(耐久性)がはるかに低く、例えば洗濯頻度の高いTシャツなどの普段着には不向きな面があります。比較的に堅牢度のある植物染料であっても、多色の表現となると膨大な時間と手間を要することになります。

    また、植物染料の多くは綿に染まりにくく、絹や羊毛などの動物性繊維(タンパク質)に染まり安いと性質があります。洗濯堅牢度や日光堅牢度が低い植物染料で無理にTシャツを染めることにこだわるよりも、手作り感のある技法にこだわったほうがよいように思うようになりました。

    それでも天然染料には魅力を感じます。そんなおり、天然染料の雰囲気と化学染料の利便性を兼ね備えた土顔料(いわゆる「ベンガラ染め」です)をもとにした染料と出合いました。そこで早速!! このところハマっているロウケツ染めで実験しました。

    まずは、試験的に小さな布で「堰出し」という技法です。


    ▼ ロウで囲った内側を呉汁に溶いた天然顔料で彩色します。

    ▼ 彩色した部分を充分に乾かしてからロウで伏せます。

    ▼ すべての堰出し部分をロウで伏せてから全体を染めます。(地色は「松煙(しょうえん)」という煤を使って染めました)

    ただ今、天日にて全体を乾燥中のため、今回はここまで。中途半端な終わり方で、すみません!! ちなみに、乾燥後は熱湯のなかで蝋を落とす「脱蝋(だつろう)」という作業を行うのですが、このときロウと一緒に顔料が流れ落ちてしまえば失敗となります。

    『天然顔料(ベンガラ染め)によるロウケツ染め(後編)』へと続きます。

  • 物づくりの醍醐味です!

    物づくりの醍醐味です!

    ご近所の方々で運営している家庭菜園の一角を借りて草木染めの材料になる植物ばかりを育てる 【ひとつ屋染織農園】を始めたのは、2014年の春のことでした。


    ▼ まず初めに栽培を始めたのが「蓼藍(たであい)」。
    物づくりの醍醐味です!

    ▼ その後、夏の太陽を浴びて、随分と大きくなっていきます。
    物づくりの醍醐味です!

    ▼ これを収穫して、ついに染料を作りました(作り方は『沈殿藍(泥藍)の作り方』をご覧ください)。
    物づくりの醍醐味です!

    ▼ 自家製の藍で染めています。
    物づくりの醍醐味です!

    ▼ 染めた生地で作りました。
    物づくりの醍醐味です!


    正直のところ、まだまだ市販されているような藍色にはなりませんが、それでも “自分で育てた藍を、自分で染料し、自分で染めて、自分で縫って、服にする” ってことで、これまで追い求めてきた “自分らしさ”  に近づけた大きな手ごたえを感じています。染料メーカーが作った染料を、そのメーカーが推奨する方法で染めるのではなく“自分で育てた色を染める” ことに感動すら覚えます。まさに “物づくりの醍醐味” です。

    これからは、もっともっと、もっと! オリジナルを研究していこうと思います。

  • 板締め絞り

    板締め絞り

    今回は「板締め絞り(いたじめしぼり)」という技法です。「板締め絞り」とは、単に「板締め」ともいう古い染色技法のひとつ。生地を折りたたんで板で挟んみ染料に浸すと、板で挟まれた部分には染料が入らないないことを利用して柄や模様を施す技法です。

    といいながら、僕はこの技法が苦手です。というのも、染色中は こんな状態で、とても染めにくいんです。

    クランプのせいで、うまく染められません。とにかく、クランプで締め上げた板を外すと、こんな 模様が出てきました。

    う~ん、やっぱりうまく染まっていません。決して納得できる出来栄えではありませんが、これでも、Tシャツくらいは縫ってみようと思います。