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  • 沈殿藍(泥藍/藍錠)の作り方

    沈殿藍(泥藍/藍錠)の作り方

    もう何度も作っている沈殿藍(ちんでんあい)。別名、泥藍(どろあい)。おおよそ失敗なく作れるようにはなったのですが、もう少し濃い藍色にしようと試行錯誤を続けています。今回は、改めて〝蓼藍(たであい)による基本的な沈殿藍の作り方〟を紹介します。ちなみに、沈殿藍はインド藍や琉球藍で藍色成分(インジゴ)を抽出するのによく用いられる方法です。


    ▼ この内容は、YouTube にも「沈殿藍の作り方」として動画をUpしました。ぜひ!そちらもご覧ください。


    沈殿藍(泥藍)の作り方


    ▼ これがタデアイです(タデ科イヌタデ属の一年生植物)。秋には、こんな花が咲きます。ただし、沈殿藍を作るのは藍色成分の多い半夏生(はんげしょう)を過ぎた7月の始めに収穫した藍(一番藍)が最も適しています。花の咲くころは不向きです。

    ひとつ屋染料農園
    ひとつ屋染料農園

    ▼ 刈り取った藍はフタ付きの大き目のバケツにふんわりと入れ、ひたひたの水を注いでから屋外で2~3日発酵させます。藍が水から出ないように落し蓋などをします。下の写真は炎天下で48時間くらいの状態です。

    ※葉のついた茎ごと発酵させてもよいのですが、ひとつ屋では葉のみを発酵させています。藍色成分の多い葉のみを使って、少しでも濃い藍をとりたいからです。

    沈殿藍(泥藍)の作り方

    ▼ 60時間たった状態です。葉は褐色になり、気泡ができた水面には紫色の膜が張って、水にはとろみが出てきます。こうなれば発酵終了です。これ以上、発酵させても色が悪くなります。ちなみに、藍の独特な匂いのうえに強烈な腐敗臭がします。作業は屋外で行いましょう。

    沈殿藍(泥藍)の作り方

    ▼ 葉をきれいに濾しとってから粉末の消石灰を加えます。消石灰は園芸店で購入することができます。20㍑の水に対し、約30㌘ほどの消石灰をいれました(一度に全量を加えずに、泡立ちや色の変化を見ながら少しずつ加えていきましょう。ph値で10〜11です。加えすぎると、白い石灰のせいで色が薄くなります。)。このとき、消石灰を粉末のまま入れるのではなく、300㏄ほど水で溶いてから少しずつ添加してください。

    沈殿藍(泥藍)の作り方

    ▼ 消石灰の加えた後、かき混ぜていると白い泡(上の写真)が次第に青くなり(下の写真)、不思議なことに腐敗臭が消えていきます。空気を触れさせることを意識し、かき混ぜるというより、泡立てるイメージで頑張ってください。また、古くなった消石灰では効果が薄れるらしく、新しいものを使いましょう。

    沈殿藍(泥藍)の作り方

    ▼ さらに撹拌を続けていると青い泡は大きくなり、泡がすぐに消えてしまうようになります。そうなるまでに、かき混ぜる回数が2000回とも、3000回ともいわれています。こうなれば撹拌終了です。

    沈殿藍(泥藍)の作り方

    ▼ 撹拌を終了し、そのまま蓋をして二日ほどおいてからペットボトルなどの容器に移します。藍色成分が沈殿している様子がよくわかります。さらに上水を捨て、このまま保存します。これが「沈殿藍」です。

    ▼ペットボトルから出してバットやボウルに移し、泥状になるまで水分を飛ばしたのが「泥藍」。さらに水分を蒸発させ、乾燥させたのが「藍錠(あいじょう)」(下の写真)です。これを乳鉢で本末にしておくと、使うときに便利です。

    沈殿藍(泥藍)の作り方

    沈殿藍(泥藍)の作り方

    一般的には「泥藍」の状態でペットボトルなどにいれて保存します(乾燥させると退色するという説もあります)。

    長文になりましたが、以上が「蓼藍(たであい)による泥藍(沈殿藍)の作り方」です。これを使っての染め方については、別の機械にUpします。お楽しみに!


    ひとつ屋で「草木染め教室」のほか、Web Shop では植物染料の販売を行っております。ぜひ!ご覧ください。


  • 【草木染】コウシソウ(紫根/ムラサキ)

    【草木染】コウシソウ(紫根/ムラサキ)

    ◆ 学名/Lithospermum erythrorhizon ◆ 分類/ムラサキ科ムラサキ属
    ◆ 備考/コウシソウ(紅紫草)は生薬名(漢方薬名)で、その文字どおり“紅”や“紫”の色をもつ植物です。紫根と同じムラサキ科の多年草で、その根は昔からさまざまな薬にされ、同様に染料としても利用されてきました。江戸時代には生薬としての効能からか、それらで染めた布を病人の頭に巻いて病の平癒を願う習慣があったそうです。しかし、その染め方は一般的な草木染め以上に手間がかかったらしく、それゆえに、紫は高貴な色とされるようになったそうです。

    ▶ 【販売サイト】100g / ¥960(税抜)


    ▼ 紫根(ムラサキ)の花(ひとつ屋染料農園にて)

    紫根の花が咲いている

    ◆ 抽出法/掲載の色サンプルは、アルコール抽出によるものです。

    ◆ 染色日/① ’20年7月1日


    染色カラー見本


    ※写真下の説明「被染材(濃染=カチオン処理済)/媒染剤」
    ※色は撮影条件やモニターの設定により、 実物とは違って見えます。ご了承ください。

    綿/アルミ

    綿/アルミ

    綿(濃染処理)/アルミ

    綿(濃染)/アルミ

    綿(濃染処理)/アルミ

    綿(豆乳)/アルミ

    絹/アルミ

    絹/アルミ

    羊毛/アルミ

    羊毛/アルミ

    綿/銅

    綿/銅

    綿(濃染)/銅

    綿(濃染)/銅

    綿(濃染)/銅

    綿(豆乳)/銅

    絹/銅

    絹/銅

    羊毛/銅

    羊毛/銅

    綿/鉄

    綿/鉄

    綿(濃染)/鉄

    綿(濃染)/鉄

    綿(濃染)/鉄

    綿(豆乳)/鉄

    絹/鉄

    絹/鉄

    羊毛/鉄

    羊毛/鉄

    綿/チタン

    綿/チタン

    綿(濃染)/チタン

    綿(濃染)/チタン

    綿(濃染)/チタン

    綿(豆乳)/チタン

    絹/チタン

    絹/チタン

    羊毛/チタン

    羊毛/チタン


    memo


    「コウシソウ(紅紫草)」とはよくいったもので、上記の色サンプルのとおり、絹(シルク)を鮮やかな紅色や紫色に染めることができます。綿(コットン)は未処理、カチオン化ともにほとんど染まりませんでした。ところが、豆乳で下処理した綿(コットン)は非常によく染まっています。また非加熱の染料でありながら、羊毛(ウール)もよく染まっています。

  • 綿の花が咲きました。

    綿の花が咲きました。

    新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛が続いていた5月の連休中に蒔いた洋綿が花を咲かせ始めました。

    ▼洋綿は、咲いたときには白い花が、時間がたつと赤い花になります。

    コロナが少し落ちつたかと思うと、大阪も連日の大雨です。もう辟易しています。一番藍の収穫時期なのに、染料園(畑)へも行けていませんでした。ようやくわずかな晴れ間がのぞいた昨日、染料園へ行ってみると、洋綿がちらほらと花を咲かせ、早いものは実をつけていました。

    でも、これからも雨が続くとの予報。そのうえ、コロナも再び感染が広がっています。皆様くれぐれもご自愛くださいませ。

  • 蚕紗(さんしゃ)染めのマフラー

    蚕紗(さんしゃ)染めのマフラー

    以前『蚕紗(蚕の糞)染め』題したブログで、原毛(ウール)を“蚕の糞”で染めて糸に紡いだことを書きました。 蚕の糞とはいえ、桑の香りがするくらいで、不快感は一切ありません。それどころか蚕の糞は、古くから関節痛や神経痛、結膜炎などの漢方薬として利用されたり、脱臭剤や整髪料 、歯磨き粉、鉛筆の芯などにも利用されたりしたそうです。今回は、そんな蚕の糞で染めた糸をマフラーに織り上げた話です。

    ▼蚕紗(蚕の糞)で染めた原毛(ウール)を紡いだ糸。
    蚕紗(蚕の糞)染め

    梅雨に入ろうかというころから、この糸を使ってマフラーを織り始めました。ちょっと季節はずれのような気もしますが――(笑)。でも、雨の日はなぜか集中できて作業が進みます。ちなみに、子供のころから雨の日が好きだったのは、そんな理由からです。

    蚕紗(さんしゃ)染めのマフラー

    そして、ようやく織り上げることができました。夏に向かうころ、とても季節はずれなアイテムですが、蚕の糞からとても美しい織り物がうまれました。納得の作品です!

    蚕紗(さんしゃ)染めのマフラー

    蚕紗(さんしゃ)染めのマフラー

     

  • 【草木染】ザクロ(果皮)

    【草木染】ザクロ(果皮)

    ◆ 学名/Punica granatum ◆ 分類/ミソハギ科ザクロ属
    ◆ 備考/原産地は「西南アジア説」「南ヨーロッパ説」「北アフリカ説」と、さまざまあります。日本には平安時代に中国(もしくは朝鮮半島経由)から渡来したらしく、現在では東北南部から沖縄に至るまでの各地で栽培されています。苗木から育てると結実までに10年を要することがあるとか。日当たりの良い場所を好みます。

    ▶ 【販売サイト】


    ▼ ザクロの花(’20年5月中旬撮影)

    【草木染】ザクロ(果皮)

    ◆ 染色/今回、染色に用いたのは果実の皮(果皮)です。これを煮出した煎剤を中国や日本では下痢や下血の漢方薬として用いてきました。染色カラー見本のとおり、どの媒染剤でも美しく染まります。綿(コットン)も良く染まりました。堅牢度は未確認です。ちなみに、ザクロの枝葉でも染まります。下記の「抽出結果①」では果皮を煮出した直後、「抽出結果②」では果皮を煮出して三日後に染めたものです。
    ※ ザクロ(果皮)100gを小さく砕き、ぬるま湯に3時間ほど浸してから煮出しています。

    ◆ 染色日/① ’20年5月16日、② ’20年5月19日


    抽出結果①


    ※写真下の説明「被染材(濃染=カチオン処理済)/媒染剤」
    ※色は撮影条件やモニターの設定により、 実物とは違って見えます。ご了承ください。

    綿/アルミ

    綿/アルミ

    綿(濃染処理)/アルミ

    綿(濃染)/アルミ

    絹/アルミ

    絹/アルミ

    羊毛/アルミ

    羊毛/アルミ

    綿/銅

    綿/銅

    綿(濃染)/銅

    綿(濃染)/銅

    絹/銅

    絹/銅

    羊毛/銅

    羊毛/銅

    綿/鉄

    綿/鉄

    綿(濃染)/鉄

    綿(濃染)/鉄

    絹/鉄

    絹/鉄

    羊毛/鉄

    羊毛/鉄

    綿/チタン

    綿/チタン

    綿(濃染)/チタン

    綿(濃染)/チタン

    絹/チタン

    絹/チタン

    羊毛/チタン

    羊毛/チタン


    抽出結果②


    ※写真下の説明「被染材(濃染=カチオン処理済)/媒染剤」
    ※色は撮影条件やモニターの設定により、 実物とは違って見えます。ご了承ください。

    綿/アルミ

    綿/アルミ

    綿(濃染処理)/アルミ

    綿(濃染)/アルミ

    絹/アルミ

    絹/アルミ

    羊毛/アルミ

    羊毛/アルミ

    綿/銅

    綿/銅

    綿(濃染)/銅

    綿(濃染)/銅

    絹/銅

    絹/銅

    羊毛/銅

    羊毛/銅

    綿/鉄

    綿/鉄

    綿(濃染)/鉄

    綿(濃染)/鉄

    絹/鉄

    絹/鉄

    羊毛/鉄

    羊毛/鉄

    綿/チタン

    綿/チタン

    綿(濃染)/チタン

    綿(濃染)/チタン

    絹/チタン

    絹/チタン

    羊毛/チタン

    羊毛/チタン


    memo


    タイ王国で染織工房を訪ね歩いたとき、タイ人が「染料を腐らせているので臭い」と、よく言っていた。日本人としては「染料を腐らせる?」と思ったが、そういえば「赤い染料を得るときなどは、染材を煮出してすぐには染めず、数日後に染めたほうがよい」と聞くことがある。あとになって「腐らせたほうが濃く染めることができる染料があるのかもしれない」と思った。特に、熱帯の東南アジアでは、そういった方法があるのかもしれない。もう少しきちんと聞いておけばよかったと後悔する。
    そこで、今回「ザクロ」を染めるにあたって「抽出結果①(抽出直後)」と「抽出結果②(抽出後三日)」に分けて染めてみた。②のほうが若干濃く染まった気がするが大差を感じなかった。