◆ 学名/Punica granatum ◆ 分類/ミソハギ科ザクロ属
◆ 備考/原産地は「西南アジア説」「南ヨーロッパ説」「北アフリカ説」と、さまざまあります。日本には平安時代に中国(もしくは朝鮮半島経由)から渡来したらしく、現在では東北南部から沖縄に至るまでの各地で栽培されています。苗木から育てると結実までに10年を要することがあるとか。日当たりの良い場所を好みます。
▼ ザクロの花(’20年5月中旬撮影)
◆ 染色/今回、染色に用いたのは果実の皮(果皮)です。これを煮出した煎剤を中国や日本では下痢や下血の漢方薬として用いてきました。染色カラー見本のとおり、どの媒染剤でも美しく染まります。綿(コットン)も良く染まりました。堅牢度は未確認です。ちなみに、ザクロの枝葉でも染まります。下記の「抽出結果①」では果皮を煮出した直後、「抽出結果②」では果皮を煮出して三日後に染めたものです。
※ ザクロ(果皮)100gを小さく砕き、ぬるま湯に3時間ほど浸してから煮出しています。
◆ 染色日/① ’20年5月16日、② ’20年5月19日
抽出結果①
※写真下の説明「被染材(濃染=カチオン処理済)/媒染剤」
※色は撮影条件やモニターの設定により、 実物とは違って見えます。ご了承ください。
綿/アルミ
綿(濃染)/アルミ
絹/アルミ
羊毛/アルミ
綿/銅
綿(濃染)/銅
絹/銅
羊毛/銅
綿/鉄
綿(濃染)/鉄
絹/鉄
羊毛/鉄
綿/チタン
綿(濃染)/チタン
絹/チタン
羊毛/チタン
抽出結果②
※写真下の説明「被染材(濃染=カチオン処理済)/媒染剤」
※色は撮影条件やモニターの設定により、 実物とは違って見えます。ご了承ください。
綿/アルミ
綿(濃染)/アルミ
絹/アルミ
羊毛/アルミ
綿/銅
綿(濃染)/銅
絹/銅
羊毛/銅
綿/鉄
綿(濃染)/鉄
絹/鉄
羊毛/鉄
綿/チタン
綿(濃染)/チタン
絹/チタン
羊毛/チタン
memo
タイ王国で染織工房を訪ね歩いたとき、タイ人が「染料を腐らせているので臭い」と、よく言っていた。日本人としては「染料を腐らせる?」と思ったが、そういえば「赤い染料を得るときなどは、染材を煮出してすぐには染めず、数日後に染めたほうがよい」と聞くことがある。あとになって「腐らせたほうが濃く染めることができる染料があるのかもしれない」と思った。特に、熱帯の東南アジアでは、そういった方法があるのかもしれない。もう少しきちんと聞いておけばよかったと後悔する。
そこで、今回「ザクロ」を染めるにあたって「抽出結果①(抽出直後)」と「抽出結果②(抽出後三日)」に分けて染めてみた。②のほうが若干濃く染まった気がするが大差を感じなかった。