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  • 桜の染料を作る

    桜の染料を作る

    地域の家庭菜園の一角を借りて始めた【ひとつ屋染織農園】。その名のとおり、藍や紅花、和綿や苧麻など、染織にかかわる植物ばかりを栽培しているのですが、その周囲にも染料となる植物があります。その一つが、おなじみの桜。春には花見ができるほどの大木で、夏には心地よい木陰で強い太陽光から菜園の植物を守ってくれています。

    桜の染料を作る

    新緑のころになると、その下に生えた雑草とともに、根本から出た小枝を刈り込む作業が行われます。桜は、“桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿”といわれるように強い剪定をしないので、下枝とはいえ、僕にとっては貴重な染材となります。ちなみに、染料にするには花の咲く前の枝がよいのですが、貴重な桜なので贅沢はいっていられません。早速!! 刈ったばかりの枝をいただいて染料を作ることにしました。

    ▼ こういう下枝の刈り込みが行われます。
    桜の染料を作る

    1センチほどに細かく切った枝葉を、ただただひたすらに小さな火で炊き続けます。今日も明日も明後日も。こうしてできた煮汁を一年以上の時間をかけて熟成させて染料にします。

    桜の染料を作る

    次のブログ更新までに、おととしに作った桜の染料でレーヨンのスカーフを染めてUpします。さて、どんな色になるか? 楽しみにしていてください。

  • 天然染料へのこだわり

    天然染料へのこだわり

    草木染工房 ひとつ屋のコンセプトは 『 “ひとつ一つ” と “ひとり一人” を大切に、天然素材(染料)にこだわった物づくり 』 なのですが、正直のところ 『 天然素材にこだわった(染料) 』 の部分に限界を感じることがあります。

    というのも、今、来月のグループ展に向けて「月と太陽」をテーマにした作品を作っているのですが、そのイメージはできても、それを天然染料だけで表現するのが至難の業です。

    色数や発色にしても、図柄を表現する技法にしても、化学染料に比べて天然染料では圧倒的にその幅が狭くなります。植物染料と天然顔料(ベンガラや泥など)を併用したり、絞り染めの多色化に挑戦したりはしていますが、そもそも表現しにくい色や併用できない技法があるので、それらを避けたものとなります。手間も時間も、コストも、化学染料に比べて随分と要する天然染料––。そのうえ何度も失敗すると、もう化学染料で染めてしまおうかなぁ~と、心がぶれることがあります。

    ▼ それでも上の写真は 天然のみの表現なんですよ!
    天然染料へのこだわり

    桜で染めた薄い桃色の地に、天然顔料(ベンガラ)を型染めしています。異なった天然素材の暖色系を組み合わせて『早春』を表現したものなのですが、上記の愚痴とは逆に“化学染料には出せない天然染料(顔料)ならではの優しい色合いと雰囲気”があります。ほんとッ!! 美しさや奥行きを感じます。やはり【ひとつ屋】では天然素材(天然染料)にこだわりをもって作品づくりをしていきます!

  • 桜で“日本の色”を染める

    桜で“日本の色”を染める

    草木染で表現する色のなかで最も好きなのが、桜を使って染める、文字どおりの“桜色”です。化学染料では出ない、わずかに灰色がかった色は、ピンクでも桃色でもない、まさに桜色。それは、これぞ!! “日本の色”という気品を感じさせてくれますが、桜でこの色を染め出すには、大変な時間と労を要します。

    ▼ 桜で染めたコットンのスカーフです。
    桜で“日本の色”を染める

    まず、最も大きな問題が桜が手に入らないということです。桜で染料を作る場合、必要になるのが樹皮のついた小枝なのですが、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」といわれうように、めったに桜を切ることがありません。今回は母の実家で剪定されたものを使いました。

    これを細かく切って、小さな火で炊き続けます。来る日も来る日も――。冷ましては炊き、炊いては冷ますを繰り返します。ここでのポイントは、染料となる煮汁が濁らないようにすること。そのためには煮立たせず、丁寧に灰汁を取り除くことです。

    こうしてできた煮汁を1年以上、熟成させます。ひとつ屋の場合はペットボトルに入れてから、冷暗所で寝かせておきます。すると、その底にワインの澱(おり)のような沈殿物ができますが、これが入らないようにして鍋に移して加熱し、下処理しておいた布を浸して染めていきます。

    桜で“日本の色”を染める

    これをさらに、媒染によって発色させ、色を定着させます。今回はミョウバンとアルミ(最初の写真の上下がミョウバン、真ん中がアルミ)による媒染をしました。が、なかなか思うような色にならないんですよねぇ。

    ▼ 媒染中です。
    桜で“日本の色”を染める

    以上が、桜の枝からピンクの布を染めるまでの大まかな手順で、さらに染めた布を1年ほど熟成させると、ほんとッ!! きれいな桜色になります。ということで、完成は一年後――。でも、やっぱり天然染料は素晴らしい色です。この夏は、草木染を頑張ってみようと思っています。