ひとつ屋の染料農園の片隅には八重咲きの豪華な椿(つばき)があり、毎年、美しい姿を見せてくれます。春になってからも寒い日が続いた今年(令和二年)は、いつになく椿の花が長く咲いていたので、これで久しぶりに「花びら染め」をしようと思います。
▼ 息をのむほど豪華に、そして美しく咲く八重の椿。
▼ 散りかけたものや地面に落ちて間もない花びらを集めて染料にします。
▼ 集めた花びら。
「花びら染め」は染材を煮出して染料を作る一般的な草木染めの方法とはことなり、花びらの含まれるアントシアニンを酸やクエン酸を使って抽出し、これを染料して染めます。乱暴にいえば、赤紫蘇ジュースの作り方と同じです。が、今回は染料店は発売している専用の助剤を用いて、堅牢度の高い方法で染めています。
▼ 助剤(酸)の中で花びらをもみ、染料(アントシアニン)を抽出します。
▼ これを袋に入れてこし、染料にします。
▼ これに布を浸して染めていきます。
▼ 染めた布を媒染します。その結果は以下のとおりです。
【ツバキ(花びら染め)】
◆ 学名/Camellia ◆ 分類/ツバキ科ツバキ属
◆ 備考/日本をはじめ、朝鮮半島、中国を含む東アジアから東南アジア、さらにはヒマラヤにかけて分布する植物です。およそ250種が知られ、日本でも古くから庭木として栽培されてきました。18世紀には日本から欧米に渡り、当地で豪華な姿に品種改良され、再び移入されたものを「西洋椿」と呼んでいます。今回、用いた椿も、そんな西洋椿の一種だと思われます(未確認)。
◆ 染色/’20年4月12日、採取(大阪)と染色。絹(シルク)には美しく発色しています。羊毛(ウール)も良好です。綿(コットン)は染まるものの堅牢度が低く、数日で退色するものもありました。絹、羊毛の堅牢度は未確認です。
◆ 媒染/中媒染(金属イオン等については、下記の色見本をご確認ください)
※写真下の説明分「被染材(濃染=カチオン処理済)/媒染剤」
絹/アルミ
羊毛/アルミ
絹/銅
羊毛/銅
絹/鉄
羊毛/鉄
絹/チタン
羊毛/チタン
▼下記の色見本では「花びら染発色剤C (田中直染料店)」を使用しています。
コウツチハツコさん、こんにちは!
私も「花びら染め」に詳しいわけではありませんが、少し気になったことを書かせていただきます。
まず花びら染めは、そもそも堅牢度が低いでご注意ください。また、酸(クエン酸)は色を定着させるためではなく、花びらから色を抽出する際に使うものだと思います。
さらに、染めた繊維の色止めには媒染が必要だとも思います。各媒染については、このページの色サンプルをご参考ください。
最後に「石鹸で洗うと色が変化する」とありますが、これが媒染に原理で、石鹸はアルカリなので灰色から青色に変化します。花びら染めで色を変化させたくない場合は、中性洗剤をご使用ください。
簡単ではございますが。私が知る限りの情報でございます。よろしくお願い申し上げます。
教えてください。椿抽出液で染めた後、色素を定着させるためにクエン酸(10%)液に浸しました。その後,水洗いした結果ピンクから紫っぽい色に変化しました。その後,汚れた時は石鹸で洗うからと思い,石鹸を当てたとたん青色に変化し,すすいで干した時にはほぼほぼ色は消えて,ほんとうにうっすら青系?の色が付いている物となってしまいました。液体の洗濯洗剤では試していません。
◎洗剤で色が抜けない色素定着をするにはどうしたらよいのでしょうか?