カテゴリー: 草木染の方法(YouTubeなど)

このカテゴリーでは、ひとつ屋がホームページやYouTubeにアップした動画を紹介しています。草木染の基本的な方法をはじめ、糸づくりや織り方など、染織に関わる工程を中心にまとめています。実際の作業の流れや手元の動きが分かるように、現場の視点から“How-to”をできるだけ丁寧に解説しています。

  • 葛糸の作り方 Vol.2

    葛糸の作り方 Vol.2

    先日のブログ『葛糸の作り方 Vol.1』続きです。

    前回までに、刈り取ってきた葛の蔓を煮て、草で作った室(むろ)のなかで発酵させています。今回は発酵を終えた蔓を川へもっていき、外皮を洗い流し、その下にある靱皮(植物の外皮の下にある柔らかな内皮)を取り出す作業です。この靱皮が糸になります。


    葛糸の作り方(2)
    葛から繊維を取り出す方法


    ▼ 前回までに、炊いた蔓を草で作った室を作り、ブルーシートのなかで発酵させています。
    葛糸の作り方

    ▼ 三日後、ブルーシートを開いてみます。
    葛糸の作り方

    ▼ 蔓の表皮が発酵してグズグズになっています。しかし、腐敗臭などの匂いはありません。
    葛糸の作り方

    ▼ これを川へもっていき、洗います。浅く緩やかな流れの場所が作業的には好条件です。
    葛糸の作り方

    ▼ ゆるやかな川の流れのなかで外皮を洗い流し、芯から靱皮を剥がします。
    葛糸の作り方

    ▼ さらに、とれた靭皮を川の流れにさらします。
    葛糸の作り方

    葛糸の作り方

    ▼ これを、もつれないようにして乾かせば完成です。
    葛糸の作り方


    今日は、ここまでです。次回『葛糸の作り方 Vol.3』では、この靭皮を細く裂き、績んで糸にします。ちなみに「績(う)む」とは、麻などの繊維を細く裂いて繋いで糸にすることです。しかし、もう少し葛の繊維を溜めてからの作業になるので、ブログで紹介できるのは少し先になりますが、ぜひ! 楽しみにしていてください。

    ※ 今回紹介しているのは、ひとつ屋での方法です。伝統工芸品としての方法とは異なりますので、あらかじめご了承ください。また、葛の靭皮を洗い出す作業で、川を汚染することなどはありませんので、ご安心ください。

    ※前回のブログ『葛糸の作り方 Vol.1』は、ここをクリックしてください。

  • 葛糸の作り方 Vol.1

    葛糸の作り方 Vol.1

    先日のブログ『葛糸づくり』で紹介した糸について、今回は“葛から繊維を取り出す方法”を紹介します。

    まず「葛糸」について簡単に説明します。葛糸とは、河川敷などでよく見られるマメ科の葛(クズ)と呼ばれる植物から得られる繊維です。現在において、葛は“ 厄介な雑草” とされ、刈っても刈っても繁茂し、ときに他の植物を駆逐してしまうこともあるので “グリーンモンスター” として嫌われる側面もあります。しかし、古来この植物は食用や飲用(茶や酒)、さらには「葛根湯」などの薬とされ、根からとれる「葛粉」は有名で、人々の暮らしにはなくてはならない植物でした。

    そんな葛の蔓から作られるのが「葛糸」で、すでに新石器時代には織物として利用されていたようです。その作り方は意外に簡単で、夏に採取した葛の蔓を煮て発酵させたのち、水(川)に晒して繊維を取り出します。では早速、その工程を紹介しましょう!


    葛糸の作り方
    葛から繊維を取り出す方法


    ▼ 河川敷や堤防などで繁茂する葛。これを糸にしていきます。
    葛糸の作り方

    ▼ 葛の葉と蔓の様子。
    葛糸の作り方

    ▼ まずは、葛の蔓を採取します。今年伸びたまっすぐなものがよいようです。蔓からは葉を落としておきます。
    葛糸の作り方

    ▼ 蔓を1.5mくらいに切りそろえ、丸めて縛り、20~30分ほど炊きます。
    葛糸の作り方

    ▼ 炊きあがった蔓を草(ススキがよいらしい)の上に広げます。
    葛糸の作り方

    ▼ さらに、上から草を乗せて蔓を挟みます。
    葛糸の作り方

    ▼ これをブルーシートで包み、日向に3~4日放置して蔓を発酵させます。
    葛糸の作り方


    今日は、ここまでです。次回『葛糸の作り方 Vol.2』では、発酵させた葛の蔓を川へもっていき、丁寧に洗いながら薄い繊維を取り出していきます。お楽しみに!

    ※ 今回紹介しているのは、ひとつ屋での方法です。伝統工芸品としての方法とは異なりますので、あらかじめご了承ください。

  • ひとつ屋シルク「繭が糸になるまで(紡ぎ)」編

    ひとつ屋シルク「繭が糸になるまで(紡ぎ)」編

    ひとつ屋では放棄耕作地を再耕し、桑の栽培から始めた“国産シルク製品づくり”に取り組んでいます。以前のブログ(『ひとつ屋シルク「蚕が繭を作るまで」編』)では、卵から育てた蚕が繭になるまでを書きましたが、今回は『ひとつ屋シルク「繭が糸になるまで」編』と題して、収穫した繭(収繭)を糸にするまでを紹介します。


    ▼ できたばかりの繭。とても美しいのが印象的です。
    ひとつ屋シルク「蚕が繭を作るまで」編

    ▼ 今回は、繭の先端を切って蛹(さなぎ)を取り出したものを使用します。ちなみに、取り出した蛹は爬虫類などのエサとなります。

    ▼ まずは繭を布の袋に入れ、重曹を加えた熱湯で焚きます。 

    ▼ 焚き終えた繭は、袋に入れたまま流水でよくすすぎます。

    ▼ すすぎが終わった繭は袋から出して乾かします。

    ▼ 乾いた繭を、ひとつ一つ丁寧に紡いでいきます。

    ▼ 蛹を取り出してからの作業なので、とても白く美しい糸を紡ぐことができます。なお、▲ 次回(以降)は、この糸を織るシーンを紹介します。


    コメント

    笹に覆われた放棄耕作地を再耕して養蚕の準備を始めたのは2018年(当時のブログ『伊賀工房のはじまり』をご覧ください。)。無謀な取り組みは、本当に“右往左往”と“試行錯誤”の連続でした。今も生産量は少ないし、たくさんの問題点もあります。これららも、小規模ながらのメリットをいかした “古い時代の養蚕” にチャレンジしたいと思っています。これらの ひとつ屋を楽しみにしていてください!
    なお、上記の糸紡ぎの方法は「ずり出し」の技法をもとに、ひとつ屋で考案したもので、伝統的な技法とはいえません。ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。

  • マリーゴールドの染め方

    マリーゴールドの染め方

    マリーゴールドは、キク科コウオウソウ属(マンジュギク属)のうちでも栽培されるものの総称で、アメリカ大陸の熱帯と温帯にかけて約50種が分布します。園芸店では「フレンチ」や「アフリカン」などと表示されていますが、すべてがメキシコ原産でフランスやアフリカとは無縁だそうです。江戸時代には日本へ伝えられ、「千寿菊」や「万寿菊」と呼ばれていました。


    ▼ 色とりどりの花を咲かせるマリーゴールド。

    晩春から初冬まで次々に花を咲かせるマリーゴールドはガーデニングでも人気で、街角でもよくみかけます。その花や枝葉はよい染料になり、安価なうえに育てやすい植物なので、ぜひ!マリーゴールド染めにチャレンジしてみてください。では、早速!その染め方を紹介します。


    マリーゴールドの染め方


    ① 今回、染めるのはシルク(左)とコットン&レーヨン(右)のストールです。


    ② 被染物を「煮洗い」します。煮洗いとは、染めるものに含まれている汚れや油分、糊などを焚いて取り除くことをいいます。一見、きれいで真新しい布(生地)でも煮洗いは必要です。この作業をしたものと、そうでないものでは染め上がりに随分と差がでます。方法は至って簡単です。布の重さの30倍ほどの水に洗濯用中性洗剤を適量(いつもの洗濯と同じ割合)を加え、沸騰する直前の温度で30分ほど炊きます。後は、ふつうにすすいで脱水してください。

    ※ここでポイントです。草木染では、すべての工程でステンレスかホーローの鍋を使ってください。また、その他の道具でも鉄やアルミ、銅のものは使わないでください。その理由は後述します。

    煮洗いを終えて一旦 乾かした布の場合、染料の浸透をよくするために「地入れ(ぢいれ)」と呼ばれる作業を行います。「地入れ」なんていうと、すごい作業のようですが、ただ単に染めるものを30分ほど水に浸けておくだけです。煮洗い後、乾かさずに染める場合、この作業は不要です。


    ③ 今回は乾燥させたマリーゴールドの花を使いますが、茎や葉でも同様に染まります(乾燥マリーゴールド(染料)は、ひとつ屋でも販売しています。ぜひ!ご利用ください)

    ④ 8リットルの水で50グラムの乾燥マリーゴールドを約40分煮出します。煮立たせず、じっくり色を抽出しましょう。

    ⑤ 約40分後、できた染料からマリーゴールドを濾し取ります。


    ⑥ いよいよ染色です。染料にストールを浸して染める「浸染(しんせん)」という方法です。この染料のなかでストールをゆったりと泳がしながら約40分染めます。

    ⑦ 40分ほど染めたのち(ちなみに、染めた色に「正解」はありません。あくまで自分が好きな色の具合になれば終了です)染液から引き上げ、バケツなどに溜めた水に入れて余分な染料を洗い流します。ゴシゴシ洗わず、水のなかで振り洗いする程度です。

    ⑧ これを手で軽く絞り、媒染液に浸けます(シルクのストール)。黄色に発色させるための媒染剤は「明礬(ミョウバン)」です。スーパーの漬物売場などで売っているもので大丈夫です。これを8リットルのぬるま湯に10グラムを入れてよく溶かし、軽く絞った染めた布を浸します。このときも、染色のときと同様に、均等に媒染液が布に触れることを意識しながら、ときより広げるようにして動かして30分ほど浸けます。

    ⑨ 次に、コットン&レーヨンのストールをオレンジ色に発色させるためにチタンの媒染剤を用います。媒染の方法は⑧と同様です。

    媒染液に浸すと、みるみるうちに色が変わっていきます。ご覧のとおり、媒染剤の違いによって、異なった色に発色します。これが草木染です。植物染料と媒染剤の組み合わせで、同じ染材で染めても全く違った色になります。


    ※ここでポイントです。前述の金属製の道具についてです。このように植物の成分と金属イオンが結びついて発色するのが草木染の原理なので、その工程で鉄やアルミなどの金属製品を使うと思わぬ色に発足してしまうことがあるので、それらが使えないというわけです。


    ⑩ 媒染によって発色させた後は、よく水洗いをし、シワにならないように広げて陰干しすれば完成です。とてもいい色になりました。左がコットン&レーヨンで右がシルクのストールです。


    今回はシルクとコットン&レーヨンのストールをミョウバンとチタンの媒染剤で染めましたが、繊維の種類や媒染剤を変えることで、さらに違った色を楽しむことができます。下記のカラーサンプルを参照ください。
    ※ウールを含めて上記の染め方で染めたカラーサンプルです。ぜひ! マリーゴールド染めにチャレンジしてみてください。



    草木染染料販売


    ◆ ひとつ屋の植物染料について
    ひとつ屋で取り扱う植物染料は、もともと生薬として販売されているものをはじめ、私たちが染め物や織り物に用いられる植物ばかりを育てている“染織ファーム”で自家栽培したものです。
    それらは可能な限り農薬や化学肥料を使っておりません。そのため、充分に注意はしておりますが、まれに虫などが混入している場合がございます。染料としての品質に問題はございませんので、あらかじめご了承ください。
    安全でナチュラルな作品づくりに、ぜひ!お役立てください。

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    マリーゴールド(根を除く全草) 50g ◆ 草木染(材料)天然・植物染料


    そのほかに、Amazon、楽天Yahoo!creemaminne などでも販売しています。

     

  • 【草木染】ハルジオンで絹糸を染める方法

    【草木染】ハルジオンで絹糸を染める方法

    ハルジオン(春紫菀)は、キク科ムカシヨモギ属の多年草で北米を原産とし、1920年代に観賞用として日本に持ち込まれ、野生化したといわれています。現在ではヒメジョオン(ヒメジオン)とともに、道端や空地でよく見かける雑草です。今回は、そんな身近な雑草で絹糸を染めてみます。では、早速!始めましょう。

    【草木染】ハルジオンで絹糸を染める方法

    ※なお、ハルジオンとヒメジョオンは別種の植物ですが、染色方法が同じなので、今回は「ヒメジョオン」も「ハルジオン」として表記・扱うことにさせていただきます。


    ハルジオンの染め方


    ① まずはハルジオンを収穫します。花だけを使うのではなく、根を除く茎や葉の全草を用います。
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    ② 収穫してきたハルジオンは、ゴミや雑草を取り除き、ハサミや包丁で2~3㎝の長さに切ります。
    【草木染】ハルジオンで絹糸を染める方法

    ③ これを水洗いして、泥などの汚れを落とします。
    【草木染】ハルジオンで絹糸を染める方法

    ④ 鍋に湯を沸かし、水洗いしたハルジオンを入れて中火で煮出します。このとき、必ずステンレスかホーローの鍋を使ってください。アルミや銅、鉄の鍋は使用しないでください。
    【草木染】ハルジオンで絹糸を染める方法


    ⑤ 1時間ほど煮出して染料を作ります。


    ⑥ その間に、仕上がりの色むらを防ぐために被染物(今回はシルクの糸)を水に浸しておきます。


    ⑦ 約1時間後、染料ができました。ハルジオンは、こんな状態です。

    ⑧ これを濾し、ハルジオンを取り除きます。


    ⑨ できた染料に被染物を入れ、極弱火で40分~1時間ほどかけて染めていきます。このとき、色むらができたり、糸が絡んだりしないように注意してください。

    ⑩ 40分~1時間後、被染物を取り出して軽く水洗いします。

    ⑪ 水洗いした被染物を各媒染液に浸していきます。今回はアルミ(左上)、鉄(右上)、銅(左下)、チタン(右下)の4種類で媒染剤を使用します。

    ⑫ 約30分間、媒染した後に被染物を水洗いします。

    ⑬ 水洗いした被染物を媒染ごとに分け、それぞれに先ほどの染料(温かい状態のもの)を注いで中媒染します。こうすることで一段と濃く染めることができます。

    ⑭ 約10分間、媒染した後にしっかりと水洗いし、脱水後に風通しのよい日かげで乾燥させれば完成です。上から、アルミ、鉄、銅、チタンによる媒染です。どれも非常に美しく染まりました。


    【感想】

    春から初夏にかけて可憐な花を咲かせるハルジオンやヒメジオン。都会でも見ることができる身近な植物ですが、ご覧のとおり、各媒染で非常に美しい色に染めることができます。今回の被染物は糸でしたが、シルク製品ならスカーフやストールでも同様に染まります。ぜひ!チャレンジしてみてください。
    機会があれば、ウールやコットンの染め方も紹介します。


    ひとつ屋では、さまざまな染料や繊維の染め方のワークショップをはじめ、染料や被染物(糸や布)の販売もしております。ぜひ!ひとつ屋をご利用くださいませ。