カテゴリー: 制作風景

このカテゴリーでは、ひとつ屋で手作りしているアイテムの製作風景を紹介しています。実際の現場での手順や試行錯誤、完成に至るまでの過程を、そのまま記録しています。中には、思うようにいかず商品にならなかったものもありますが(笑)、そうした失敗も含めて、物づくりのリアルな一面として残しています。

  • 繭からショールへ(座繰り編)

    繭からショールへ(座繰り編)

    繭が手に入ったので、久しぶりに座繰機を出して糸を取ってみました。繭が美しくも素朴な糸になりました。資料館に行ったり、昔の映像を見たりして、独学でここまでできるようになりましたが、ここから先――この生糸を撚り合わせ、精練して、自分が望む糸の姿にするのが難しいんです。正直のところ、いまだに納得するものになったことはありません。が、今度こそッ!いろいろと工夫と作戦を考えています。さぁ、どうなるか⁉ 楽しみにしていてください。

    ▼平成30年度の乾繭です(平成最後の繭!)。まだまだ糸づくりも模索中の私には、これがちょうどいい。繭から生糸へ(座繰り)

    ▼座繰り中。でも、もたもたしていたので、お湯が黄ばんできました。
    繭から生糸へ(座繰り)

    ▼それでも、美しくも素朴な生糸になりました。これを撚り合わせて、手織り向きの糸にしようと思っています。
    繭から生糸へ(座繰り)

  • 沈殿藍づくりに産業革命!

    沈殿藍づくりに産業革命!

    7月、沈殿藍づくりの最盛期です。つくったことがある方はご存じだと思いますが、藍の生葉を“発酵させた”というより“腐らせた”液を攪拌する作業の辛いこと。湯かき棒(お風呂をかき回す棒)で何千回も攪拌するのですが、悪臭は拡散するし、あちこちに液が飛び散るは、疲れるは・・・で、もう大変です。

    ※ 詳しい作り方は『沈殿藍(泥藍/藍錠)の作り方』のページをご覧ください。

    ▼ 藍の生葉を発酵させています。
    沈殿藍(泥藍)の作り方

    ▼葉を濾し取った液に消石灰を加え攪拌します。
    沈殿藍づくりに産業革命!

    そんなおり、ふと思いついたのがポンプを使うこと。とにかく液を攪拌して空気(酸素)を送り込めばいいのです さらに何かいいポンプがないものかと考えていて、ひらめいたのが “バスポンプ(お風呂の残り湯を洗濯機に送るポンプ)” です。ホームセンターでも手に入るし、価格も安い。そのうえ使い方も簡単です。

    とてもよい藍色を得ることができました。成功です! 30~40分、ポンプを回しました。その重苦から解放されたばかりでなく、その間に使った道具を洗ったり、次の作業の準備ができたりもします。

    沈殿藍づくりに産業革命!

    まさに!産業革命です。

    沈殿藍づくりの臭い作業に苦しんでおられる方、ぜひ!お試しください!!

    ※ ただし、バスポンプの本来の使い方とは異なります。安全性や結果については自己責任でお願いいたします。

  • ろうけつ染めTシャツ

    ろうけつ染めTシャツ

    春ごろからコツコツと作っていた「ろうけつ染めのTシャツ」が、ようやく完成しました。今回は、その制作過程を紹介します。

    ① まずは白いTシャツに下絵を描き、“染めたいのとは逆の部分”に蝋(ろう)を置いて(塗って)いきます。これにより、島型の部分が染まることになります。

    ② ①が完了したら、松煙(墨)で染めます。下の写真のとおり、島型の部分がグレーに染まりました。これで “完成!” としてもいいくらいなのですが、最初に浮かんだデザインを実現するために作業を続けます!

    ③ 次に①とは逆に、グレーに染まった島型の部分に、蝋を置いていきます。

    ④ グレーの部分に蝋を置き終わると、下の写真のようになります。次は、これを藍で染めます。

    ⑤ お~ッ! いい感じに染まりました。最初に頭に浮かんだイメージどおりです。グレーの松煙の上から藍を染め重ねていないので、紺色が濁らず美しい! しかも、グレーの島柄には亀裂模様が入り、予定どおりです。手間がかかった分、いいものができました。

    すでに、この作業の途中で思いついたデザインがあります。さぁ、早速!次の作品に取り掛かるとします。

  • カラムシ(苧麻)織り ①

    カラムシ(苧麻)織り ①

    ひとつ屋のブログに何度も登場している「カラムシ(苧麻)」。2015年の10月のブログ『カラムシ織り ②』では、ひとつ屋染料農園で栽培しているカラムシから繊維を取り、小さな花瓶敷きを織ってみたことを書きました。

    が、正直のところ(今だから言えますが――笑)、納得できるものではなかったんです。というのも、すごく硬いんです。それは糸というより、ゴツゴツとした“ひも”に近いもので、花瓶敷きやカバンのようなものにならいいのですが、もう少し“布っぽい風合い”が必要なものには使えそうにありませんでした。「上布(じょうふ)」と呼ばれた苧麻織りは、透き通るほどに薄く剥ぎ、象牙のような光沢を放つ糸を織ったといいます。

    そこに至るには相当の熟練技が必要だと思うのですが、もう少し布っぽい風合いを目指して再び素人なりにチャレンジします!


    カラムシから繊維をとる方法


    まずは、これがカラムシ(苧麻)です。ひとつ屋染料農園では数年前から栽培しています。

    カラムシ

    紫蘇のような葉をしています。

    葉の裏が白いのが特徴です。

    6月の中旬ごろからカラムシを刈り取り、一定の長さに切りそろえて外皮を剥ぎます。本来ならこれを束ねて冷たい川の流水にさらすとよいのだそうですが、都会ではそうもいかないので、そのまま外皮を剥ぐことにしました。

    スクレーパーを使って外皮の外側を剥いで内皮のみにします。このときに先ほどの作業(茎から外皮を剥がす)で2枚程度にしておいたほうが作業性がよいようです。

    と、理屈はわかるのですが、これがとても難しいッ! カラムシで糸を作るうえでの最大の山場!! 内皮が切れないようにスクレーパーを押したり、引いたり――。そぉ~っと丁寧に作業するのですが、写真のとおり、内皮が削げて切れてしまいます。

    カラムシ

    茎の状態のときに水にさらすことができなかったので、今回は剥いだ外皮を束ねて水にさらすことにしました。ときどき水を変えながら5~6時間の作業です。

    カラムシ

    スクレーパーを使って外皮の外側を剥いで内皮のみにします。このときに先ほどの作業(茎から外皮を剥がす)で2枚程度にしておいたほうが作業性がよいようです。

    と、理屈はわかるのですが、これがとても難しいッ! カラムシで糸を作るうえでの最大の山場!! 内皮が切れないようにスクレーパーを押したり、引いたり――。そぉ~っと丁寧に作業するのですが、写真のとおり、内皮が削げて切れてしまいます。

    もちろん力の入れ具合もそうですが、カラムシを刈り取る時季や成長の状態など、さまざまな熟練の技と経験値を必要とするのを痛感します。にわかでできるものではありません――。

    カラムシ

    それでも、なんとか薄く薄く内皮を取り出すことができ、やったー! と思えたのも束の間。繊維が乾くと、やっぱり硬いんです(涙)。もちろん、象牙色でもありません。調べてみると「苧麻の晒は、麻の晒ほど柔らかくはならない」とありますが、そんなどころの話ではありません。

    もっともっと薄くしなければならないのか⁉ もはや限界のような気がするのですが—。う~ん、難しいッ! まだまだ研究が必要です。

    カラムシ

    カラムシ

    ひとつ屋染料農園にはもう少しカラムシがあるので、引き続き研究を重ねようと思います。今後の報告を楽しみにしていてください!

  • 桜染めのストール

    桜染めのストール

    今回は「桜染めのストール」という短いタイトルですが、本当は「自分で育てた蚕の繭を自分で紡いで糸にし、自分で桜で染めて自分で織ったストール」としたいほど、時間と手間がかかったストールができました!

    蚕を育てて糸になるまでは、先日のブログ『蚕から糸へ。』をご覧ください。今日は、糸から完成までを紹介します。

    ▼ 前回までに作った糸です。繭を煮て真綿にし、紡毛機を使って紡いで単糸、そして双糸にしたものです。正直、独学です。というより “我流” です――。

    ▼ まずは桜で2種類の色に染めました。これで綾織を想定しているのですが、同系色でも違った色の糸にしたほうが立体感を感じられるのが理由です。

    桜染めのシルクストール

    ▼ この糸を想定どおり、綾織にします。あまり具体的な柄にせず、立体感を感じさせてくれる模様を選びました。色の濃いほうの糸を経糸に、薄いいほうを横糸にして織り始めました。

    桜染めのシルクストール

    ▼ ついに織り上がりました! フリンジを作って水通しをしています。あくまで我流なので、この作業が必要なのかは不明ですが、これをすることによって織目が整う気がするので、ひとつ屋では必ず水通しの作業をします。

    桜染めのシルクストール

    ▼ 次は形を整えながら乾燥し、仕上げにアイロンをかけて完成です! 蚕を育てるところからすれば、完成までに3年を要しました。われながら「よくやるなぁ~」と思います(笑)。完成品をご覧ください!

    桜染めのシルクストール

    桜染めのシルクストール

    桜染めのシルクストール