カテゴリー: 制作風景

このカテゴリーでは、ひとつ屋で手作りしているアイテムの製作風景を紹介しています。実際の現場での手順や試行錯誤、完成に至るまでの過程を、そのまま記録しています。中には、思うようにいかず商品にならなかったものもありますが(笑)、そうした失敗も含めて、物づくりのリアルな一面として残しています。

  • 葛糸の作り方 Vol.2

    葛糸の作り方 Vol.2

    先日のブログ『葛糸の作り方 Vol.1』続きです。

    前回までに、刈り取ってきた葛の蔓を煮て、草で作った室(むろ)のなかで発酵させています。今回は発酵を終えた蔓を川へもっていき、外皮を洗い流し、その下にある靱皮(植物の外皮の下にある柔らかな内皮)を取り出す作業です。この靱皮が糸になります。


    葛糸の作り方(2)
    葛から繊維を取り出す方法


    ▼ 前回までに、炊いた蔓を草で作った室を作り、ブルーシートのなかで発酵させています。
    葛糸の作り方

    ▼ 三日後、ブルーシートを開いてみます。
    葛糸の作り方

    ▼ 蔓の表皮が発酵してグズグズになっています。しかし、腐敗臭などの匂いはありません。
    葛糸の作り方

    ▼ これを川へもっていき、洗います。浅く緩やかな流れの場所が作業的には好条件です。
    葛糸の作り方

    ▼ ゆるやかな川の流れのなかで外皮を洗い流し、芯から靱皮を剥がします。
    葛糸の作り方

    ▼ さらに、とれた靭皮を川の流れにさらします。
    葛糸の作り方

    葛糸の作り方

    ▼ これを、もつれないようにして乾かせば完成です。
    葛糸の作り方


    今日は、ここまでです。次回『葛糸の作り方 Vol.3』では、この靭皮を細く裂き、績んで糸にします。ちなみに「績(う)む」とは、麻などの繊維を細く裂いて繋いで糸にすることです。しかし、もう少し葛の繊維を溜めてからの作業になるので、ブログで紹介できるのは少し先になりますが、ぜひ! 楽しみにしていてください。

    ※ 今回紹介しているのは、ひとつ屋での方法です。伝統工芸品としての方法とは異なりますので、あらかじめご了承ください。また、葛の靭皮を洗い出す作業で、川を汚染することなどはありませんので、ご安心ください。

    ※前回のブログ『葛糸の作り方 Vol.1』は、ここをクリックしてください。

  • 葛糸の作り方 Vol.1

    葛糸の作り方 Vol.1

    先日のブログ『葛糸づくり』で紹介した糸について、今回は“葛から繊維を取り出す方法”を紹介します。

    まず「葛糸」について簡単に説明します。葛糸とは、河川敷などでよく見られるマメ科の葛(クズ)と呼ばれる植物から得られる繊維です。現在において、葛は“ 厄介な雑草” とされ、刈っても刈っても繁茂し、ときに他の植物を駆逐してしまうこともあるので “グリーンモンスター” として嫌われる側面もあります。しかし、古来この植物は食用や飲用(茶や酒)、さらには「葛根湯」などの薬とされ、根からとれる「葛粉」は有名で、人々の暮らしにはなくてはならない植物でした。

    そんな葛の蔓から作られるのが「葛糸」で、すでに新石器時代には織物として利用されていたようです。その作り方は意外に簡単で、夏に採取した葛の蔓を煮て発酵させたのち、水(川)に晒して繊維を取り出します。では早速、その工程を紹介しましょう!


    葛糸の作り方
    葛から繊維を取り出す方法


    ▼ 河川敷や堤防などで繁茂する葛。これを糸にしていきます。
    葛糸の作り方

    ▼ 葛の葉と蔓の様子。
    葛糸の作り方

    ▼ まずは、葛の蔓を採取します。今年伸びたまっすぐなものがよいようです。蔓からは葉を落としておきます。
    葛糸の作り方

    ▼ 蔓を1.5mくらいに切りそろえ、丸めて縛り、20~30分ほど炊きます。
    葛糸の作り方

    ▼ 炊きあがった蔓を草(ススキがよいらしい)の上に広げます。
    葛糸の作り方

    ▼ さらに、上から草を乗せて蔓を挟みます。
    葛糸の作り方

    ▼ これをブルーシートで包み、日向に3~4日放置して蔓を発酵させます。
    葛糸の作り方


    今日は、ここまでです。次回『葛糸の作り方 Vol.2』では、発酵させた葛の蔓を川へもっていき、丁寧に洗いながら薄い繊維を取り出していきます。お楽しみに!

    ※ 今回紹介しているのは、ひとつ屋での方法です。伝統工芸品としての方法とは異なりますので、あらかじめご了承ください。

  • 天然染料のみで型染。江戸時代の友禅や紅型に挑戦!(後編)

    天然染料のみで型染。江戸時代の友禅や紅型に挑戦!(後編)

    今回は、先日のブログ『天然染料のみでの型染。江戸時代の友禅や紅型に挑戦!(前編)』の続き、後編です前編でも述べたとおり、

    化学染料が登場する以前の友禅や紅型の染め方に、とても興味があります。

    しかし、その詳しい染め方や材料が分かりません。インターネットを検索すれば何でも簡単に調べることができる時代にあって、誰もが閲覧できる内容のはずなのに、なんだか自分だけが知ったようにさせられることばかり。ところが、いざ、そこに情報がなければ、いかに自分が非力な存在であるかを感じさせられます。さらに、幼いころから多種多様なマニュアルを与えられながら生きてきたせいか、それがなければ、物事の正解や不正解が判断できないことに気付かされました。

    この数年、そんなことを考えながら、独学で試行錯誤を重ね、ようやく天然染料と身近な材料のみで、それらしいものを染めることに成功しました。


    ▼ 前回までに、糊置きした図案に天然染料(顔料)のみで彩色を終えています。

    ▼ 今回は、これを蒸して染料(顔料)を布に定着させた後、糊落としをします。

    ▼ 丁寧に糊落としをすれば完成です。苦節6年、ようやく自分が納得するものができました!


    天然染料(顔料)のみで極彩色の染め物が完成しました! よくご覧いただくと、“色の4原色(CMYK)” と、それから作った緑の5色のみで構成されているのが分かっていただけると思います。しかし、この4原色があれば、ほとんどの色が作れるはずなのです。

    今後、さらに研究を重ねて、原色をつくる材料と方法、また、より複雑な表現にチャレンジしようと思っています。

    これからのひとつ屋を楽しににしていてください!

    天然染料のみでの型染。江戸時代の友禅や紅型に挑戦!(前編)

  • 天然染料のみでの型染。江戸時代の友禅や紅型に挑戦!(前編)

    天然染料のみでの型染。江戸時代の友禅や紅型に挑戦!(前編)

    以前のブログ『天然染料だけでカラフルな型染ができないものか?』でも投稿したとおり、化学染料が登場する以前の友禅や紅型の染め方に、とても興味があります。

    しかし、その詳しい染め方や材料が分かりませんーー。

    この数年、独学での試行錯誤を重ね、ようやく天然染料と身近な材料のみで、それらしいものを染めることに成功しました。その工程を前後編の2回に分けて紹介します。

    まずは、その前編。糊置きと色挿しの工程です。


    ▼ まずは布に糊を置きます。

    ▼ 糊が乾燥したら、刷り込み刷毛で天然染料で丁寧に染めていきます。

    ▼ グラデーションを作ったり、色を混ぜ合わせたりしながら、すべてを染めていきます。


    すべてのカ所を染め終えたら、染料が乾くのを待ち、次の工程に移ります。と、かなり大雑把な説明ですが、今日はここまで、明日以降にその後の工程を紹介します。ぜひ! 楽しみしていてください!

     

  • 10周年の暖簾と感謝!

    10周年の暖簾と感謝!

    2024年は、ひとつ屋にとってアニバーサリーな年です!
    コロナで中断を余儀なくされる時期もありましたが、ひとつ屋を始めて今年がちょうど10周年です!

    10年前とはいえ、もう決して若くはない年齢からの再始動だったので、節目を迎えた今年は、その思いも “ひとしお” です。

    そこで、この “アニバーサリーな年” をどう盛り上げ、自分の感謝の意を伝えるかが今の最大の関心事。

    まずは、ひとつ屋の思いを未来へとつなげたいという思いで、実店舗に “老舗のような暖簾(のれん)” を設えたくて、数日前からロウケツ染めで、それを作っています。

    10周年の暖簾と感謝!

    そんな思いが詰まった暖簾――。いつもとは少し違う方法で染めようと思うので、うまくいくかは分かりませんが、“アニバーサリーな年” にふさわしいものにしたいと思っています。


    ってなことで、製作作業が一段落した今宵は、そんな思いを聞いてほしくて、ひとつ屋のスタート時の事情を知っている友人と久しぶりにゆっくりと呑んで語らいました(突然の誘いに、ありあとう! この場を借りて感謝を申し上げます!)。

    10周年の暖簾と感謝!


    最近、まるでゼンマイ仕掛けの時計のように、頭のなかのサビついたパーツが再び音を立てながら動き始めています。たかが10年、されど10年――、この歳月の苦節を噛みしめながら新たな10年を歩み出そうと思っています。

    月並みな言葉ですが、ひとつ屋の10年を支えてくださった方へ、心より感謝を申し上げるとともに、おそらくは現役最後の10年となるであろう これからの時間にお力添えをくださいますよう伏してよろしくお願い申し上げます!

    今秋には感謝を伝えるべく何かしらの催しを実現しようと考えております! まずは私の思いの詰まった暖簾(のれん)をお見せできることに集中いたします。10周年のイベントを ぜひ!楽しみにしていてください。