草木染をやっていて、絹を染めるのが最も好きです。天然染料(植物染料)で染められた絹には独特の品格があり、その美しさはどの繊維にも勝るような気がしてなりません。
また、絹は繭から糸を繰り出す「繰糸」、綿にしてから糸に紡ぐ「紡糸」のほかに、繭から糸を手でとる「手引き」、繭から糸を引き出す「ずり出し」など、さまざまな技法と糸があり、その染織後も全く違った雰囲気となります。
前回のブログでも書きましたが、なかでも「紡糸」や「ずり出し」のような素朴な糸が好きです。しかし、私が思うような素朴な糸は売っていません――。そこで、真綿を購入して自分で紡いで「絹紡糸」にしてみることにしました。
▼ 購入した真綿
ところが、真綿を紡ぐのは、とても難しい! 今までにも綿(コットン)や羊毛を紡いできたので、絹もできるだろうとたかをくくっていたのですが、なかなか思ったような糸にならず、一時は断念したほどです。
それを再開させるきっかけとなったのは、去年訪れた信州(長野県)の旧絹産地や製糸工場を巡った旅でした。この度で出合った絹や養蚕にかかわる人に、その方法や糸に対する考え方など、さまざまなことを教えていただきました。
その後、失敗にもめげず!絹の綿を紡ぐこと数カ月––、ついにストール1枚を織れるくらいの絹紡糸を紡ぐことができました。今考えれば、写真(一番上の写真)のような綿ではなく、角真綿や帽子真綿から紡げば、もう少し楽に紡ぐことができたのかなぁ!? と思っています。
そして、数日前からはこの絹紡糸を使ってストールを織り始めています。まだまだ途中ですが、想像していた以上の風合いの布が姿を現し始めました。また少しだけ前進できたような気がします。