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橘立涌文様

雲や湯気が立ち昇る様子をデザイン化したものといわれる「立涌(たてわく)文様」。平安時代には格式の高い文様(有職文様)とされ、貴族たちに愛されたそうです。もともとは中国のもので、日本には奈良時代に伝えらえました。そのため、どこかエキゾチックな雰囲気のデザインなのですが、ときとともに竹や藤、桐、麻の葉など、日本の美意識を取り込んだ模様も育まれてきました。

なかでも私が好きなのが、この「橘(たちばな)」を配した図柄です。というのも、日本の伝統的な図柄の多くが中国に由来するのですが、この「橘」は日本固有の柑橘植物であるがゆえに、そのデザインも日本独自のものとして発展したからです。

今回は、そんな中国生まれの「立涌」と、日本生まれの「橘」が調和した「橘立涌」と呼ばれる伝統柄を柿渋で型染めする工程を紹介します。


型染の工程


▼ 橘立涌文様。型染め用の型紙です。

▼ まずは、この型紙の上から布に糊置きをします。

▼ 型紙を外すと橘立涌文様が現れます。

▼ 近くで見ると、↓ こんな状態です。

▼ これを乾かしてから呉汁(豆乳)で下染めし、そして柿渋で染めます。

▼ その数日後、糊を洗い落します。

▼ ひとつ屋では、これを乾燥後に蒸して完成させます。

天然染料(柿渋)と呉汁(豆乳)、糠(ぬか)や米粉でできた糊などのナチュラルなものだけで、伝統的な橘立涌文様を美しく染めることができました。

この後は、この布(帆布)と皮革とでバッグに仕立てようと思っています。楽しみにしていてください!

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