自宅から染色学校へは約1時間。といっても、車でも電車でもなく、自転車です。週に一度の通学なのですが、少しでも運動になれば !と思い、この酷暑のなか、汗を拭き拭き、ペダルをこいでいます。
つい先日のこと、その通学の途中に、ふと見上げると遠くに生駒(いこま)の山々が美しく見えています。この学校に通いはじめて、もう2年目に入ったというに、最近その光景に気付きました。
子供のころは大阪市内からでも3階ほどの建物に上がれば、東に生駒山や金剛山(こんごうさん)の山並みが見えたものですが、今は数多くのビルに遮られ、ほとんど見ることができません。
考えてみれば、南北に細長い大阪のこと、思いのほか山と海との間に距離はありません。実際、海岸部から自転車で1時間足らずで、こんなにも山は近くになります。
確か、戦国時代に日本にやってきた宣教師の日記にも、生駒の山から光り輝く大阪城(当時の大阪城は金箔瓦)が見えたということが書かれてあるとか。きっと見えたんでしょうね。どこからでも山々が、そして大阪城がーー。
“喧騒の街”というイメージが付きまとう大阪ですが、意外も山も海も近くにあり、かつてはそれらと密接に繋がった文化を育んできました。ところが、今では西部(海辺)に暮らす僕らすら、この街で海を意識したことなんてありません。なので、いつも思うんです。大阪に生まれ育った者らしい作品を作ろうと思えば、歴史や文化はもちろんのこと、もう少し“大阪の自然”についても勉強しなけば! と。