タグ: 天然染料

  • ひとつ屋染織農園

    ひとつ屋染織農園

    このところの大阪は連日の雨模様です。わずかに晴れ間のあった昨日の夕方に【ひとつ屋染織農園】にいってみたところ、桜が散って畑一面がピンク色に染まり、とても幻想的な雰囲気を漂わせていました。

    近所の共同家庭菜園の一角を借りて【ひとつ屋染織農園】を始めたのは、ちょうど一年前のこと。当初は、本当に小さな畑––というよりは “花壇” だったのですが、お隣の方がさらに一部を貸してくれたので、その面積を増やすことができました。そうなれば、ついつい “家計の足しに!” と野菜類も植えるようになっています。それでもメインは草木染めのための染料植物。昨年の秋に植えた染料植物が次々と芽を出してグングンと生長しています。

    そこで現在【ひとつ屋染織農園】で栽培している染料植物を紹介します。


    栽培中の染料植物


    ▼ 『黄金花(コガネバナ)』。その名のとおり、黄金色の染料になります。

    ▼ 「日本茜(ニホンアカネ)」。今や貴重な植物染料の一つです。

    ▼ 『レモングラス』。煮出すときに癒されます。さまざまな色の染料がとれます。

    ▼ 『西洋茜(セイヨウアカネ)』。「インド茜」より黄味が強いといわれています。

    ▼ 『マリーゴールド』。茎や葉でも、花びらでも染めることができます。

    ▼ 『苧麻(チョマ/カラムシ』です。染料になるばかりでなく、繊維をとって織物になります。「越後上布」「近江上布」などに用いられる繊維です。

    ▼ 『細葉大青(ホソバタイセイ)』です。変種の「蝦夷大青」はアイヌの衣装を染めたそうです。

    ▼ 『細葉大青』の蕾(つぼみ)です。


    上記のほかにも、枇杷や柘榴(ざくろ)などの染料植物を栽培しています。これからも徐々に染料植物を増やしていくつもりです。今はどの植物も生長が楽しみ! ひとつ屋では有機栽培での植物染料と、それらで染めた製品の販売を目指しています。

     

  • ニンジン葉での染料の作り方

    ニンジン葉での染料の作り方

    以前、ニンジンの葉でシルクのストールを染めて、その色相の良さと堅牢度の強さには驚かされました。天然染料を愛する者としては変な言い方ですが、ニンジンの葉には “草木染とは思えないほど、いや化学染料かと思うほどの発色性” があります。でも、都会暮らしでは、ニンジンの葉を手に入れるが難しいんです。

    そんな話を近所の人に話すと、お知り合いの農家からニンジンの葉をいただいてきてくれました。ちなみに、ニンジンの葉は食べてもおいしく、わが家では炒め物なんかにしていただきます。と、そうしていただいているうちに、みるみる葉は減り、染料に使えるのは、これだけになってしまいました。

    ニンジンの葉

    ニンジンの葉

    ニンジン葉で染めたストール

    ニンジン葉で染めたストール


    【ニンジン葉での染料の作り方】


    ① まずはニンジンの葉を細かく刻みます。

    ① まずはニンジンの葉を細かく刻みます。

    ② これにヒタヒタより少し多めの水に重曹を加えて炊きます。

    ② これにヒタヒタより少し多めの水に重曹を加えて炊きます。

    ③ 40分ほど炊いてストレーナーで濾します。

    ③ 40分ほど炊いてストレーナーで濾します。

    ④ 酢を加えて中性にしてから染料として用います。

    ④ 酢を加えて中性にしてから染料として用います。


    下記のマフラーは、このニンジン葉の染料で(後日)染めたものです。
    詳しい染め方は『千鳥格子の手織りマフラー』をご覧ください。
    ※  今回は濃い染料を得るために重曹を使った“アルカリ抽出”という方法を紹介していますが、重曹を使わずに水だけで煮出してもかいません。明るい緑色を染めることができます。

    ニンジン葉での染料の作り方
    ニンジン葉での染料の作り方
  • 北の大地が育んだ“アイヌの蒼”

    北の大地が育んだ“アイヌの蒼”

    秋晴れの続いた先日のこと、染料農園の一角に籾殻(もみがら)をまいて、土にすき込む作業を行いました。近郊の農家からいただいた籾殻。ですが、都会育ちの “シティーボーイの僕 (笑)” には、土にすき込む農作業は重労働です。

    北の大地が育んだ“アイヌの蒼”
    北の大地が育んだ“アイヌの蒼”

    この場所は、日当たりが悪く、水はけもよくないので、だれもが何も植えずに放置されていたのですが、籾殻や腐葉土を入れて土壌を改良してやれば、山野草で日陰を好む染料植物には最適な場所なんです。

    そこで、すき込んだ後に早速!! 植えたのが「ウォード(細葉大青/ほそばたいせい」という植物です(※本来、大青の「青」の文字は「靑」です。

    北の大地が育んだ“アイヌの蒼”

    この植物は文字どおり、「青」を染めることのできる染料植物で、蓼藍(たであい)や琉球藍、インド藍と同様にインジゴ成分を含みますが、種類は全く違うアブラナ科の2年草です。18世紀に中国から渡来したとされていますが、一説には古くから北海道には「蝦夷大青(えぞたいせい)」が自生しており、アイヌの人々はこれで民族衣装を染めたといいます(時代によっては交易で中国から藍を手に入れていたともいわれています)。また、同様に欧州ではアジアから藍が輸入されるようになるまで、藍染めには「ヨーロッパ大青」という種類の大青が用いられていたようです。

    ちなみに、アイヌの民族衣装を想像したとき、僕が思い浮かべたのが、この衣装の “紺色” でした。同じ藍を染めるにも、地域によって育てる(使う)植物がこんなにも違うことに改めて驚かされます。でも、だから色にも微妙な違いが生まれるんですね。僕は、いつもそこに風土性というか、人間くささというか、化学染料にない魅力を感じます。

    北の大地が育んだ蒼――。素敵ですね。北の大地じゃないですが、頑張って育てて“アイヌの蒼”を再現してみようと思います。

    国立民族学博物館に展示されていたアイヌの民族衣装

    国立民族学博物館に展示されていたアイヌの民族衣装

  • 枇杷葉での染め方(後編)

    枇杷葉での染め方(後編)

    今回は『枇杷葉での染め方(前編)』 に続き、今回は後編です。いよいよ実際に染め上げていきます。


    枇杷葉での染め方


    ① 前回までに枇杷の葉を煮出して染料にしています。

    枇杷葉での染め方

    ② 今回は、こんな布を染めてストールに仕立てようと思います。コットンとレーヨンのスラブ糸を織った布です。

    枇杷

    枇杷

    ③ 精練してから、植物染料の染まりをよくするため濃染処理(カチオン化)します。

    枇杷葉での染め方(後編)

    ④ いよいよ染めていきます!! が、ここでちょっと実験です。

    草木染の場合、この段階で染料を高温にして“煮ながら染める”というのが一般的な方法なのですが、そうすると染まるのが急激なうえに、箸や棒で布を撹拌しないといけないので、染めムラになったり、ときには生地を傷めたりすることがあります。

    そこで、今回は実験的に“染料を高温にせず、染めてみる”ことにしました。染料の温度は43℃ほど。ちょうどよいお風呂の温度です。そこに布を入れ、手で広げながら、ゆっくりゆっくり染めてみました。

    枇杷葉での染め方(後編)

    ⑤ 濃染処理しているので、コットンで、しかも低温でもしっかり染まりました。染色後はアルミによる媒染です。

    枇杷葉での染め方(後編)

    ※「媒染」とは、いわゆる「発色」と「色止め」のことで、簡単にいえば、金属イオンが繊維と染料を結びつける働きをします。また、この媒染剤の金属の種類によって、同じ染料でも異なった色になります。媒染後、水洗い、煮洗い(炊いて洗います)、さらに水洗いを繰り返して乾燥させれば、染色作業は終了です。

    ⑥ フリンジを作って完成です。とても!いい色になりました。

    枇杷葉での染め方(後編)

    枇杷葉での染め方(後編)


    【備考】今回は、染料店で販売されている助剤を使ってコットン(植物繊維)に濃染処理(カチオン化)をしているので非常に濃く染まりました。が、未処理だとこのようには染まりません。昔は呉汁やミルクを使って、植物繊維を少しでも濃く染めたようです。ただし、色むらが起こりやすいです。


  • 枇杷葉での染め方(前編)

    枇杷葉での染め方(前編)

    まず、これが枇杷の葉です。

    枇杷は優しい木の実だからぁ~♪ の歌でも知られる枇杷は、果物として食べるばかりでなく、その葉を煮出して作るお茶は、夏バテや食あたりの予防薬としても飲まれてきました。 最近では、葉に含まれるアミグダリンやタンニン、サポニンなど、数多くの成分が、疲労回復や糖尿病予防、アレルギーの改善など、さまざまな症状に効果があると分かってきました。特に「ビタミンB17」とも呼ばれるアミグダリンは、ガン予防にも効果があるのではないかと期待されているそうです。


    枇杷葉での染め方


    ① まず枇杷の葉を1㎝ほどに切ります。

    枇杷

    ② ひとつ屋では、これを一旦 乾燥させてから煮出します。

    枇杷葉での染め方

    ③ しばらく煮出すと、こんな色になります。

    枇杷葉での染め方

    今回は、炊いたり、冷ましたりを繰り返しながら、かなり濃くて煮出してみました。これが、いわゆる“枇杷葉茶”の状態です(琵琶葉の作り方には、このほかにもいくつかの方法があるようです)。おいしそうな甘い香りがします。体にも良さそうです。

    よい染料ができたので、いよいよ次回はスカーフを染めます。どんな色になるかのか!? お楽しみに!

    ▼ 枇杷葉での染め方(後編)へ続く。