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◆草木染め植物(植物染料)

草木染めに使われる植物染料の多くが、お茶であったり、生薬(漢方薬)であったりします。そして、それらの多くには何らかの効能があるといわれています。例えば、枇杷(びわ)葉は、お茶であるとともに、利尿や消炎、鎮痛の作用がある生薬としても用いられてきました。同様に、草木染めの植物として有名な茜(あかね)や紫根(しこん)、紅花(べにばな)などにも、生薬としての効能があるといわれています。

ゆえに、古くから「医食同源」と同じように、そうした染料で染めた衣服を着ることで健康を得るという「衣医同源」という考え方があるそうです。薬を「一服」「二服」と数えたり、「服用」や「内服」といったり、「服」の字を用いるのは、そのためだそうです。

ひとつ屋で取り扱う植物染料は、もともと生薬として販売されているものです。また一部の染料は、ひとつ屋染料農園で無農薬・有機肥料で自家栽培したものです。より安心・安全にお使いいただけます。
※ひとつ屋の草木染め植物(植物染料)は、店舗および web shop でお求めください。


アズキ(小豆)

私たちにとって、とても身近な存在の小豆(あずき)。和菓子にはなくてはならないもので、抹茶とともにジャパニーズ・スイーツを代表する身近な食材です。今回は、そんな小豆で、草木染を楽しんでみました。その結果、淡いながらも小豆らしい赤みを帯びた色をはじめ、さまざまな色を染めることができました。手に入れやすく、取り出した小豆は食べることもできます。ぜひ! チャレンジしてみてください。

アズキ(小豆)

アズキ(小豆)

アボカド(果皮)

アボカドはクスノキ科ワニナシ属の常緑高木で、和名では「鰐梨(ワニナシ)」というそうです。その果実は栄養が豊富で、しかも高カロリー! なので“森のバター”と呼ばれます。それなのに“アボカドを習慣的に食べると肥満が緩和される”そうです!そんなアボカドをたくさん食べた後は、その果皮で草木染を楽しんでみましょう。赤みを帯びた色を染めることができ、下染めしない綿の銅媒染で品のある桜色を表現できます。

アボカド(果皮)

アボカド(果皮)

インドアカネ(インド茜)

茜(あかね)は草木染めを代表する植物の一つで、実際に“赤い根”をもつので、この名がついたのでしょう。インドアカネ(インド茜)を含め、世界にはセイヨウアカネ(西洋茜)、ニホンアカネ(日本茜)など、温帯から暖帯にかけて50種類以上があるといわれています。特に、このインドアカネは熱帯地方で栽培され、セイヨウアカネやニホンアカネに比べて根が太く、赤い色の発色もよいので、比較的染めやすい植物染料です。

インドアカネ

インドアカネ


コウボウ(香茅)

コウボウ(香茅)は、草地に生えるイネ科オガルカヤ属の多年生植物で、高さ20~40㎝になり、夏の始めのころには淡褐緑色の穂をつけます。レモングラスと同じ仲間で「香茅」の文字どおり、コウボウにもかすかな香気があります。しかし、それはレモングラスほどは強くなく、これを煮出して染料を作る際には、その優しい香りに包まれます。
日本の伝統色の一つ「苅安色(かりやすいろ)」は、コウボウと同じイネ科の植物で染められており、近い色を染めることができます。ぜひ! そんな色と香りを楽しんでください。

コウボウ

コウボウ


コガネバナ(黄金花)/黄芩(オウゴン)

コガネバナ(黄金花)は、ユーラシア大陸の極東から中央部、中国の北部から朝鮮半島にかけて分布するシソ科タツナミソウ属の多年草です。日本にも江戸時代の中期に朝鮮から種子を移入し、小石川養生所(現・東京大学小石川植物園)でも生薬(漢方薬)として栽培されました。その根を乾燥させたものを「黄芩」といい、清熱作用や抗炎症作用があるとされ、さまざまな薬に処方したそうです。また、草木染めの染料としても優れ、堅牢度が良好なのが特徴で、アルミ媒染や鉄媒染で深みのある色を得ることができます。

コガネバナ

コガネバナ

コガネバナ

コガネバナ


ゴバイシ(五倍子)/フシ(付子)

五倍子は「ヌルデ(ウルシ科ヌルデ属の落葉高木)」にアブラムシが寄生することによってできる虫癭(ちゅうえい)。ここに豊富なタンニンが含まれており、古くから染料として用いられたり、革をなめすときに使われたりしてきました。特に、草木染では日本の伝統色でもある「空五倍子色(うつぶしいろ)」と呼ばれる褐色がかった淡い灰色を染めることができます。ちなみに、お歯黒を染めるにも、この五倍子が使われていました。

ゴバイシ

ゴバイシ

五倍子

ゴバイシ


コブナグサ(小鮒草)

イネ科コブナグサ属のコブナグサ(小鮒草)は、南アジアから東アジア、さらに北アメリカに約15種が分布しています。その名は葉の形が魚の“小鮒(小さなフナ)”に似ているところから付けられたそうです。たくさんの小さな葉を風に揺らす愛らしい姿を里山の木の下や湿った場所で見ることができます。伊豆諸島の八丈島に伝わる絹織物「黄八丈」は、このコブナグサで染められています。美しい黄金色を染めるコブナグサですが、下記の色見本のとおり、媒染剤を変えることで明るく優しい色を染めることができます。

コブナグサ

コブナグサ


ザクロ(石榴)果皮 

ザクロ(石榴)は庭木などの観賞用のほか、その実を食用として栽培されるミソハギ科ザクロ属の落葉小高木です。古来、ザクロは樹皮、根皮、花、果汁、種子など、その全てが生薬(漢方薬)として利用されてきました。特に、草木染では実の皮である果皮が用いられます。そその方法にもよりますが、おおよそアルミ媒染で黄色、銅媒染でベージュから茶褐色、鉄媒染で濃いグレーから黒色に染まります。

ザクロ(石榴)果皮

ザクロ


シコン(紫根)

生薬名(漢方薬名)ではコウシソウ(紅紫草)と呼ばれ、その文字どおり“紅”や“紫”の色をもつ植物です。ムラサキ科の多年草で、その根は昔からさまざまな薬にされ、同様に染料としても利用されてきました。江戸時代には生薬としての効能からか、それらで染めた布を病人の頭に巻いて病の平癒を願う習慣があったそうです。しかし、その染め方は一般的な草木染め以上に手間がかかったらしく、それゆえに、紫は高貴な色とされるようになったそうです。掲載の色サンプルは、アルコール抽出によるものです。

シコン

シコン


スオウ(蘇芳)

スオウ(蘇芳)は、インド及びマレー諸島を原産とするマメ科ジャケツイバラ亜科の植物で、その材には「ブラジリン」と呼ばれる成分が含まれ、オレンジ色をしています。古くからこの色素を抽出して草木染に用いてきました。奈良時代に渡来し、黒味を帯びた赤色褐色は「蘇芳色」として、日本の伝統色の一つになっています。ちなみに、アルミで媒染すると赤色、木灰などのアルカリ性では紫、鉄媒染すると黒っぽい紫になります。

スオウ(蘇芳)

スオウ(蘇芳)


チョウジ(丁子)

チョウジ(丁子)は香辛料として知られる「クローブ」のことで、フトモモ科チョウジノキの蕾(つぼみ)を乾燥させたものです。その原産地はインドネシアのモルッカ群島。今も、その周辺で栽培されています。香辛料に使われるほか、生薬(漢方薬)としても用いられ、胃を温める効果があることから食欲増進などに作用するとされてきました。古来、染色でもこれを煮出して染めることを「香染(こうぞめ)」などと呼んで香りとともに、その効能が得られるとされてきました。

チョウジ

チョウジ

チョウジ

チョウジ


ニホンアカネ(日本茜)

「ニホンアカネ(日本茜)」は、中国から朝鮮半島、日本に分布するアカネ科のつる性多年生植物です。かつては道端や雑木林などでよく見かける〝雑草〟のような存在でしたが、外来種に追われたのか!? それとも温暖化のせいなのか!?---、すっかり目にすることがなくなったそうです。数年前から【ひとつ屋染織農園】では、そんなニホンアカネを栽培しています。’23年の冬からは、少量ずつではありますが、収穫できるようになりました。魏志倭人伝にも登場する〝古代の赤〟を再現にチャレンジしてみてください。

ニホンアカネ

ニホンアカネ


ビワ(枇杷)葉

ビワ(枇杷)の原産は、中国南西部で日本には古代に移入されたと考えられています。現在では九州から四国に自生し、温暖な地域では果樹として栽培されています。昔から実を果物として食すばかりでなく、葉は枇杷葉(びわよう)、種子は枇杷核(びわかく)と呼ばれ、生薬(漢方薬)としても利用されてきました。さまざまな効能が、江戸時代には民間療薬として親しまれ、庭木としても植えられるようになりました。ビワの葉を煮出した染料で染めると、あの実を想像させてくれる優しい色に染まります。

ビワ

ビワ

ビワ

ビワ


ビンロウジュ(檳榔樹)

ビンロウジュ(檳榔樹)は、高さ20メートルにもなるマレーシア原産のヤシ科の常緑高木です。古来アジアの各地に、この種子をキンマ(コショウ科の植物)の葉に包み、少量の石灰と一緒に噛むという“噛みタバコ”に似た嗜好品があります。また、生薬(漢方薬)としては駆虫や胃腸に効能があるとして用いられました。そして、染料としては「檳榔子染(びんろうじぞめ)」呼ばれ、赤みを帯びたアッシュなベージュやグレーが古くから親しまれてきました。

ビンロウジュ

ビンロウジュ

ビンロウジュ

ビンロウジュ


ミロバラン

ミロバランはシクンシ科の落葉中高木で、インドからインドシナ半島の熱帯アジアを原産としています。古く日本へも伝えられ、正倉院の『種々薬帳(しゅじゅやくちょう)』にある「呵梨勒(カリロク)」とはミロバランだとされています。『種々薬帳』にもあるようにミロバランは整腸作用や下痢止めの効果がある生薬(漢方薬)とされてきました。タンニンを多く含むミロバランは、アルミ媒染で黄色、鉄媒染でカーキー色に染まり、無媒染のまま上から藍で染めると青磁に似た薄い緑色になります。

ミロバラン

ミロバラン

ミロバラン

ミロバラン


レモングラス

レモングラスはコウボウ(香茅)と同じイネ科オガルカヤ属の多年草で、レモンに似た香りは料理や茶、薬として古くから利用されてきました。特に、その成分は人の脳に作用し、疲れたときや気分転換したいときのリフレッシュ効果があるといわれています。染料として用いる場合にも葉を煮出すので、染色を楽しむと同時に香りで癒されることもできます。また色見本のとおり、各種の繊維にしっかり染まります。

レモングラス

レモングラス

レモングラス

レモングラス