タグ: ひとつ屋染織農園

  • 放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培(3)

    放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培(3)

    2016年の春から、ひとつ屋では草木染にかかわる植物ばかりを栽培する「ひとつ屋染料農園」を運営しています。そして2022年度からは、三重県伊賀市で放棄耕作地を再生して和綿や染料植物の栽培を本格的に始めています。今回は、2022年6月4日現在の状況を報告します。


    過去の内容

    ①  放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培

    ②  放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培


    耕作放棄地の再生


    ▼ 春、雑草に覆われていた放棄耕作地。ここを畑へと復活させる計画です。
    放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培

    ▼ 小さな耕運機と鍬(くわ)や鋤(すき)を使った作業では地中深く根をはった芒(すすき)に阻まれ、ようやく耕すことができたのはわずかな面積でした。これが現実で、いち早く産業化するには大きな農機具や什器が必要なことを感じます。それがない私たちは、ひたすらコツコツ耕すしかありません――。

    ▼ 耕すことができたわずかな圃場に藍(タデアイ)と三河木綿(みかわもめん)を植えました。
    放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培

    ▼ 植え付けから約2週間、順調に生育しています。

    ▼ 梅雨を目前にした今回は“綿の間引き”と“雑草とり”を行います。マルチに植えた和綿は、しっかりと目を出して育っています。

    ▼ ↑ これを2~3本に間引きし、同時に雑草も抜いて整理します。

    ▼ 藍も順調に生長していますが、少し色が薄い気がします。日照時間か、気温か、それとも土壌の問題か――、これから様子を見ながら改善していこうと思います。


    まとめ


    毎日、生育をチェックできる状況になく、この圃場を訪れるのは2週間ぶりでした。発芽率や害虫・害獣のことが気になっていましたが、その被害はほとんどなく、まずは順調に生育しています。ただ、放棄耕作地からの“再生一年目”なので、土の状態がよくありません。

    何度も耕したのですが、放棄されて固まった土がダマになって、まるで礫(れき)のような状態です。これから腐葉土や堆肥をすき込んで、数年をかけて良質な圃場にしていこうと思います。

    次回の報告を楽しみにしていてください。

  • 放棄竹林の竹を燃料にする取り組み

    放棄竹林の竹を燃料にする取り組み

    ひとつ屋では“草木染製品を持続可能な産業にしたい”という観点から、さまざまな取り組みを行っています。先日のブログでは『放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培』というタイトルで、その取り組みについて書きました。

    そして今回は、放棄竹林の竹を燃料にした物づくりについて報告します。


    放棄竹林の燃料化


    ▼ ひとつ屋が三重県伊賀市の古民家に工房を開いたのは2018年の初夏のこと(『伊賀工房のはじまり』)。私たちがここへ来る前は、数十年にわたって人が暮らしていなかった家と、その裏にある里山は荒れるにまかされていました。

    ▼ まずは侵食された場所での竹の伐採です。里山の地面にも光が届くように竹を間引いていきます。ちなみに、竹と竹の間隔は、傘をさして歩けるほどがよいそうです。

    ▼ 伐採した竹は40㎝ほどの長さに切って、かまどの焚き付けにします。かまどは、この古民家にもともとあったもので、ボロボロになっていたものを修理しました(『へっついさん(かまどの修理)』 『かまど火入れ』)。

    ▼ ひとつ屋では、こうして放棄竹林の竹や里山で集めた枯れ枝を燃料に、古いかまどで糸や布を草木染しています。


    ▼ そして今年も、梅雨を前に竹林と里山の整備です。切り出した竹や雑木を切って燃料にておきます。

    ▼ かまどの前に積んでおく竹(薪)。ひとつ屋では風呂もこれで焚くので、アッという間に減っていきます。


    放棄竹林の竹や里山の雑木を燃料にした“ひとつ屋の物づくり”は今始まったばかりで、まだまだ非効率で産業化に至るまでには工夫と時間を要します。それでも、燃料が高騰する世界の情勢を踏まえると、一概に“夢”だとはいえない気がしています。


    ▼ ちなみに、竹林を整備したので筍も採れるようになりました。

  • 放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培(2)

    放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培(2)

    2016年の春から、ひとつ屋では草木染にかかわる植物ばかりを栽培する「ひとつ屋染料農園」を運営しています。また2022年度からは、放棄耕作地を再生(復活)して和綿や染料植物の栽培を本格的に始めています。

    先日のブログでは「放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培」と題して、そんな活動のスタートを紹介しました。そして、今日は、その後の報告をします。


    耕作放棄地の再生


    ▼ 十数年にわたって放棄されていた耕作地。面積は約40坪です。
    放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培

    ▼ 地中深く根をはった芒(すすき)に悪戦苦闘し、ようやく畑に戻すことができたのはわずかな面積でした。
    放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培

    ▼ 今回は、ここに畝(うね)を立て和綿と藍を植える予定です。

    ▼ ひとつ屋の農園ではビニールマルチを使うことはないのですが、今回は放棄耕作地の再利用の初年なので、今後の雑草対策のために使ってみることにしました。

    ▼ いよいよ作付けです。あらかじめ、育苗箱で育てておいた藍の苗と綿(タネの直播き)を植えていきます。

    ▼ 綿のタネ(ひとつ屋では「三河木綿(みかわもめん)」を栽培しています)。

    ▼ 予定の作付けを済ませた後は、獣害を防ぐためのネットを設置して第一弾の予定は終了です。


    まとめ


    はびこる草の根を手作業で取り除かなければならないという想定外のことがあって、今回 放棄耕作地から畑に戻すことができたのは、予定の1/3の面積です。でも、これで良かったとも思っています!

    というのも「放棄耕作地の再生と工芸作物の栽培」などという大義を掲げると、ついつい大規模な耕作を考えてしまいます。実際、そのつもりで作業を開始したのですが、私たちが目指す物づくりは、そういうものではなかったことに気づかされました。同一種を大量に栽培するのをやめ、大地への負担や病虫害、さらには自然災害へのリスクを分散させるためにも、耕作地を小分けにして多品種の植物を栽培したいと考えていたからです。

    これからも少しずつ頑張ります! 応援よろしくお願い申し上げます。

  • 【草木染】  ワタ(綿殻)

    【草木染】 ワタ(綿殻)

    綿(わた)はアオイ科ワタ属の多年草の総称で、種子の周りにある繊維は強くて伸びにくく、吸湿性が高いため、古くから衣類などに加工されてきました。その歴史は古く、起源については諸説ありますが、その一つが約7000年前のインダス文明に始まり、その後世界中へと広まったとされるものです。

    日本へ伝えられたのは1200年以上も前のこと。ところが継続的に生産されることはなく、次第に廃れていきます。その後、外国からの輸入に頼ることになったので、木綿は“高級な繊維”として扱われる時代が続きました。

    これが本格的に生産されるようになるのは戦国時代後期のことです。江戸時代に入ると各地で栽培が急速に拡大し、次第に庶民の衣服に用いられるようになりました。明治時代に入ると“殖産興業”のスローガンのもと、綿布の生産が奨励されたこともあり、昭和の初期(1930年代)には、その輸出量が世界一となりました。太平洋戦争中には綿布の輸出を停止したので一時的に衰退しましたが、戦後には復活し、再び世界一になりました。

    しかし、その後はアジア産の安価な綿布に押され、生産量は急速に減少していきます。そして現在では“ハンドクラフト”の範疇で個人やグループ単位で細々と続けられているだけで、統計上の日本の自給率は今や0%だそうです。

    ひとつ屋の農園では失われた綿業を「持続可能な産業(SDGs)」の一つと捉えて木綿(和綿と洋綿)を栽培し、綿糸と綿布の生産を行っています。そこで今回は、繊維を採取したのちに廃棄されることの多い“綿の実の殻”を使った草木染の色見本を紹介します。

    ※ひとつ屋の活動については「私たちの取り組み」をご覧ください。


    ▼ この綿殻は、ひとつ屋の農園で無農薬・有機肥料で栽培されたものです。

    ▼ 左が「洋綿」、右が「和綿」です。随分と大きさがことなります。詳しくは「和綿と洋綿の比較」をご覧ください。


    【綿(Cotton)】


    ◆ 学名/Gossypium ◆ 分類/アオイ科ワタ属(多年草)
    ◆ 備考/ワタ属は約40種の多年草からなり、世界各地の熱帯または亜熱帯地域を原産とします。開花後にその下部の子房が発達し、朔果 (Cotton boll) が形成され、内部にある種子の表面に生じた綿毛を繊維として利用してきました。さらに、繊維を取り除いた種子から採れる油(綿実油)は、食用としても利用されてきました。
    ◆ 媒染/各媒染については、下記の色見本をご確認ください。


    【各媒染による色見本】

    ※写真下の説明「被染材(濃染=カチオン処理済)/媒染剤/コメント」


    綿/アルミ

    綿/アルミ

    綿/アルミ(豆乳)

    綿/アルミ(豆乳)

    絹/アルミ

    絹/アルミ

    絹/アルミ

    絹/アルミ

    羊毛/アルミ

    羊毛/アルミ

    綿/鉄

    綿/鉄

    綿/鉄(豆乳)

    綿/鉄(豆乳)

    絹/鉄

    絹/鉄

    絹/鉄

    絹/鉄

    羊毛/鉄

    羊毛/鉄

    綿/銅

    綿/銅

    綿/銅(豆乳)

    綿/銅(豆乳)

    絹/銅

    絹/銅

    絹/銅

    絹/銅

    羊毛/銅

    羊毛/銅

    綿/チタン

    綿/チタン

    綿/チタン(豆乳)

    綿/チタン(豆乳)

    絹/チタン

    絹/チタン

    絹/チタン

    絹/チタン

    羊毛/チタン

    羊毛/チタン

    綿/灰

    綿/灰

    綿/灰(豆乳)

    綿/灰(豆乳)

    絹/灰

    絹/灰

    絹/灰

    絹/灰

    羊毛/灰

    羊毛/灰

  • 枇杷葉茶と染料

    枇杷葉茶と染料

    ひとつ屋の染料農園には大きな枇杷の木があります。毎年、初夏のころにはたくさんの実を付けて、私たちを楽しませてくれます。そして、年にもう一度の楽しみが “枇杷葉茶” です。枇杷の木は秋に枝の剪定をします。そのときに葉も収穫し、きれいなものはお茶にし、虫食いがあったり、古くなりすぎたりしたものは染料にします。

    ▼ お茶にするときは、葉の裏の起毛をタワシなど洗って取り除き、乾燥させるだけです。飲むときに少し炒れば、さらにおいしくいただけます。
    枇杷葉茶と染料

    ▼ ひとつ屋の枇杷の木。結構と利用するので、もう1本植えようかと思っています。
    枇杷葉茶と染料

    枇杷葉茶は少し甘味があり、とてもおいしいです。体にもいいので、わが家では楽しみながら飲んでいます。また染料としても、枇杷の実のようなオレンジだったり、きれいなピンク色だったりを染めることができます。枇杷は本当に捨てるところがなく、重宝する植物ですよ。